【DS 7 クロスバック 海外試乗】ついに真打ち登場。パリ生まれならではの“艶と華”がある…森口将之

試乗記 輸入車
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DS 7 クロスバック
DS 7 クロスバック 全 32 枚 拡大写真

東京モーターショーにも展示されたDSブランドのフラッグシップ、『DS 7 クロスバック』の国際試乗会が行われた。場所はもちろんパリ。第2次世界大戦前から親しまれたプールを、アール・デコ調建築はそのままにホテルとして生まれ変わらせた施設がベースだ。

◆アートにこだわった演出に引き込まれる

鮮やかな黄色の壁が印象的な会場に着くと、目の前のポルト・モリトール通りにDS 7 クロスバックが並んでいた。壮観のひとことだ。東京モーターショーにもやって来たゴールド系の「オル・ビザンタン」やホワイトを除けばダーク系が主流で、黒に近いパープルやブラウンなど味のある色が多かった。

色といえばヘッドランプのパープルも目を引く。アイシャドーのようだ。キーでロックを解除すると、中のユニットがひとつずつ回り、3個のLEDランプが出現した。このLEDはもちろん走行中も操舵に応じて向きを変える。世界で初めてディレクショナルヘッドランプを実用化したクラシックDSの精神をモダンにアップデートしているのだ。

リアコンビランプも魅惑的。42個のLEDを用いた幾何学的な光は、ルーヴル美術館の中庭にそびえるガラスのピラミッドを連想する。パリのアートにこだわった演出に引き込まれる。シックなファッションに個性的なアクセサリーを組み合わせたコーディネイトを思わせる。

インパネも液晶メーターにセンターの大きなディスプレイという、現代の文法を押さえたうえで、細かいスイッチまで専用パーツにこだわり、上質なレザーを奢ることで、ハイテクでありながらドレッシーな、いまのフレンチラグジュアリーにふさわしいコクピットになっていた。

シートはグレードにより素材が異なる。試乗した「オペラ」グレードは上質なレザーを使用しており、包み込むような感触がいかにもフランス車らしい。後席は予想以上に広く、身長170cmの僕なら足が組める。荷室も容量555リットルというだけあって余裕がある。フランス車らしくユーティリティもしっかり押さえている。

スタータースイッチはそのインパネの中央にある。プッシュするとエンジンが始動するとともに、小さなパネルが回転し、B.R.M.のアナログ時計が現れた。ヘッドランプに続いて独創的なアクションに魅せられる。

◆クラシックDSをも思わせる心地よい走り

試乗したのは1.6リットルガソリンターボ225psと2リットルディーゼルターボ180psで、エンジン自体は他のDSでおなじみだ。いずれもDSブランド初の8速ATを介して前輪を駆動する。

ガソリンでも車両重量が1420kgと軽いので不満はないが、力強さは当然ながらディーゼルのほうが上。スポーツモードに切り替えるとレスポンスが鋭くなるとともに、サウンドがクラシックなスポーツカーを思わせる快音に変化する。一方のエコモードはレスポンスが穏やかになる。

全長4573mm、全幅1906mm、全高1625mmというボディサイズは、BMWで言えば長さは『X1』と『X3』の中間だが、幅はX3に匹敵する。インテリアのクオリティを考えれば短めの全長は、パリの街を抜ける際に重宝した。ボディサイドの抑揚が適度なおかげもあり、幅の広さも気にならなかった。

PSAグループのEMP2プラットフォームをベースとしたシャシーは、リアサスペンションにマルチリンク式がおごられたうえに、DSブランドの最上級車にふさわしい凝ったシステムが導入された。運転支援システムのために装備した車載カメラで5~20m先の路面をチェックし、それに合わせて硬さを変えるDSアクティブスキャンサスペンションだ。

その効果は予想以上。クラシックDSのハイドロニューマティックを思わせるゆったりした周期の揺れが心地よい。横断歩道手前などに設置されたハンプ(盛り上がり)もソフトにいなしてくれる。そのわりにロールなどの姿勢変化はほとんど感じない。

ハンドリングはガソリンのほうが軽快であるが、車体が115kg重くなるディーゼルの高速道路などでの落ち着いたマナーのほうが、DS 7 クロスバックのキャラクターに似合っているような感じがした。このクラスの欧州製ディーゼル車としては静粛性も高かったのも印象的だ。

レーンキープ機能内蔵のアダプティブクルーズコントロール、ナイトビジョン、ドライバーモニタリングシステム、アクティブLEDヘッドランプなど予防安全装備もこのクラスの水準に達している。そのうえでDS 7 クロスバックには、フランス・パリ生まれでしか表現できない艶と華があった。

DSブランドの真打ち登場。そんな表現がふさわしいプレミアムSUVに仕上がっていた。

◆DS 7 クロスバック 詳細はこちら

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得 意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

《森口将之》

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