「クルマを心で磨いて20年」郡司公生という生き方とは?

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20年間クルマを心で磨き続けてきたアペックス郡司社長
20年間クルマを心で磨き続けてきたアペックス郡司社長 全 26 枚 拡大写真
5月20日。栃木県の宇都宮グランドホテルで、あるカーディテイリングショップの「創立20周年記念感謝祭」が開催された。そのショップの名は「アペックス」。地方都市に本拠を構える1軒のプロショップとしては異例ともいえる規模で行われた記念式典には、アペックスファンや全国のショップオーナーなど約450名が集結した。

「スーパーカーとJAZZの共演」と銘打たれた会場に流れる、“非日常”ともいえる贅沢な時間。これは同社の郡司公生社長が歩んだ20年という時間が結実したものだ。今回はカーケアプラス編集部員も参加させてもらった感謝祭の様子とともに、郡司社長のこれまでの道のりについて少しご紹介したい。

◆お客様に感謝の気持ちを込めて

豪華絢爛なパーティー会場。参加者は目の前で奏でられるジャズの音色に身を委ねながら、振る舞われた食事に舌鼓を打っている。一見するとテレビドラマの打ち上げや、誰もが名を知るような大企業の記念式典のようにも映る。あまりにも華やかな空間。これを創り上げたのが、スタッフ14名のカーディテイリングショップだと聞いても信じる人は少ないかもしれない。

「20周年を迎え、お客様に感謝の気持ちを伝えたい。魅力的なクルマを眺めながら特別なひと時を過ごしてください」

郡司社長の挨拶で始まった宴は、その言葉通り感謝の気持ちが至る所に散りばめられた贅沢な時間となった。規格外とも言える感謝祭を企画し、現実にするのも郡司社長の“人間味”があってこそ。しかしよく考えると、自身の言葉や思いを想像以上の形で具現化することは、郡司社長がクルマを磨き続けた20年間の姿そのものなのかもしれない。

広々とした会場で、立食形式のパーティーが開催された

スペシャルジャズライブが始まり、しっとりとした雰囲気に包まれた

◆エリートサラリーマンからの転身

この日、多くの参加者の視線を集めた郡司社長。しかし、ここに辿り着くまでの道のりは決して一筋縄とはいかなかった。

幼少時から大のクルマ好きだったが、東京の大学を卒業後、郡司社長が選んだ道はクルマとは全く関係のない食品機械メーカーへの就職だった。当時の夢はアメリカの駐在員になること。その夢を追いながら、海外出張を繰り返すエリートサラリーマンとして汗を流していた。家庭では夫人と3人の娘に囲まれる良きパパ。絵に描いたような幸せな日々が過ぎていった。

しかし入社から5年が経った頃、大きな転換期を迎える。ある人物との出会いによって、郡司社長は人生の舵を大きく切ることになったのだ。その人物とは、“洗車のカリスマ”と呼ばれるモービルクリーンベースの高木靖夫代表。イベントで見かけた高木氏が洗車する姿に感銘を受け、高木氏の手伝いをすることになったのだ。そのなかで、郡司社長の心に「クルマを綺麗にしてお客様に喜んでもらうことを一生の仕事にしたい」という思いが芽生えてくる。

そんなタイミングで出されたのが、ずっと目標としてきた「アメリカ駐在の辞令」だった。運命のいたずらとしか思えない話だが、そこで郡司社長が選んだのは“洗車道”だった。夫人を説得すると、会社に辞表を提出し、コーティング専門店の独立開業を目指す道を選択したのだ。そこから高木氏に弟子入りし、事務所で寝泊りしながらの修行生活が2年ほど続いた。

◆始まりは自宅脇の小さなガレージ

1997年3月、ついに独立。始まりの場所は『自宅脇の小さなガレージ』だった。ついに夢を実現したが、最初の1年間は思うように仕事が入って来ず、ディーラーでアルバイトをしたこともあった。悔しさと情けなさに打ちひしがられる日々。しかし、そんななかでもひたすらにクルマを磨き続け、少しずつお客様の信頼を獲得していった。



2000年には社名を現在の「アペックス」へ変更。その後、純水による洗車やコーティング完全乾燥ブースの導入など、アペックス独自の施工技術が評判となり、数々のモーターショーやスペシャルイベントに技術提供を行うようになった。

今では、全国各地にファンを持ち、コーティング業界で知らない人はいないほどの有名店となった。しかし、そのような評判にあぐらをかくことなく、店舗では現在も強いこだわりを前面に打ち出した施工が行われる。郡司社長の隣にいつもいる14名のスタッフにもその思い伝わっている。このように歴史を紡ぎ、20周年という節目に到達した。

郡司社長による全スタッフの紹介。入社時のエピソードが語られ心温まる場面となった

◆ジャズとエキゾーストサウンドが入り混じる異空間

感謝祭で美味しいお酒とジャズとともに参加者を酔わせたのが、会場に並べられたスーパーカーやヴィンテージカーの数々だ。

最上級のコーティングとラッピングが施された、アペックス創立20周年記念仕様の「マセラティ・グラントゥーリズモ」のほか、日本では発売前の「アルファロメオ ジュリア」、往年の名車として根強い人気を誇る3車種「MG Lタイプ マグナ」「ディーノ246GT」「ランボルギーニ・カウンタックLP400」などが並ぶ光景は圧巻だった。

アペックス創立20周年記念仕様の「マセラティ・グラントゥーリズモ」

日本では発売前の「アルファロメオ ジュリア」

滅多にお目にかかれないレア車「MG Lタイプ マグナ」

さらに試乗会も行われ、まだ日本に2台しか入荷されていないという「ランボルギーニ アヴェンタドールS」をはじめ、「フェラーリ488スパイダー」「マクラーレン570」「ロールス・ロイス レイス」「ベントレー ミュルザンヌ」「マセラティ レヴァンテ」という、錚々(そうそう)たる注目モデルが揃えられていた。

興奮を隠せない参加者達。憧れのクルマとツーショット写真を撮ったり、コックピットに座ってハンドルを握るなど、醒めなくてもいい夢に誰もが浸っていた。

上品なジャズの音色と、豪快でアグレッシブなエキゾーストサウンドが同居する空間。こんな粋な演出を目の前にし、参加した記者も終始心酔しきりだったのは言うまでもない。

日本に2台しか入荷されていないという「ランボルギーニ アヴェンタドールS」

スタイリッシュなデザインが目を引く「マクラーレン570」

エレガントで重厚感がある「ベントレー ミュルザンヌ」

◆アペックスならではの感謝祭

今回の感謝祭は、アペックスに絶大な信頼をよせ、郡司社長の思いに賛同した多くの人たちの協力を得て実現したもので、日頃からスーパーカーやプレミアムカーなど、突き抜けたクルマを最高級の品質で仕上げているアペックスならではのイベントだった。

「私がよくスタッフに伝えることの一つに『クルマを心で磨く』という言葉があります。クルマを磨く時、もちろん道具や技術は必要だけれど、それ以前に『お客様に喜んでいただきたい』という思いがないとキレイにすることはできません。技術がなくても『キレイにしたいという思いと心』があれば、その“思い”でクルマを輝かせることができるし、お客様を感動させることができると思っています」

ステージで郡司社長が口にした言葉こそ、アペックスの真髄だ。朴訥とした優しい語り口と柔らかい笑顔が印象的な郡司社長の胸の奥には、どんなことがあっても絶対に揺るがない、強く熱い思いがある。

「クルマの輝きを通して、お客様一人ひとりの人生を輝かせられるような会社になりたい」

感謝祭の場で20周年を機に「もっとクルマと人生に輝きを」という、新たなコーポレートメッセージを策定し、洗車を中心とした新店舗の計画なども発表された。これからも挑戦は続いていく。

クルマを心で磨いて20年。郡司社長の夢が“曇る”ことは決してない。お客様の感動を追い求めるコーティング業界のトップランナーとして、今後も輝き続ける。

郡司社長の思いは確実にスタッフへと伝わっている

「クルマを心で磨いて20年」郡司公生という生き方とは?…アペックス20周年記念感謝祭

《カーケアプラス編集部》

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