東京の水上バスで「客貨混載」実証実験…手ぶらで観光&代替ルート

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東京水辺ライン「あじさい」
東京水辺ライン「あじさい」 全 13 枚 拡大写真

東京の隅田川を行き来する水上バスでの「客貨混載」実証実験が10日、始まった。墨田区の吾妻橋(東詰)から中央区明石町の聖路加ガーデン前までの第一便が報道陣に公開された。

東京都、東京都公園協会、ヤマト運輸の3事業者は共同で、東京都が所有する防災船であり、平常時には公園協会が「東京水辺ライン」として旅客運航している水上バスを活用した客貨混載の実証実験を、8月10~31日の期間で実施する。

実証実験は、手ぶら観光サービスの拡充や、 CO2の削減と交通渋滞緩和の取組としてモーダルシフトを推進するヤマト運輸と、災害時に帰宅困難者だけではなく医療器材や救援物資の輸送も円滑に行なうことを意図する東京都および公園協会の方向性が合致し、物資輸送における水上バス活用の可能性を検証する。さらにイベントなどで道路交通に規制がかかった際の代替輸送ルートの可能性も検証する。

今回の実験ではその第一歩として、東京都を訪れた観光から預かった荷物を水上バスで輸送し目的地(ホテル)まで配送することを想定して、定期運航中の水上バスで模擬貨物を輸送し、搬入・搬出における所要時間や人員、船内での安全性確保のための人員配置、旅客輸送への影響などを確認する。なお通常の運行では、現状はキャリーバッグやトランクを持っての乗船は少ないそうで、これはチェックイン後の利用が主だからと想像される。


10日の実証実験では水上バス混載専用のコンテナを用意した。2個をそれぞれ台車に乗せて移動する。これはスーツケーツ4個分に相当する。台車は上下船口の階段を既存の車椅子用のリフトで上下して、客室を出入りした。この時の通過可能空間が、コンテナの大きさと形状を決定したようだ。搬入・搬出の所要時間はそれぞれ2分30秒で、運行に影響が出るほどではなかった。

台車は、船内では乗務員用のユーティリティスペースのカウンター内に設置された。コンテナ積載のために船の改造はしていない。船体の改造は当局との許認可事案となるので、混載輸送の需給を見極めてからの課題だ。実証実験では全区間、セールスドライバーが添乗したが、将来的には無人化も想定されている。吾妻橋から明石町までの所要時間は約25分だった。

一般客はごくわずか。
ヤマト運輸東京都主管支店・東京臨海支店法人営業の高井宏昌さんは「スムーズに行けた」と実験初日を総括する。「スペースは適切か、対象は観光客だけでいいのか、受付をどうするか、など課題はある。また、例えば料金はいくらにするか、など仮定もできていない」と、初めてのトライということを強調しながらも、将来性には期待している様子。今後、輸送ニーズとの適合性や課題の抽出を通じて、実現可能性を検証していく。

《高木啓》

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