ジェイテクト、新しい電動パワステの生産ラインを公開…レクサス LC 向けなど

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ジェイテクト花園工場内に新設されたRP-EPSの生産ライン
ジェイテクト花園工場内に新設されたRP-EPSの生産ライン 全 8 枚 拡大写真

ジェイテクト(JTEKT)は6月1日、同社の花園工場(愛知県岡崎市)にて、電動パワーステアリング(EPS)の新製品であるラックパラレルEPS(RP-EPS)の説明会と工場見学会を報道関係者向けに行った。

RP-EPSは、小型車に多く採用されているコラムアシストタイプのEPS(C-EPS、上流タイプとも呼ばれる)などと異なり、タイヤに近い位置にモーターユニット等を配置するラックアシストタイプの一種で、上流タイプより操舵感に優れるのが特長だ。

また、ラックアシストタイプで一般的な従来のラックEPS(RD-EPS)はモーターとラックを同軸に配置するが、RP-EPSではモーターユニットをステアリングラックと平行に配置するため、ラックまわりをコンパクトに設計可能であり、搭載性に優れるのもメリットである。

これによりRP-EPSは、主としてFR車でしか採用できなかった従来のRD-EPSと異なり、エンジンとステアリングシステムが干渉しやすいFF車にも搭載しやすい。

さらにジェイテクト独自のRP-EPSは、新開発のボールねじ構造や軸受(ベアリング)を使うことで、ラックアシストタイプとしては世界最小クラスのコンパクトさと優れた操舵感を実現。市販車では今年3月に発売されたレクサス LC500、LC500hに初めて採用されている。

技術面での見どころには、以下の4つが資料に挙げられている。

・専用設計の「複列アンギュラベアリング」:小型軽量、高剛性、静粛性を実現(アンギュラベアリングとはボールベアリングの一種)。
・「フローティング構造」:減速機部を弾性支持とすることでスムーズなステアリングフィールと路面情報の伝達性を向上。
・「ボールねじ構造」(特許出願中):ボールねじに使う支持ボールの列において、支持ボールより10ミクロンほど小さいボールをスペーサーボールとして交互に配することで、ボールを滑らかに回転させ、フリクションやノイズを低減する。
・「モーターコントロールユニットの冗長設計」:トルクセンサーやモーター駆動部の冗長化(二重経路化)を行うことで、故障時でもアシスト継続性を向上。

これらによって、RP-EPSでは操舵摩擦の低減(特に、動き出す時の摩擦力である静止摩擦を50%低減)とユニットの小型化(減速機部の外径を15%低減)、すなわち搭載性の向上を実現したという。

また、サプライヤーとしては各製造行程の自動化による生産性の向上も大きなメリットだ。高品質のRP-EPSを低コストで小・中型のFF車にも展開することができるからだ。

ジェイテクトのRP-EPSを搭載した市販車第1弾は前述のようにレクサスLCだが、すでに工場内にはそれとは別のRP-EPSが生産ラインで流れていた。すでに月産1万4000基という生産ペースから考えても、RP-EPSの他モデルへの展開は予想以上に早く進みそうだ。

《丹羽圭@DAYS》

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