複々線化で変わる小田急ロマンスカー…従来車のリニューアルも

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リニューアル後の30000形「EXE」のイメージ。愛称も「EXEα」に変わる。
リニューアル後の30000形「EXE」のイメージ。愛称も「EXEα」に変わる。 全 5 枚 拡大写真

「赤いロマンスカー」こと70000形電車の新造を10月20日の記者会見で発表した小田急電鉄だが、この会見では他にも、既存のロマンスカー車両である30000形電車「EXE(エクセ)」のリニューアルが発表された。複々線化の完成に伴い2018年3月に実施されるダイヤ改正に向け、ロマンスカーが大きく変わる。

■70000形と共通する仕様変更も

「EXE」は1996年にデビューした特急ロマンスカーの車両。観光輸送を目的とした従来のロマンスカーに対し、「EXE」は通勤利用も考慮したロマンスカーだ。1999年までに6両編成7本と4両編成7本の計70両が製造された。

二つの台車に一つの車体を載せる通常の台車方式を採用し、1両の長さも一般的な鉄道車両と同じ約20mに。本格的な展望席も設けず、定員を大幅に増やした。また、4両編成と6両編成をつないだ10両編成でも運転できるようにし、列車の需要に応じて車両数を変えるなど柔軟な運用を可能にした。

しかし、「EXE」は最初の製造から20年が経過。この間、利用者のニーズが変化したなどとし、小田急は「EXE」のリニューアルを決めた。車両の愛称は「プラスアルファの要素が加わる」として「EXEα(エクセアルファ)」に変わる。

10両編成で運転する場合の定員は578人とし、現在の定員より10人減る。4両編成と6両編成の組み合わせは、これまでと同じだ。客室内は天井を明るい仕上げ材に変更し、間接照明と直接照明を組み合わせた照明に変更。壁は木目調に変更する。これにより「落ち着いたビジネス空間と心地よい豊かさをもつ観光車両の空間を共に演出」するという。座席とテーブルも一新し、手掛けやフックなどを取り付ける。

70000形の仕様と共通する変更点も多い。トイレは和式トイレを廃止し、温水洗浄機能付き便座を搭載した洋式トイレに変更。車両の出入口や客室内に防犯カメラを設置する。授乳時や体調不良時などに利用できる多目的室も設置する。走行装置関係では、フルSiCを適用したVVVFインターバー制御装置と全閉式モーターを採用する。

「EXEα」は今年12月に最初の1編成が完成する予定で、2017年3月には最初の1編成の営業運転が始まる予定だ。残りの6編成も順次リニューアルされる。

■複々線化完成で時間短縮や増発も

70000形の新造と「EXE」のリニューアルによる小田急ロマンスカーの新戦略は、同社が進めてきた小田原線の複々線化事業にも大きく関係している。複々線化の完成を受けて実施される2018年3月のダイヤ改正では、通勤列車の増発だけでなく特急ロマンスカーも所要時間の短縮などが図られる予定だ。

今回の発表によると、新宿~箱根湯本間を80分台で結んでいる特急ロマンスカーの所要時間は、複々線化に伴い70分台に短縮する。また、利用者が多い土曜・休日の午前に新宿駅を発車する『スーパーはこね号』は、ダイヤ改正にあわせてデビューする新型の70000形と50000形「VSE」で運行。発車時刻は9・10・11時ちょうどとし、展望席を備えた車両を分かりやすい時刻で運行する。

朝夕ラッシュ時の通勤輸送に対応した特急ロマンスカーも増発する。現在は朝方の9時30分までに新宿・大手町両駅に到着する列車が7本、夕夜間の18時以降に新宿・大手町両駅を発車する列車が23本運転されているが、2018年3月の改正では朝方に4本増発して11本にする。また、深夜の時間帯にも1本増発する。

《草町義和》

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