【FC EXPO 2017】日産 e-NV200 ベースのFCV車を発表…シンビオフセル

エコカー EV
シンビオFCVの外観。タクシー使用だ
シンビオFCVの外観。タクシー使用だ 全 8 枚 拡大写真

3月1日(水)、東京ビッグサイトで開催されたFC EXPO (水素・燃料電池展)2017にて、フランスのシンビオフセルは、燃料電池を組み込んだ5~7人乗りの新型燃料電池車(FCV)の発表会を開催した。

シンビオフセルはパリに本社を置く、ヨーロッパにおける水素電池のリーディングカンパニーとして知られる。これまで、ルノー・カングーの電気自動車『カングーマキシZ.E.』をベースにしたFCV『カングーZE-H2』と、電気自動車に組み込みができる、燃料電池キットシステムの設計、製造、販売を行ってきた。

実際にフランス国内では、フランス郵政公社で採用された例もあり、実用化が進んでいる。今回の発表により日本国内への普及も期待される。

この日披露されたのは、日産自動車が製造・販売する電気自動車『e-NV200』をベースにしたFCV『シンビオFCV』だ。タクシー車両向けの提案を考えているため、ニューヨークタクシーに導入された実績のあるNV200をベース車両に選んだのもうなずける。

シンビオFCVは外部からの充電と水素の充填のどちらでも走行できるため、プラグインハイブリッド水素燃料車といえる。ベース車両に水素貯蔵タンクと燃料電池スタックを追加し、バッテリーや駆動用モーターは電気自動車として搭載していたものをそのまま使う。ただし、駆動用のバッテリーは追加搭載されていて、総電力量は24kWhから36kWhに変更されている。

航続距離は500km以上。700気圧の水素燃料タンクは、車両後方の床下に搭載され、3.6キロ充填が可能だ。燃料補給は3分で完了しフル接続状態になる。ベース車両と比べても、車内の広さがほとんど変わらないのが特徴だ。また、ボンネット内もほとんど変更はなく、燃料電池システムの部品を追加しただけだ。構造としては特別ではないが、小型化させるのに苦労したという。

シンビオFCVは航続距離が長く、都市部の大気を汚染することなく走行できる。同社は、毎日走行するタクシーには最適と考えていて、新たな業務用車両の市場を開拓していく方針だ。一般に、水素燃料車というと、水素ステーションなどインフラの問題が出てくるが、タクシーや路線バスであれば、走る範囲がある程度決まってくるので、そこまでの障壁にはならない。加えて、電気でも走れる点は大きな利点だ。

電気と燃料電池のハイブリッドとしたのは、必要に応じて安価なエネルギーを選べるようにするためだ。夜は電気料金が安いから電気で、日中は水素で、と選べる柔軟性があり、ランニングコストを重要視するタクシー向けによく考えられたシステムだ。また、電気自動車とは異なり、どのような天候下でも安定した走行距離を確保できることも重要だ。

会場には、シンビオフセルの株主で、ミシュランやエンジーといったフランスを代表する企業や、フランス政府関係者も参加し、この分野への力の入れようを感じる記者発表となった。フランスで実績のあるシンビオフセル。新たなFCVの日本投入で、国内のFCV市場が活気づくことに期待したい。

日産『e-NV200』ベースのFCV車を発表!…仏シンビオフセル

《カーケアプラス編集部》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 新型マツダ『CX-5』発表に「先代よりマッチョ」「今風になった」など反響! 注目はサイズとインテリア
  2. レクサスの新境地を開くか...『ES』に「スポーツクロス」導入の噂
  3. スバル初の小型EVクロスオーバー『アンチャーテッド』、7月17日発表へ
  4. 何が変わる? 国交省が自動車整備の「事業規制」を見直し…知っておくべき7項目
  5. ほんと? マツダ『CX-5』新型、価格は350万~420万円か
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  4. 栃木ホンダ販売、テラチャージの急速充電器設置…EV充電環境を強化
  5. トヨタや京大、全固体フッ化物イオン電池開発…従来比2倍超の容量達成
ランキングをもっと見る