【スーパーフォーミュラ 最終戦】国本雄資、初のチャンピオン獲得を達成…セルモインギング2冠

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ドライバーズチャンピオンに輝いた国本雄資(右)と、2冠を制したセルモインギングの立川祐路監督。
ドライバーズチャンピオンに輝いた国本雄資(右)と、2冠を制したセルモインギングの立川祐路監督。 全 16 枚 拡大写真

全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)最終戦鈴鹿は30日午後、2レース制の「レース2」を行ない、国本雄資が自身初のシリーズチャンピオン獲得を果たした。国本が所属するセルモインギングはチーム部門王座と併せて2冠。レース2の優勝はストフェル・バンドーンだった。

予選、そしてレース1と経つつ、形勢が二転三転しながら進んできたチャンピオン争いも、いよいよ最終局面へ。レース2は午後2時45分にフォーメーションラップスタート、4輪タイヤ義務交換のある35周、約200km戦だ。

最終戦突入前に12人いたチャンピオン候補は、レース1終了時点で4人にまで絞られている。レース2の決勝に王座獲得の可能性を残して臨むのは、31.5点の#2 国本雄資(3番グリッド)、28点の#20 関口雄飛(13番グリッド)、26点の#36 A.ロッテラー(5番グリッド)、24点の#1 石浦宏明(ポールポジション)の4名である。

#2 国本(P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)は今回スタートがあまり良くなく、レース前半は5番手を走行。ただ、予選で後方に沈んだ#20 関口(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)がピット戦略の絡んだレースのなかでも大幅なジャンプアップは叶わず、しかも終始、実質の先頭を2番グリッドから好発した#41 バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)が走るなど、#2 国本にとって追い風の状況が続いた。2~3番手を走るふたり、勝利が逆転王座必須条件の#1 石浦(P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)と#36 ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)のどちらが先頭に出ない限り、#2 国本の王座獲得はほぼ揺るがない展開だからだ。

ところがレース後半、後方のアクシデントで2度のセーフティカー(SC)導入があったりしたことで、少し状況が変化する。

2度目のSC明け、残り4周での再スタート直後に2~3番手の順位が入れかわり、#36 ロッテラーが#1 石浦の前に出たのだ。この時点で#2 国本は7番手から6番手に上がったところだったが、#1 石浦が勝った場合は自身7位で王座を獲得できるものの、#36 ロッテラーが勝つとなると、3位が必要になってくる。もし#36 ロッテラーが先頭#41 バンドーンをパスするような事態が起きると、#36 ロッテラーに逆転王座を許すことになってしまうのだ。

「正直、最後の3~4周は自分の走りより(1~2番手の)ふたりの順位の方が気になっていました。こんなことじゃ、いけないですよね」とレース後に苦笑しながら当時の心情を振り返った#2 国本だが、これは無理からぬところであろう。

#36 ロッテラーは#41 バンドーンを追い詰めていくが、結局パスするには至らなかった。#41 バンドーンが今季2勝目を達成し、2位に#36 ロッテラー、3位に#1 石浦でレース2は決着。そして#2 国本が混戦のシーズンを制し、初のチャンピオン獲得を成し遂げたのである(レース2は6位)。

2016年スーパーフォーミュラ王者となった国本雄資は、「長いシーズンが終わって、ホッとしています。えーと、なにから話したらいいんですかね……」と切り出しつつ、その喜びを語った。

国本雄資のコメント
「昨年、同じチームの石浦さんがチャンピオンになったのに自分は不甲斐ない結果で、すごく悔しかった。今年こそは、と思い、いろんなことにトライして、すべてを変えなくては、とも思って臨んだシーズンでした。最終戦にも『絶対チャンピオンを獲ってやる』という強い気持ちで入ってきましたし、そのためにたくさんのことを準備してきました。去年悔しい思いをしたぶん、このタイトルには重みを感じていますし、すごく嬉しいです」

国本雄資は1990年9月12日生まれの26歳。2010年に全日本F3選手権Cクラス(総合部門)でチャンピオンとなり、気鋭の若手として翌年から全日本トップフォーミュラ(当時のFニッポン~現在のSF)参戦をスタートさせた。SUPER GTでも12年からGT500クラスのレクサス陣営で活躍中。SFでは13年にシリーズ外のJAF-GP富士戦での優勝は経験していたが、シリーズ戦での勝利は今季第5戦岡山のレース2が初。そして今日、最終戦のレース1で2勝目を挙げてポイント首位に立ち、そのまま逃げ切るかたちで頂点に辿り着いた。

セルモインギング(P.MU/CERUMO・INGING)は昨年の石浦に続くドライバーズチャンピオン輩出で、昨年は逃していたチーム部門タイトルも獲得して2冠を達成。チームを率いる立川祐路監督(SUPER GTでは現役)は国本の成長をこう語る。

「レース1では(トップに立った)1周目を終えて帰ってきた時に、国本の雄叫びが(無線を通して)聞こえました。やっぱりドライバーにはチームの雰囲気をつくることも大事で、それぐらい強い気持ちが伝わってくると、みんなも『なんとかしてやろう』と一層、一丸になって頑張れますからね」

国本は「たぶん、去年が終わった時点で今年のチャンピオンに僕を予想する人はいなかったと思うんですけど」と言って、はにかむ。ヨコハマへのワンメイクタイヤ切りかえというタイミングもうまく利す格好で、様々な意味でのリセットに成功したようだ。混戦を逞しく戦い抜いての初戴冠には大きな価値がある。今後のさらなる飛躍にも期待したい。

最終戦のレース2、#20 関口は最終的に8位でゴール。28歳でのルーキー王座獲得はならずも、自身初のSF参戦年に「85点かな」と、悔しさのなかにも一定の充実感を滲ませていた。また、今季は予想外の不振に陥った#8 小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)が7位で今季初入賞を果たしている。

なお、最終的なドライバーズランク2位はロッテラーとなったが、03年から参戦を続ける強豪(11年王者)は、「もしかしたらこれがSFでの最後のレースになる可能性もある」との旨をレース2の後に語り、報道陣とファンを少々驚かせた。トムスの舘信秀監督は「僕としては来年も(ロッテラーと中嶋一貴のコンビで)継続したい」との旨を語っているが、WECではロッテラー所属のアウディが今季限りでの撤退を決めたなどの状況もあり、他カテゴリーも含めた来季ストーブリーグ動向が気にかかるところだ。

SFは来季も4月に鈴鹿サーキットで開幕予定。また、来月(11月24日)には鈴鹿でルーキーオーディションを中心とした合同テストの実施が予定されており、そこから2017年シーズンの戦いが、また新たに始まることとなる。

《遠藤俊幸》

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