【意外なヒット】トヨタ ソアラ 初代…ねらいはハイソカーではなかった

自動車 ビジネス 国内マーケット
トヨタ・ソアラ初代(1981年)
トヨタ・ソアラ初代(1981年) 全 3 枚 拡大写真
年末年始の読み物「意外なヒット」シリーズ。名前を聞けば誰もが知っているヒット作ながら、実は発表当時にはあまり注目されていなかったモデルを紹介していきます。トップバッターはトヨタの初代『ソアラ』。

近年では当時を懐かしみブーム再燃の兆しすら見せる初代ソアラですが、発売当初の思惑は外れ、逆に思ってもみなかった需要から爆発的ヒットを飛ばすことになります。

初代ソアラが発売されたのは1981年とバブル景気までにはまだ数年ありました。海外では日本車はまだまだ非力でコンパクトな実用車という評価に留まっており、その評価を覆し新たな市場を築くための、戦略的車種としての使命を受けてソアラは開発されました。また国内に向けては、戦後の経済復興を推し進めてきた第一陣となる世代のシルバーエイジ化を受けて、お金にも時間にも余裕が出てきた大人のための高級パーソナルクーペとしての需要が期待されていました。今日でいう団塊の世代の引退需要に似た話といえます。

ところが、いざ発売してみると当てが外れて、当時の車としては明らかに大きかった車体や2ドアの不便さから、シルバーエイジからは敬遠されてしまいます。そんな見込み違いの状況を救ったのが、徐々に高まりを見せてきたバブル景気とそれに呼応するように沸き上がった「ハイソカー」ブームです。

ソアラより1年早く登場しその後の良きライバルとなった日産『レパード』、同じトヨタの『クレスタ』『マークII』『チェイサー』3兄弟、ホンダからは『プレリュード』などが白い車体色とともにブームを牽引します。そんなブームの中でもソアラの人気は断トツで、当時若者の間ではソアラに乗ることが最高のステイタスとされ社会現象にもなりました。

ではなぜ、ソアラが並居るライバル達を押しのけナンバーワンの人気を得ることができたのでしょうか? それは、一貫した高級車戦略と惜しみなく投入した最新技術がもたらす本物感の賜物だったといえます。中でも特にこだわったのはエンジンで、ライバルたちが4気筒モデルをラインナップする中、ソアラは全グレードで高級志向の6気筒エンジンに拘り抜きます。当時最新だったヘッドのDOHC化により性能面でも他を凌駕していました。プレミアムなイメージこそが最重要となる高級パーソナルクーペ市場においてこれらは大いなる武器として機能します。ソアラは販売面で本当に手のかからない車だったと評されたほどです。

もう一つの目的だった海外展開に関しては、2世代目まではアメリカの輸入制限などの影響もあり結果的には輸出されなかったのですが、3世代目からは輸出され海外でも好評を博します。

2005年日本でのレクサスブランド取扱い開始にともなう『SC』の発売を見届けて、ソアラの名前は24年の歴史に幕を下ろしました。

《山里真元》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「本当に世に出るとは」車重わずか1トンで800馬力V12、「超アナログ」スーパーカー…新型車記事ランキング 8月
  2. さらなる人馬一体へ!NDロードスター用「リビルトエンジン」発売、価格は65万7800円
  3. メルセデスベンツ『Gクラス』、オープン「カブリオレ」復活へ
  4. マツダの新型SUV『EZ-60』すでに4万台の予約殺到! SNSでは「マツダ復権か??」「日本でも売るべき」など話題に
  5. BMW、ケージ構造でヘルメット不要の電動スクーター『ビジョンCE』発表へ…IAAモビリティ2025
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る