夢は「ホンダでレースカー開発」…中学生の高野巧光くん、SUPER GTでZFアンバサダーに挑戦

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中学生の高野くんが、SUPER GTもてぎ戦で「ZF モータースポーツ・アンバサダー」に挑戦。
中学生の高野くんが、SUPER GTもてぎ戦で「ZF モータースポーツ・アンバサダー」に挑戦。 全 8 枚 拡大写真

SUPER GTのレースウイーク中に、少年少女たちがスペシャルな職業体験に取り組む「ZF KIDS DREAM JOB」。今季最終もてぎ戦においては、「将来はホンダでレースのマシンの開発をしたい」という中学生の高野巧光(たかの・たくみ)くんが、ZFモータースポーツ・アンバサダーに挑戦した。

チームのメカニックやマネージャー、あるいは場内実況アナウンサーなど、他ではまずできない職業体験をレースウイーク本番の土曜日にできる「ZF KIDS DREAM JOB」。これは少年少女たちの夢をアシストしつつ、レースに関わる仕事の裾野も広げようというプログラムで、SUPER GTのシリーズパートナー、自動車部品サプライヤー大手「ZF」の主宰によるものだ。

栃木県・ツインリンクもてぎでの今季最終戦(11月11~13日)は、地震の影響によって中止された九州オートポリス戦の代替レースも含むダブルヘッダーとなったため、通常は予選日である土曜(12日)も第3戦代替レースの予選&決勝日ということになり、スケジュールは通常以上にタイトなものとなった。

決勝も見られるということで、お客さんの出足も通常の土曜日以上に活発だった印象があるが、そのなかで実施された今回の「ZF KIDS DREAM JOB」、その挑戦ジョブは「ZFモータースポーツ・アンバサダー」だ。今季アンバサダーを務めている佐藤彩奈さんとともに、パートナーステージでの企業紹介のほか、場内に設置されるZFコミュケーションブースでの仕事や、ZFアワードのセレモニーなどイベント進行にも携わる。

チャレンジャーは13歳、中学1年生の高野巧光くん。実は高野くん、「将来はホンダでレースのマシンの開発をしたい」という夢を持っている。その意味ではZFアンバサダーという挑戦ジョブ、夢に直結するとはいえないまでも、技術をアピールするという面が強い職務なので間接的な繋がりは強いともいえよう。高野くんには、サーキットの現場でプロの仕事を体験する、ということ以上の意味がありそうだ。

オフィシャルステージにおけるキッズ抽選会の際にはクジ引き役も担当。高野くんは「緊張しました」と振り返る。これまでのジョブ挑戦者たちもそうだったが、やはりいつもとは立ち位置が逆転することで新たに見えてくるものは相当に大きいようである。それこそイベントでの仕事は自動車技術と直接は繋がらないが、緊張しつつステージから見えた景色とたくさんのレースファンの視線を集めた経験というものは、いつか彼がレースカーの開発をするようになった時、0.1馬力でも上積みしようという意欲や根気の源泉になることだろう。

それにしても、中学1年生としてはかなり具体的かつ高度な夢をもつ高野くん。「レースが好き」で、そのレースの魅力は「カッコいいところです」とも語っており、そのあたりがシンプルに彼の夢の出発点なのだとは思うが、レースという世界を早くに知ることになったのには、親御さんがサーキット関係の仕事に就かれているという、レースへの距離が近い環境で育った影響もあったようだ。「SUPER GTを初めて見たのは2011年頃(小学校低学年時)だったと思います」。

ZFアンバサダーとしての職業体験を終えた高野くんは、「レースをやる(開催する)のには、とても大変なことがあるんだな、と気づきました」と語った。おそらくは自分の親の仕事の大変さの一端を知る、というところもあったのだろう。夢への第一歩ということだけではなく、そちらの意味でも良い人生経験になったといえそうだ。

応援しているのは「RAYBRIG NSX CONCEPT-GTの山本尚貴選手と伊沢拓也選手です」。そして、夢は単に「レースのマシンの開発」だけではなく、アタマに「ホンダで」とつくあたりには、中学生らしからぬ意志の強さも感じる。10年以上先にはなるだろうが、彼が開発に携わったマシンが国内外のサーキットを走る日が来ることを楽しみに待ちたい。

この日、高野くんと一緒に過ごした本職のZFアンバサダー、佐藤さんは「ZFの場合はPR内容にけっこう難しいところもあるので、その点を少し心配してはいたんですが、しっかり紹介できていたと思います。抽選会でも『緊張した』とは言いつつ、度胸ある感じに見えましたよ」と話していた。高野くんのアンバサダーぶり、なかなかの高評価といえそうである。また、佐藤さん自身にも、自分の役割についてあらためて見えてくる部分が多々あったそうだ。

「ZF KIDS DREAM JOB」はSUPER GTの国内大会で今季4回に渡り実施された。上は高校生から下は小学生までが稀有なる職業体験によって自身の夢を広げたり、深めたりしてきたわけだが、彼らと接することでレースの世界のプロたちの側にも、裾野の拡大への意識の高まりを促したり、自分たちの仕事を見つめ直す契機となったりもしてきた。SUPER GTという人気カテゴリーだからこそ成し得る新たな創造、そんなプロジェクトであったといえるだろう。

来季以降の展開にも期待したいところだ。

《遠藤俊幸》

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