国産メーカーのブースが集結する福岡モーターショー会場マリンメッセ福岡で、正面玄関に陣取ったのは、トヨタでも日産でもなく、環境省。なぜ、モーターショーに日本の行政機関で唯一、環境省が出展しているのか?
「地球温暖化対策のための国民運動「COOL CHOICE(=賢い選択)」を立ち上げ、こうしたモーターショーなどでエコカーを選ぶことや、エコドライブの推進などを展開している」と話すのは、環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 国民生活対策室の迫越理班長と知久達哉専門員。
今回は、「パネル説明よりも体験して、リアルな運転に活かしてほしい」という想いから「未来の東京のとある地域を疑似体感 VRコーナー」や「エコドライブシミュレーター」などの体験プログラムを用意。
エコドライブシミュレーターには行列ができ、「自動車教習所で習ったことと違うじゃん!」といった声が聞こえてきた。
MTからATに変えたばかりの記者がエコドライブシミュレーターにハマる
先月、10年間連れ添ったマニュアル車を手放し、オートマ車に乗り換えた記者は、このエコドライブシミュレーターにハマった。
MTは、クラッチがつながるとスロットル開閉量にリニアに反応し加減速するという感覚があった。AT車に慣れない自分にとって、出だしのトルコンが空回りする感じ、踏んでもそのぶん加速しない感じが、なかなか慣れずにいる。
環境省がすすめる「ふんわりスタート」は、最初のドカ踏みをやめて、最初の5秒で時速20kmまで上げていく。あまり開けずにゆっくり踏み入れていくというイメージで、AT慣れしない自分にとってはしっくりきた。
ハンドル・アクセル操作で3分ほど疑似運転するエコドライブシミュレーターで、燃費・ガソリン消費量が算出され結果が画面に表示される。
この結果が意外とリアル。エコドライブを意識することで、ガソリン消費量の差、1年間にかかる無駄なガソリン代、年間のCO2排出量が出て、「やっぱり無駄遣いの金額が具体的に数字で出るとインパクトがある」と。
さらに、縦軸にアクセル踏みこみ量、横軸に距離をおいたグラフが表示され、標準的なエコドライブに対し、自分の運転が「どの場面で無駄遣いしているか」がひと目でわかる。このグラフを見ると、「もう一回トライしたい」と思う。「すみません、後ろに並んで待ってる人がいるんで」(スタッフ)。そうだった……。
環境省はこれまで、ウォームビズ、クールビズ、エコドライブなど、低炭素社会実現に向けたアクションを展開。当時環境大臣を努めていた小池百合子氏が「クールビズ」をアピールしていた姿が記憶に新しい。
同省は「今後も、こうしたクルマ好きが集まる現場で、エコドライブやエコカーチョイスを伝えていきたい」という。