【トヨタ ランドクルーザープラド 試乗】軟弱なアーバンSUVに成り下がる気はさらさらないらしい…木下隆之

試乗記 国産車
トヨタ ランドクルーザープラド 改良新型
トヨタ ランドクルーザープラド 改良新型 全 16 枚 拡大写真

「ハイラックスが13年振りに日本市場に投入された」その話題に独占されていたいま、影ながら『ランドクルーザープラド』がマイナーチェンジしていた。

【画像全16枚】

エクステリアは一層都会的に洗練された。衝突回避支援性能も格段に向上。「トヨタ・セーフティ・センスP」を全グレードに標準で装備するなど、安全性も飛躍的に高まった。特別仕様の設定も、存在感を一段と高めている。

同様にインテリアも、洗練されている。金属調の加飾が増えたことで、モダンな印象が強い。ステアリングホイールもきらびやかなデザインになった。泥臭さが格段に払拭されたのだ。

とはいうものの、ともすれば都会的にアジャストしたかのように映るプラドも、もちろんヘビューデューティ性能を捨てているわけではない。ランドクルーザーの冠に裏切らないオフロード性能を改めて味わって、そのタフな性能に感心したのも事実だ。

エンジンは2.8リットル直列4気筒ディーゼルを搭載。コモンレール式の燃料直噴である。ターボチャージャーと合体させることで、低回転域から力強いトルクを発揮する。

もちろんシャシーは、モノコックではなくタフなフレーム構造だ。さすがに板バネではなく前後共コイルスプリングを採用するものの、泥濘地や荒地を突き進むべく性能が際立っている。

例えば、マルチテレインセレクトは、マッド路から石や砂利の荒地や、段差の多いモーグル地まで、電子制御のアジャスト一つで対応できるように細工されている。トルセンLSDのセンターデフを備えるばかりか、極低速4WDの「L4」を選ぶなどすれば道無き道を踏破できるのだが、さらに圧巻なのは「クロールコントロール」と呼ばれるシステム。絶対にスタックで立ち往生することがないのだろうと想像するほどの、悪路走破性を披露するのだ。

クロールをセットすれば、例えば車輪が浮き上がってしまうような段差のある障害物も乗り越えてしまう。乗っているドライバーは、横転するのではないかと不安になるような状況でもだ。

しかもこれ、ほとんど自動運転である。設定速度は1km/hから5km/hまで。速度を設定すれば、あとはブレーキもアクセルも踏まずに、ただステアリングで進路を整えてあげるだけでノシノシと突き進むのだ。

それぞれ独立した車輪が、それぞれのタイヤに加わった荷重やグリップを探りながら、スタックすることなく進み続ける。これは到底人間ではできない芸当である。ブレーキペダルとアクセルペダルがそれぞれ4枚ずつあり、人の足がタコのような8本あればあるいは、似たような操作ができるかもしれない。だがそれは不可能だ。プラドでしかできないのである。

というように、都会的な印象を強めたプラドなのだが、軟弱なアーバンSUVに成り下がる気はさらさらないらしく、魂は相変わらず無骨なヘビーデューティーであり続けている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★

木下隆之| モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。『ジェイズな奴ら』を上梓するなど、作家の肩書きも。

《木下隆之》

木下隆之

学生時代からモータースポーツをはじめ、出版社・編集部勤務を経て独立。クルマ好きの感動、思いを読者に伝えようとする。短編小説『ジェイズな奴ら』も上梓。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。「心躍るモデルに高得点を与えるつもり」。海外レース経験も豊富で、ライフワークとしているニュルブルクリンク24時間レースにおいては、日本人最高位(総合5位)と最多出場記録を更新中。

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