秋田港「ボートトレイン」試験運行始まる…JR東日本の旅客列車、貨物線に乗入れ

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貨物専用の秋田港駅で発車を待つ旅客列車。クルーズ船の客に限定して8月6日まで試験運行される。
貨物専用の秋田港駅で発車を待つ旅客列車。クルーズ船の客に限定して8月6日まで試験運行される。 全 16 枚 拡大写真

JR東日本は8月3日、秋田~秋田港間(秋田市)でクルーズ船の乗客を対象にした旅客列車の試験運行を始めた。一部の区間は秋田港に通じている貨物線に乗り入れ、クルーズ船との接続を図る。

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試験運行初日の8月3日は8時頃、日本クルーズ客船「ぱしふぃっくびいなす」(総トン数2万6594トン)が秋田港の中島ふ頭に接岸。乗船客のうち約70人が秋田港駅までバスで移動し、同駅を9時03分に発車する旅客列車(キハ40系気動車4両編成)に乗り込んだ。

秋田港駅は貨物専用駅のため常設の旅客用プラットホームがなく、試験運行にあわせてタラップを2カ所に仮設。運賃収受はタラップ上で乗車証明書を配布し、秋田駅到着後に運賃(大人200円)を精算する方式を採用した。

旅客列車は1.8km先の土崎駅まで、最高25km/hのゆったりした速度で奥羽本線の秋田港貨物支線を走行。通常は旅客列車が運行されておらず、窓の外には列車を珍しそうに眺める沿線住民の姿も見えた。土崎~秋田間は、旅客列車が毎日運行されている奥羽本線の線路を走り、秋田駅には9時32分に到着した。

夜間はクルーズ船に戻るための列車が秋田21時03分発~秋田港21時18分着の時刻で運行される予定だ。兵庫県から来たという60代のクルーズ客夫婦は「最初はタクシーで市街地に出るつもりだったが、列車で安く移動することができて助かった。帰りの列車は夕方にも運行してほしい」などと話した。

試験運行は8月6日まで行われる予定。4日は3日と同じ時刻で運行される。5日は秋田港15時21分発~秋田15時50分着、秋田21時03分発~秋田港21時18分着の時刻で運行。6日は午前に秋田港発2本(9時03分・10時47分)、夜間に秋田発2本(19時20分・21時03分)が運行される予定だ。いずれもクルーズ船の乗客のみ乗ることができる。

■貨物線を借りて旅客列車を運行

船舶との連絡を図るため港湾部の貨物駅に乗り入れる旅客列車は、「ボートトレイン」と呼ばれる。日本では戦前、横浜・新潟・敦賀・長崎各港に乗り入れるボートトレインが、外航客船の出港日にあわせて多数運行されていた。しかし、戦後は航空機が国際交通の主流となったこともあり、姿を消した。

このほか、海峡部など鉄道を建設するのが困難な区間を結ぶ「鉄道連絡船」も、青森~函館間(津軽海峡)や宇野~高松間(瀬戸内海)などで運航されていた。一部の航路では鉄道車両を搭載できる船舶も導入されたが、トンネルや橋りょうの建設で廃止されている。

秋田港はクルーズ船の寄港地で、秋田竿燈まつり(8月3~6日)の期間中は多数のクルーズ船が寄港する。秋田県と秋田市も秋田港をクルーズ拠点と位置付け、周辺のまちづくりを進める事業を実施している。

クルーズ船の客は従来、観光バスやタクシーで秋田市の中心市街地や秋田県内の観光地にアクセスしていたが、渋滞による遅れなどが課題になっていた。このため秋田県と秋田市は、秋田港駅に乗り入れる旅客列車の運行をJR東日本に要望した。

JRは旅客6社が地域ごとに線路施設を保有して旅客列車を運行しており、JR貨物は旅客6社から線路施設を借りて貨物列車を運行している。ただし、貨物列車しか運行されていない貨物線は通常、JR貨物が線路施設を保有。旅客6社は貨物線で旅客列車を運行するための許可を受けていない。JR東日本は6月29日、秋田港貨物支線の線路を借り入れて旅客列車を運行するための第二種鉄道事業許可を申請。7月21日に許可を受けた。

クルーズ船が接岸した中島ふ頭は秋田港駅から約600m離れており、実質的には船から列車に直接乗り継ぐことができない。秋田港駅から北へ延びる秋田臨海鉄道北線は中島ふ頭に近いところを通るため、北線に仮設の駅を設けることも検討されたという。しかし「北線は休止線で、列車を運行するためには修繕が必要」(関係者)などの問題があり、今回は秋田港駅にタラップを仮設した。

関係各者は試験運行の終了後に課題を整理。2018年度以降の本格運行を目指して検証を行う方針だ。

《草町義和》

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