「ファルコン9」打ち上げ成功の裏で、イーロン・マスクが直面する現実

宇宙 企業動向
スペースX イーロン・マスクCEO
スペースX イーロン・マスクCEO 全 5 枚 拡大写真

1月14日、スペースXは、同社の再使用型ロケット「ファルコン9」が、米衛星携帯電話会社イリジウムの通信衛星10基を、正常に軌道に配置したと発表した。

【画像全5枚】

昨年9月の失敗を乗り越え、たどり着いた成功にもかかわらず、影を落とす財政的な問題。さらには、マスク氏の長期的計画の実現可能性や、人を火星に送るビジョンに対する疑問が、米メディアで報道されている。

The Wall Street Journalは13日、スペースXが2015年にロケット爆発で2億6000万ドルの損失を出し、売上高は6%減の9億4500万ドルとなった、とする内部文書の詳細を報道した。

Iridium-1 Launch

2024年までに火星に人を送るというマスク氏の計画は、実現可能なものなのか。2017年の現在に至っても、スペースXのロケットによる有人飛行は未だ実現していない。また、相次ぐロケットの機能不全で、同社の宇宙ビジネスのイメージは説得力を失う恐れがある。

Iridium-1 Launch

スペースXとNASAの契約は、2013年から2014年にかけて、6億8000万ドルから10億ドルへと増加。しかし、2015年の爆発や一連の遅延は、収益低下、4億ドルの年間損失をもたらした。同社には2015年末に13億ドルの現金が残っていたが、投資した金額よりも少なくなってしまった。

この文書はまた、2025年までに300億ドル以上の収益と4000万人以上の加入者をもたらす衛星インターネット事業が収益性を約束する、スペースXの大規模な計画にも言及している。

衛星プロジェクトの目標は、グローバルなインターネットアクセスのために4,000の通信衛星を打ち上げることだ。 スペースXは、この事業からの収益が、2020年までに打ち上げ部門を追い抜くと予測。2025年までに、営業利益は150億~200億ドルになると考えているが、今のところ、ビジネスはまだ計画段階にある。

また、2016年の売上高は18億ドル、営業利益は5500万ドルになると予測していた。これらの数値は20回の打ち上げ成功に基づいているが、昨年は8回しか成功せず、同社は財務目標を達成できなかった。 2017年には27回のミッションを、さらに2019年までには毎週ロケットを打ち上げることを目標に掲げている。

Iridium-1 Launch

スペースXの問題は財務だけではなく、計画の遅れも大きな悩みの種だ。 NASAと協力して2017年までにISSに宇宙飛行士を迎え入れる計画は、2018年後半に延期された。火星への有人飛行計画に不可欠な、推定容量54トンにおよぶ最大級の大型打ち上げロケット「ファルコンヘビー」のミッションも遅れを取っているが、今年中に宇宙への到達を目指す。成功すれば、スペースXは重い揚力ロケットで未来に足を踏み入れるという、従来は超大国レベルに限定されていた快挙を、民間企業として成し遂げることになる。

いずれにしても、内部文書に描かれた青写真の実現は、今年中にファルコン9がどこまで成功するかにかかっている。

Iridium-1 Launch

Ars Technicaの15日付記事によれば、再利用可能なファルコン9は打ち上げコストを劇的に削減するため、インターネット衛星の宇宙への配置に不可欠な存在。その安定した成功は、スペースXに確実に利益をもたらすことになる。さらに、ファルコン9の成功はファルコンヘビーの成功を意味し、有人飛行の実現性も劇的に高まる。2年間で2回の事故を起こしてしまった以上、近々に同社の能力を実証する必要がある、とする。

軌道への打ち上げ市場を征服して初めて、火星を植民地化する壮大な計画の妥当性を検討できるようになるだろう。

《Glycine》

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