フェラーリにSUVは似合わない…フェラーリ極東・中東エリア統括CEO【インタビュー】

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フェラーリ812スーパーファスト
フェラーリ812スーパーファスト 全 8 枚 拡大写真

今年創業70周年を迎えるフェラーリ。日本においても1966年から様々なモデルが輸入され、重要市場と位置付けられている。フェラーリ極東・中東エリア統括CEOと、フェラーリ・ジャパン&コリア代表取締役社長に、フェラーリと日本市場、そして将来について話を聞いた。

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◇日本市場での成長の要因はお客さまとモデルレンジとデジタルメディア

---:フェラーリは古くから日本に対して積極的に展開しており、ここ数年は販売台数も好調です。そこで、まずあなたは中東を含めた広い地域を担当していますので、そういったところと、日本との違いはあるのでしょうか。

フェラーリ極東・中東エリア統括CEOのディーター・クネヒテル氏(以下敬称略):最も強調したいのはフェラーリにとって日本市場は非常に重要だということです。その理由は、台数や成長面もありますが、それ以上にこれまで連綿と輸入してきた伝統、ヘリテージという点が重要なのです。1966年以来我々は50年にわたって日本市場で展開しています。つまりフェラーリは強力に日本市場で展開し続けているということなのです。

また、お客さまが我々のDNAでもあるモータースポーツというカルチャーを十分理解し、情熱を持っています。そういった強固な基盤を持つことで、フェラーリは今後も日本市場において成長していくと考えています。

さて、他の市場との比較ですが、確かに市場によってはカルチャー的には各々違った面があります。しかし、そういったすべての市場においてひとつの共通点がある。それはフェラーリに対するパッションです。

---:日本での販売状況は、好調に推移し2015年は初めて700台オーバーの720台を記録しています。なぜフェラーリは好調に推移しているのでしょう。また当然台数が増えていますので、新たなお客さまも増えていますが、どんな新しいお客さまを取り込んでいるのでしょうか。

フェラーリ・ジャパン&コリア代表取締役社長のリノ・デパオリ氏(以下敬称略):この好調には2つの理由があると考えています。ひとつは、日本導入開始50年という長い歴史の中で培った、非常に情熱的なお客さまが多くいらっしゃるということです。

もうひとつはモデルレンジです。『GTC4ルッソ』は大変成功しており、『カリフォルニア』や「カリフォルニアT」も成功。特にカリフォルニアTは日本市場においてとても好調です。

つまりお客さまとの長いお付き合いがあることと同時に、新たなモデルが若い方々にも受容され、新たなお客さまを獲得出来ているのです。この2つの理由から成功したのではないかと思っています。

---:なぜ今若い方々にまで訴求が出来たのでしょう。

リノ:商品の多様性とともに、我々のコミュニケーション戦略によるものです。例えばソーシャルメディアなどを使いブランド展開を行っています。インスタグラムやtwitter、 Facebookを日本語で展開しています。また、ferrari . com も世界6か国語で展開していますが、そのうちの1か国語は日本語です。70周年を記念する特別なウェブサイト、「ferrari70.com」でも日本語を展開しています。こういったデジタル戦略が鍵になってるのです。

---:では、日本の経済状況は実質的に良くなってはいないと思いますが、それでもマーケット的な観点からどうして伸びているのでしょう。

リノ:私が日本に来て3年経過しましたが、フェラーリが属するスーパースポーツカーセグメントは好調で、毎年記録更新しています。これは我々だけではなく他のブランドでも同様です。その中で、我々の製品戦略が生きているのです。非常に強い顧客基盤があり、そこに新しい商品を投入することで、新しいお客さまをも巻き込むことが出来ているのです。エクスクルーシブであるということは維持しつつも、成長を目指していくという戦略なのです。

◇生産台数とプレミアムブランドの関係性

---:今エクスクルーシブというお話が出ましたので、台数の話を聞かせてください。2016年のフェラーリ全体の販売台数は年間8000台ぐらいでした。2017年の第1クオーターの結果でも2000台ほどでしたので、今年も8000台ぐらいの生産計画になると思います。一方かつてフェラーリのリーダーだった人は、フェラーリのプレミアムブランドとしてのバリューを保つためのプロダクトの上限は7000台ぐらいだと話していました。現在はそれを1000台超えているのですが、生産台数とプレミアムブランドとしてのバリューの関係を今フェラーリはどのように考えているのでしょう。

ディーター:我々のエクスクルーシブ性という企業理念に全くブレはありません。生産台数が1000台プラスになっているがというご指摘ですが、やはりエクスクルーシブ性はそのまま保っています。

このエクスクルーシブ性を保つための確固たる数字というものはありません。つまり、”その上限はここで、これを超えてはならない”、ということではなく、多少の柔軟性を加味しています。我々もこのマーケットの中で成長したいという意志がもちろんありますからね。

またこの伸びというのは我々が設定するものではなく、その市場の状況に応じて自然に伸びていくものです。そこで、マーケットの中で上限の数字をあらかじめ想定し、それよりも一歩引いたぐらいの数量という程度が、このエクスクルーシブ性を保つための台数だと捉えています。

◇スーパーファストのネーミング

---:少しクルマの話をしましょう。新たなモデルのひとつに、日本にも先ごろ導入されたフェラーリ『812スーパーファスト』があります。なぜフェラーリはこの812に対して “スーパーファスト”というサブネームを与えたのでしょう。1950年代から60年代序盤にかけて“アメリカ”、“スーパーアメリカ”の名前で作られた一連のモデルの流れをくむ、フェラーリが作る少量生産クーペの最後のモデルの名称をあえて、この812に与えたその思いをお聞かせください。

リノ:1960年代には『500スーパーファスト』というモデルがありました。その当時のフェラーリと同様にGTカーに12気筒を搭載するという伝統に則っていますので、今回この812にスーパーファストというサブネームをつけるのは合理的ではないでしょうか。もちろん技術的に我々は前を向いていかなければいけませんが、時には過去も振り返る必要もあります。

また性能面においても、史上最速かつ最もパワフルなフェラーリ812に対してスーパーファストというサブネームをつけるのは納得出来る部分です。

---:この812スーパーファストのユーザープロファイルはどのように想定していますか。

ディーター:812スーパーファストはフェラーリのトップパフォーマンスを誇るクルマであり、フェラーリ史上最速です。そこで、ハードコアのフェラーリストと呼ばれる方々が頭に浮かびます。純粋にスポーツカーが大好きで、常にベストで、トップエンドを望まれる方です。更に他に類を見ないデザインやパフォーマンスも公開していますので、フェラーリの既存ユーザーだけでなく、他のブランドを所有している方も目を向けてくるのではないかと思っています。

◇伝統の12気筒NAエンジン

---:812スーパーファストには6.5リットルV型12気筒エンジンが搭載されていますが、フェラーリが12気筒にこだわる理由は何でしょう。

ディーター:フェラーリは唯一スポーツカーメーカーとして12気筒を常に作ってきたという伝統を持っています。最初のモデルから70年経っていますが、今日のスーパーファストにおいてもこの12気筒は堅持しています。つまり、我々のブランドにとってこの12気筒はヘリテージという面においても非常に重要なのです。

---:では12気筒エンジンはこれからも自然吸気にこだわり続けるのでしょうか。

ディーター:はい。お客さまからも自然吸気に対する期待が高いのです。

---:現在812スーパーファストを含め12気筒のベルリネッタシリーズは、フロントエンジンレイアウトを取っていますが、今後、限定モデル以外でミッドシップレイアウトの予定はありますか。

ディーター:ここ数年のうちにはそれはないでしょう。もちろん将来に関しては様々な考えやシナリオを検討していますが、今の時点では詳細を語ることはご勘弁ください。

◇フェラーリにSUVと自動運転は似合わない

---:現在多くのハイパフォーマンスブランドやラグジュアリーブランドにおいて、自動運転や電気自動車、更にはSUVが語られています。そういった面について現在のフェラーリの考えを教えてください。

ディーター: よく聞かれる質問ですね(笑)。まず我々にとっては完全自動運転であるとか、完全電気自動車、また完全な形のSUVは、お客さまが求めていないということで、現在具体的な計画はありません。ただし、電気化についての研究は重ねています。

---:繰り返しになりますが、SUVは、ロールスロイスやランボルギーニなどでも投入が計画されるほど、様々なプレミアムブランドが取り組んでいます。一方、今おっしゃられたようにフェラーリだけはそういった話はありませんが、そのまま額面通りに受け取ってよいですか。

ディーター:フェラーリに関してはSUVの計画は現在ありません!! まずフェラーリのDNAにSUVはマッチしません。また、我々は現在軽量化に積極的に多く取り組んでいます。これはより速く、より効率的にということで、材料の軽減、軽量化に取り組んでいるので、SUVは今我々が向かう方向ではないのです。

◇70周年記念イベント

---:最後に、日本ではフェラーリ70周年記念イベントが10月に開催されます。これは特別なカスタマー向けのツアーと聞いていますが、一般向けのイベントを開催する予定はありますか。

リノ:日本はとても重要なマーケットで、今年はとてもエキサイティングな年でもあります。10月に特別なイベントを予定しており、この中にはファンの方も巻き込んで何らかの形で参加してもらえるような企画を考えていますので、ご期待ください。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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