【ダイハツ ブーン&トヨタ パッソ 試乗】街乗りメインのユーザーにとって魅力的なクルマ…青山尚暉

試乗記 輸入車
ダイハツ ブーン シルク
ダイハツ ブーン シルク 全 24 枚 拡大写真

新型『パッソ』『ブーン』は先代ユーザーの不満点を解消し、ダイハツが企画、開発、生産を行う街乗りリッターカーだ。つまり、小さいクルマ(軽自動車)を得意とするダイハツのノウハウが120%生かされていると言っていい。

【画像全24枚】

実用面で注目すべき点は後席の乗降と居住性。リヤドアは軽自動車のように!? 直角近く開き、先代比でドアの開口部幅が40mm、後席の位置が40mm後ろ寄りになったため、老若男女、子供を抱いた母親でも乗降は極めて容易。

しかも後席に着座すれば、シートのかけ心地は「ロングクッションモード」を廃止しクッションに厚みを持たせたため、がぜん良くなり身長172cmの乗員基準でひざ回り空間は先代のちょうど倍となる210mmもあるからゆったり。足元中央にはトンネルの凸があるため3人掛けだと中央の乗員の足の置き場に不満はあれど、2人がけなら広々、リラックスした乗車が可能になる。

エンジンはほぼ新設計となる3気筒、1リットル、69psのみ。先代にあった1.3リットルがなくなったのは、販売比率はもちろん、ダイハツ軽ならではのe:Sテクノロジーを採用したいい1リットルユニットができたから。

燃費性能は先代比約50kgの軽量化もあってガソリン登録車トップの28.0km/リットル(FF)という街乗り燃費重視の好燃費性能を誇る。4WDにも9km/h以下で作動するアイドリングストップ機構を装備し、全車減税車になっている点にも注目したい。

軽自動車ではダイハツが先行した衝突回避支援システムもぬかりなし。多くのグレードに標準化される“スマートアシストII”は自動ブレーキ、歩行者も認識する衝突警報、誤発進抑制機能などが含まれている。

そんなパッソ・ブーンの走りはいい意味で最新のダイハツ軽の良さを受け継いだもの。出足からエンジンは3気筒感をほとんど感じさせず、スムーズかつ軽やかに加速を開始。パワステは据え切り時のみ軽々しているが、20km/hも出ればセンター付近がグッと引き締まる好設定。ペースを上げてもしっかりと直進してくれる。

先代の走行感覚はシーンによってちょっと頼りないところもあったのだが、新型の乗り味は別格。街乗り域ではしっかり感、フラット感あるタッチを示し、直進、あるいは穏やかにカーブを曲がる限り安定感、安心感、気持ち良さは想像以上。

そして静か。街乗り60km/h程度までならエンジンは黒子に徹し、室内は文句なく静か。耳に届くのは165/65R14サイズのエコタイヤが発するロードノイズくらいのもの。

もっとも、ステアリングを素早く左右に切り返すシーンでは前輪の接地感不足(インフォメーション不足)が気になり、急制動時に限った話とはいえ、ブレーキ性能ももうワンランク引き上げてほしいリクエストはある。が、衝突回避支援システムの“スマアシII”を装備して軽自動車並みの121万5000円からの価格はどう考えてもお買い得。街乗りメインのユーザーにとってその魅力はしっかりと伝わるはずだ。

ちなみにペットフレンドリー度は、後席クッションが前に下がりつつスライドして足元段差がなくなる「ロングクッションモード」をシートのかけ心地優先で廃止したため後退。先代だと地上550mmの高さに低まる「ロングクッションモード」部分に犬を飛び乗らせ、広々としたフロアに犬を乗せる、世界でほぼ唯一の使い方ができたのだが…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ムック本「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)好評発売中。

《青山尚暉》

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