【川崎大輔の流通大陸】インドネシア、中古車オークションの浸透

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日本国内にて二輪車オークションの大手である株式会社ジャパンバイクオークション(JBA)は、2011年にインドネシアで二輪と四輪のオークションビジネスに参入した。その後、インドネシアにおける自動車オークションビジネスはどのように変化したかについてJBAインドネシアの代表、塩山氏に話を聞いた。

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◆ JBAインドネシアについて

現在、JBAインドネシアには220名ほどの従業員がいる。メインのオークション会場はジャカルタにある。それ以外にも10か所、インドネシア各地でオークション会場を運営している。

ジャカルタのメイン会場を訪問すると、威勢の良い声が聞こえてくる。手競りオークションを仕切るMCをやっているインドネシア女性の声だ。価格をあげていき価格を競わせる。バイヤーがいる建物の前に商品の中古車が移動してくる。すると彼女の掛け声に合わせて、バイヤーが番号の書かれた札をあげる。競り値があがり、競合者がいなくなると中古車の落札が決定する。落札スピードは1台1分強ほどだ。現在2レーンで同時に競売を行っており1時間で約90台の競りが行われる。成約率は50%ほど、落札ができなかったら場合は、翌週にオークションのスタート金額を下げて再度出品をする形が一般的だ。

JBAインドネシアのジャカルタ会場では毎週火曜日の13時に四輪オークションがスタート。出品される中古車は、オークション開催の3日前から会場の中古車ストックヤードで見ることができる。バイヤーは事前に興味のある中古車の下見をする。当日、目当ての中古車が競りに出るとバイヤーの顔は真剣になる。バイヤーは地方からも来ているという。2012年に筆者がJBAインドネシア訪問した際、毎月1回のオークションの開催で約150台/月の出品台数であった。現在では毎週1回の常時開催で、1回あたりの出品台数は約450台/週となっている。単純に計算しても12倍。ここ数年でオークション会場も増えてきた。現在はジャカルタに12か所のオークション会場がある。インドネシアの中古車流通で、オークションという流通システムが業界内に認知されてきた証拠だ。

◆インドネシアにおける中古車流通の実態

一般的に日本の中古車ディーラーは自動車オークションから仕入れ中古車を仕入れる。一方、インドネシアでは多くをブローカーから仕入れる。つまりブローカーネットワークの大きさと質が中古車ビジネスの強みとなる。

インドネシアのブローカーの重要な役割として、都市から地方への中古車流通を担っている点があげられる。地方のエンドユーザーは購入したい中古車があると、近所の中古車販売店に希望を伝える。中古車販売店は地元ブローカーに条件を指示。地元ブローカーは信頼できる都市のブローカーに連絡して、都市の中古車販売店で希望の中古車を見つける。都市で仕入れられた中古車は、それぞれの販売店・ブローカーで中間マージンを加算されながら、最終的に地方のエンドユーザーの元に届いていく。

販売もこの逆である。販売したい中古車があった場合は信頼できるブローカーに情報を流す。お客がディーラーに来なくてもブローカーが売ってくれる。インドネシアではブローカーが暗躍しやすい市場の構造となっている。まるで昔の日本と一緒だ。

◆インドネシアにおけるJBAの成功要因

「中古車ビジネスの現場を知っている人間がいない」(塩山氏)。つまり「日本で中古車ビジネスを経験した人間が、直接意思決定して様々な改善をしていくことが成功する要因ではないだろうか」と指摘する。

通常であれば、現場の末端のスタッフが改善をすれば良いがインドネシアではそのような提案が出てこない。オークションビジネスはバイヤーと出品車の両方を一緒に回す必要があるため、結構難しいビジネスだ。中古車ビジネスを知っている日本人がお客様と話をし、現場を見たりしながらスピーディーに改善を実行していく必要がある。

JBAインドネシアは、インドネシアにオークション流通が認知されていなかった頃に参入した。塩山氏は「1つ1つについて微修正、最適化をしなくてはいけない。現場を見ないとわからない。ほっといても大丈夫ということはありえない。だからちゃんと真面目に見ていかないといけない」と語っている。

2012年のJBAインドネシアへの出品車のほとんどはファイナンス会社からの引き揚げ自動車であった。しかし現在は、ファイナンス会社からの出品は半分ほどで、出品台数の35~40%が中古車ディーラーからの出品となっている。つまり、インドネシアの中古車流通が、ブローカーを活用したものから徐々にオークションを活用した流通へシフトしてきている。

◆ インドネシアにおけるオークションビジネスの展望

「インドネシアは成長の余地がある市場だ、いろいろと未整備な部分もあるけれどそこが面白い」と塩山氏は語る。インドネシア自動車製造業者協会(ガイキンド)によると、2016年の新車販売台数は106万台と前年から4.6%増加した。中古車市場規模は新車販売台数が先行指数となっている。長期的にはインドネシアの中古車発生量が増加するだろう。インドネシア全体の新車販売台数はジャカルタ特別州が最大の市場となってはいるが、隣接する西ジャワ州、東ジャワ州などでも市場規模は大きい。スラバヤ(ジャワ島)、メダン(スマトラ島)、マカッサル(スラウェシ島)など人口100万人以上の都市が10か所ある。

地方都市もインドネシアの経済発展に大きく貢献しており、更なる自動車需要が見込まれる。ジャカルタで発展してきたオークション流通が地方へ拡大していく可能性は高い。インドネシア国内の1000人あたり保有台数は日本の約600台に対して約80台前後である。インドネシアにおける自動車普及率がまだ低くまだ拡大する余地は大きい。インドネシアの中古車オークション流通はこれから黎明期を迎えることになるだろう。

<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究

《川崎 大輔》

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