JR北海道留萌線留萌~増毛間が95年の歴史に幕

鉄道 企業動向
4932Dの発車の際に行われたお別れセレモニー。増毛町のキャラクター「マーシーくん」が出発合図に登場。
4932Dの発車の際に行われたお別れセレモニー。増毛町のキャラクター「マーシーくん」が出発合図に登場。 全 8 枚 拡大写真
JR北海道留萌線留萌(留萌市)~増毛(増毛町)間16.7kmが12月5日に廃止された。

JR北海道が11月4日に発表した2015年度の線区別収支状況によると、同区間の1日1kmあたりの平均旅客輸送人員(輸送密度)は67、100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数(営業係数)は2297(管理費を除く)で、ともにJR北海道エリアでは最低を示していた。廃止の届け出は地元との協議を経て4月28日に行われたため、鉄道事業法上1年後の廃止が予定されていたが、国土交通省から廃止を繰り上げたとしても公共の利益を阻害する恐れがないと認められたとして、6月28日に12月廃止がアナウンスされた。

運行最終日となった12月4日は一番列車からマニアらが詰めかける盛況ぶりで、各列車にはお別れ乗車の人々が殺到、平均で30~40分程度の遅延が発生していた。終点の増毛駅では15時41分発深川行き4932Dの発車に際してお別れセレモニーが予定されていたが、14時51分に到着する4927Dが遅延したため、セレモニー開始も遅れ、折返しの4932Dは20分程度遅れて発車していった(留萌~増毛間はスタフ閉塞のため1本の列車しか入ることができない)。

最終列車となる増毛19時48分発4936Dも30分以上遅れて発車。増毛駅では1本前の4934Dが発車した直後に早くも最終列車に乗車する人々の列ができ、スタッフが最後尾を示すプラカードを掲げて「乗車できないかもしれない」旨のアナウンスを連呼するひと幕もあったが、結果的に積残しはなく、地元の人々が演出したペンライトの波に見送られながら、4936Dはゆっくりと増毛駅を後にし、留萌~増毛間95年の歴史に幕を下ろした。

留萌~増毛間は、11月18日にJR北海道が「単独では維持することが困難な線区」を発表して以来、初の廃線となったが、すでに石勝線新夕張~夕張間の廃止が事実上決定し、輸送密度2000人未満の線区を対象に存廃に関する協議が進められている。今回の廃止はいわば「終わりの始まり」的な意味合いが強く、今後はますます北海道内ローカル線の去就に目が離せなくなるだろう。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「妄想が現実になった」トヨタがAE86のエンジン部品を発売へ…「復刻だけじゃない」その内容に驚きの声
  2. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  3. 衝突試験、1回の費用はおいくら? ホンダ栃木四輪開発センターで見学
  4. 「思ったよりだいぶ安い」トヨタ『GRヤリス』に新登場、エアロパフォーマンスパッケージに絶賛の声
  5. ヤマハの3輪スクーター『トリシティ』が進化! SNSでの注目は「デザイン」と「屋根が付くか」
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る