【スーパーフォーミュラ 第4戦】“F1レッドブルJr.”の新人ピエール・ガスリーが初優勝…2位に可夢偉

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スーパーフォーミュラ初優勝を飾ったピエール・ガスリー。
スーパーフォーミュラ初優勝を飾ったピエール・ガスリー。 全 16 枚 拡大写真

20日、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第4戦の決勝レースがツインリンクもてぎにて行なわれ、F1レッドブルのジュニアドライバーで昨季のGP2(現F2)王者であるピエール・ガスリーがSF初優勝を飾った。途中まで首位を走っていた小林可夢偉が2位。

前日は荒天によって予選がQ1終了段階で延期になるという予想外の事態が起きたもてぎ。この日は昼前に強めの雨が一時的に降ったものの、SFの予選Q2~Q3と決勝に関しては基本的に(ほぼ)ドライコンディションでの戦いとなった。

朝、前日から延期された予選Q2~Q3は、3人のチャンピオンがノックアウトされたQ1に続いて波乱の結果に。Q2までに全てのチャンピオン経験者がノックアウトされ、前戦までのランキング上位4人も揃って脱落。Q3進出者は8人中4人が今季新人というメンバー構成だった。

今回は今季最初の「ドライ路面用タイヤ2スペック制」で実施されたわけだが、供給セット数や天候の問題で、新投入のソフトの感触をつかむ機会がほとんどないままにレースウイークが進んできた。そういった要素も予選結果には影響しているようだ。

ポールポジションは新人の#4 山下健太(KONDO RACING/トヨタ)が初ゲット。彼は今回、常に上位につける好調ぶりを発揮している。予選2位は#18 小林可夢偉(KCMG/トヨタ)、同3位には#40 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)が続いた。

決勝250kmレース(52周)では、レインタイヤ使用の状況にならない限り、ソフトとミディアムの両方を必ず使わなければならない。どちらのタイヤでスタートするかの判断はほぼ半々に割れたが、予選トップ3はソフト、予選4~6位の3台はミディアムでのスタートを選択。

スタートから1コーナーまでの間に、ポールの#4 山下が遅れ、2番グリッド発進の#18 可夢偉がトップに立つ。そして#18 可夢偉は2番手の#40 野尻を徐々に引き離していく。快調な走りで、参戦3年目の可夢偉がSF初優勝達成かと思われた展開であった。

先頭をキープし続けた#18 可夢偉は、レース中盤過ぎの34周目にタイヤ交換と給油のためにピットへ。普通に作業が終われば、この時点で実質2番手となっていた予選4位の#15 P.ガスリー(TEAM MUGEN/ホンダ)の前に出られるはずだった。

ところがタイヤ交換作業にロスが生じ、#18 可夢偉は推定16~17秒を失ってしまう。ピットアウトした時には、#15 ガスリーが前に行っていた。差は約11秒。この時点で#15 ガスリーがソフト、#18 可夢偉はミディアムを履いていることからも、再逆転は望み薄だった。

無念の可夢偉は、「感覚的にはもっと後ろかと思いましたけど、2位で終われたことは良かったです」と振り返った。移籍先のチームを上位戦線に引き上げての初優勝は次戦以降にお預けとなったが、その時は確実に近づいているようだ。

そしてトップに立った#15 ガスリーは、そのまましっかりレースを走りきってSF初優勝を達成した。可夢偉の不運がガスリーに味方した面もあったとはいえ、参戦初年度、しかも彼にとっては未知の要素満載の日本、そこでSFというハイレベルな舞台で勝つのだから流石の一語に尽きる。天候やタイヤ規則の絡みで混乱した状況のレースウイーク、未知の者にチャンスが増した時に予選で4位となり、幸運も引き寄せて勝つという勝負強さ、これこそが大器の証明だろう。

優勝した#15 ガスリーのコメント
「素晴らしい気分だ。チーム無限にはものすごく感謝しているし、ホンダがここに持ってきてくれた(今回投入の後半戦仕様)エンジンがあったから勝てたとも思っている。シーズン序盤は厳しい戦いが続いたけど、チームのみんなと懸命に努力し続けてきて、今日こうして勝つことができた。とてもハッピーだよ。この調子を持続していきたいと思う」

シーズン開幕前のテストでは好調だったが、実戦に入ってから厳しい戦況に直面していたフランス出身の21歳ガスリー。そこを抜け出しての勝利は、来季のF1昇格(ターゲットはレッドブル系チームのトロロッソか)を狙いたい彼にとって「(F1のことを含め、いろいろな意味で)チャンスが広がる」勝利でもあった。なお、ホンダエンジンは今季SF初勝利。

#18 可夢偉に続く3位は#7 F.ローゼンクヴィスト(SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)。彼もガスリー同様に新人だが、これで2戦連続表彰台獲得である。マカオF3やフォーミュラEでの優勝経験を誇る実力を着実に発揮し始めているといえよう。

そして4位には17番グリッド発進からシリーズポイント首位の#2 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)が入った。#2 石浦はミディアムタイヤでスタートし、好ペースを維持したまま終盤までソフトへの交換&給油を引っ張る作戦でジャンプアップを果たしている。タイトル争いを考えると、この大逆転4位のもつ意味は大きい。今回7位だったシリーズ2位の#36 A.ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)に5.5ポイント差をつけ、石浦は2年ぶり2度目の王座獲得に向けてシーズンの主導権を握った。

決勝5位は#3 N.キャシディ(KONDO RACING/トヨタ)。ポール発進の#4 山下は6位、序盤2番手だった#40 野尻は8位。そして、最近のSFでは見られなかった2ストップ作戦を採った#10 塚越広大(REAL RACING/ホンダ)が見事なオーバーテイクを何度も見せ、決勝ファステストラップを記録しつつ、15番グリッド発進からのスタートではストールして最後尾19番手まで下がりながらも、最終的に9位まで順位を上げてゴールした。

次戦は九州オートポリスでの開催。昨年は春に起きた地震災害の影響で実施できなかったオートポリス戦、2年ぶりの復活だ。今回に引き続きドライタイヤ2スペック制での催行なので、タイヤに厳しいオートポリスではさらに戦局が複雑化しそうな気配もある。注目度一層高まる一戦は、予選が9月9日、決勝が翌10日という日程で開催される。

《遠藤俊幸》

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