ヒノキ風呂が線路を走る! JR東日本『四季島』車内を初公開 | レスポンス(Response.jp)

ヒノキ風呂が線路を走る! JR東日本『四季島』車内を初公開

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初めて車内が公開されたクルートレイン『四季島』の「四季島スイート」。3泊4日コースでは一人あたり95万円というお値段だ。
初めて車内が公開されたクルートレイン『四季島』の「四季島スイート」。3泊4日コースでは一人あたり95万円というお値段だ。 全 38 枚 拡大写真
JR東日本は3月16・17日の2日間、上野駅(東京都台東区)で豪華寝台列車(クルーズトレイン)『TRAIN SUITE 四季島』の車両を報道陣に公開した。試運転中に各地で報道公開が行われたが、車内も含めた本格的な公開はこれが初めて。5月1日にデビューする。

『四季島』は上野駅を起点に東日本を周遊するクルーズトレイン。10両編成1本のみ製造されたE001形で運行される。電車と気動車の機能を両方備えた「EDC方式」を採用しており、電化区間は架線から供給される電気でモーターを回す電車、非電化区間はディーゼルエンジンで発電した電気をモーターに送る電気式気動車として走る。

JR九州のクルーズトレイン『ななつ星in九州』のような機関車けん引方式を採用しなかったことについて、運輸車両部車両技術センターの照井英之所長は「機関車を運転できる乗務員の手配の問題などがあり、機関車けん引は当初から考えていなかった。『四季島』が走るルートの大半は電化された幹線。一方で支線への乗り入れも考慮してEDC方式を採用した」などと述べた。

架線電圧は直流1500Vと交流2万V/50・60Hz、交流2万5000V/50Hzに対応しているが、このうち交流2万V/60HzはJR西日本(北陸地方)やJR九州の在来線、IRいしかわ鉄道などで採用されているもので、『四季島』の運行コースには存在しない。照井所長は「保安装置の問題もあるから、直ちに(北陸や九州に)乗り入れできるわけではない。各線を運営する事業者との兼ね合いもある。ただ将来の可能性は確保しようと思った」などとしている。

各車両の記号番号は1号車が「E001-1」で、10号車の「E001-10」まで順に付番されている。JRの車両は通常、「モハ」「キハ」などのカタカナ記号で動力や車内設備の種類を表しているが、E001形ではカタカナ記号を使っていない。「最近は烏山線のEV-E301系(蓄電池電車)など、従来の電車や気動車(の枠組み)とは異なる車両ではカタカナ記号を使っていない。E001形も同じ。カタカナ記号の廃止の布石ではない」(照井所長)という。

■通路側は小型窓が多数

編成両端の1・10号車は、大型のディーゼル発電機とモーターを搭載した展望車。運転台の後方に展望室を設けている。運転台越しに編成の先頭・後方の景色を見渡すことができるほか、側面も天井まで回り込んだ大型の窓を設置。「木漏れ日」をイメージしたという網目状の独特な配置で、木々の合間から外の景色を眺めている気分になれそうだ。

寝台車は2・3・4・7・8・9号車の計6両。いずれも2人用個室が設けられている。このうち2・3・8・9号車にモーターと集電装置(パンタグラフ)が搭載された。

7号車を除く各号車には「スイート」を1両につき3室設置。各室ごとにソファとトイレ・シャワー室が設置されており、ソファは夜間時にはベッドに変わる。4号車の1室はバリアフリー対応になっており、車椅子でも室内に入れるようドアやトイレ・シャワー室などを広く取っている。

個室側の窓は大小の窓を配置しているが、通路側は小型の窓を多数設けているのが特徴だ。通路の端から眺めてみると、絵画展で展示されている絵のごとく窓がきれいに並んでいた。

■最上級の部屋は2階建て

7号車も2人用個室が設けられているが、2階建て構造の車体を採用。部屋は「四季島スイート」と「デラックススイート」の計2室に抑えられている。

「四季島スイート」はメゾネットタイプの最上級個室。階下部に寝室、階上部には掘りごたつを備えた畳敷きの和室を設けた。ヒノキの浴槽を備えた浴室も設置されている。

「デラックススイート」も「四季島スイート」とほぼ同じ大きさのスペースで設けられているが、こちらはメゾネットタイプを採用しておらず、ソファ・ベッドがある部分は床を低くすることで天井を高く取った。トイレ・浴室は向きこそ異なるものの「四季島スイート」と同じ構成だ。

5号車のラウンジ車と6号車の食堂車も、2階建て車に似た構造を採用。ラウンジ車は一部のソファ・スペースが低くなっているほか、1・10号車と同じ「木漏れ日」の独特な窓配置が特徴だ。食堂車の食事スペースは高い部分と低い部分のエリアに分けており、一部のテーブル席は椅子が窓の方を向くよう斜めに配置されている。

ラウンジ車には、実質的には編成中唯一となる乗降ドアが設置されている。『四季島』の利用者はラウンジ車のドアから車内に入って通路をたどり、自分の部屋へ向かう。地上にあるホテルと同様のシチュエーションを演出しているわけだ。なお、他の車両のドアは乗客の乗降用としては通常使用せず、7号車などは乗降用のドア自体が存在しない。

■上野駅にも専用のラウンジとホーム

このほか、『四季島』の発着拠点となる上野駅にも利用者の専用ラウンジ「PROLOGUE 四季島」と専用ホーム「新たな旅立ちの13.5番線ホーム」の設置が計画され、このほど完成した。

「PROLOGUE」は13番線ホームの端部付近に整備。『四季島』が出発するまでの待合室として使われる。『四季島』が各地を周遊して上野駅に戻ってきた時には、ここでパーティーが行われるという。「13.5番線ホーム」は、13番線と14番線の線路の間にあった荷物用ホームを改築する形で整備。柵付きの細長い通路がホームの中央に設けられており、ホームの一番先はちょうど5号車の停車位置になる。

『四季島』を利用するツアーは5月1日から始まる。5・6月は関東甲信越・南東北を周遊する1泊2日コースと、東北・北海道地方を周遊する3泊4日コースのツアー列車として運行。一人あたりの旅行代金は1泊2日コースが32万~45万円、3泊4日コースが74万~95万円だ。3泊4日コースの「四季島スイート」(95万円)と新幹線の普通車指定席(通常期)を比べると、東海道新幹線『のぞみ』東京~新大阪間の約33往復分に相当。東北・北海道新幹線『はやぶさ』の東京~新函館北斗間では約22往復分になる。

JRのクルーズトレインは『ななつ星in九州』に続く2本目で、6月からはJR西日本の『TWILIGHT EXPRESS 瑞風』の運行も始まる。照井所長は「お客を奪い合うということではなく、それぞれが切磋琢磨(せっさたくま)していければといいと思う」としつつ、「『四季島』は日本初の(架線電圧4種類と内燃の)5電源。技術的な可能性を広げたエポックメイキングの車両だと思う」などと述べ、他のクルーズトレインとの違いをアピールしていた。

《草町義和》

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