ハイビームが夜間事故を防ぐ…マツダ「アダプティブLEDヘッドライト」の実力を試した

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マツダCX-3に標準装備されたアダプティブLEDヘッドライト(最廉価グレードを除く)
マツダCX-3に標準装備されたアダプティブLEDヘッドライト(最廉価グレードを除く) 全 8 枚 拡大写真

安全装備のパッケージ化、標準装備化を進めるマツダ。なかでもこのところ、とくに意欲的に感じられるのが、アクティブハイビーム(またはアダプティブハイビーム)の標準装備化だ。

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アクティブハイビームとは、対向車や先行車、街灯などを検知し、状況に応じてハイビームとロービームを自動的に切り替えるヘッドランプのこと。単純にハイ/ローを切り替えるタイプのものと、郊外路や高速道路においては先行車や対向車を避けてハイビーム照射するフルアクティブタイプのものがある。

マツダは2015年1月、フルアクティブハイビーム(アダプティブLEDヘッドライト=ALH)を『アテンザ』と『CX-5』に採用した。が、それにとどまらず、Cセグメントの『アクセラ』、さらにはマツダがSKYACTIVモデルと称する新世代モデル群のベーシックラインである『デミオ』にまで拡大展開した。SKYACTIVモデルでALHがつかないのは『ロードスター』のみ。ヘッドランプのモジュールを小型化する必要があるが、早晩装備されるだろう。

そして今年、サブコンパクトSUV『CX-3』をマイナーチェンジするにあたり、ハロゲンヘッドランプの最安グレードのみハイ/ロー自動切換えで、それ以外はすべてALHを標準装備とした。BCセグメント相当のモデルでフルアクティブハイビームを持つモデル自体まだまだ少ない。その中で標準装備化に踏み切ったのは世界で初めてだ。

そのCX-3のALHをマツダのメディア向け安全装備体験会で試してみた。千葉郊外の真っ暗な広場を道路に見立て、ヘッドランプを点灯させたクルマを反対車線に置いて、CX-3のALHをオンにして走行。対向車に正対しないうちは前方を幅広くハイビームで照射する。カーブを曲がるときには曲がる方向も照射するので、実に見やすい。

そして対向車が正面視界に入ったとたん、ハイビームのまま右前方だけがさっと暗くなる。対向車側からも見てみたが、ロービームで走ってきたようにしか見えなかった。

「マツダのクルマの楽しさを支える安全・安心のなかでも、夜間視界はとても大事な要素だと考えています。ALHがあると、たとえば真っ暗な夜の田舎道の路肩に歩行者や自転車がいるようなときでもかなり遠くから存在を認知できる。運転者の視界を確保してあげられる技術があるのなら、それは広く採用すべきだと考え、CX-3では思い切って標準装備としました」(猿渡健一郎・商品本部副本部長)

(編集部註:マツダは、ハイビームを適切に使うことで、早期の事故回避が可能となる、としている。また茨城県警によると夜間歩行者事故の内「ハイビームであれば58%の事故が回避できた」と分析している)

筆者は今年3月、デミオのフルアクティブハイビーム仕様で東京~鹿児島間をツーリングしたが、夜に対向車や先行車の有無によって生き物のようにうねうねと照射範囲が変わるのを見て「こんな小さなクルマでもインテリジェント配光機能を備えているのか!」と、かなり気分が良かったのが印象に残っている。メッキパーツの多いトラックの検知が甘いなど、まだ完全でない部分もあるが、ALHがあるのとないのではナイトクルーズの快適さ、楽しさがまるで違う。

欠点はランプユニットのコストがまだまだ高いことだが、「ライバルメーカーがALHの標準装備化や低価格車へのオプション設定に乗り出してくれば、コストはどんどん下がると思う。うちがそのきっかけになれれば幸い」(猿渡氏)と、今後のコストダウンに期待を寄せる。フルアクティブハイビームが当たり前の時代が来るのも、そう遠い未来のことではないかもしれないと、期待が膨らむところであった。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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