「耐切創レベル5」の手袋とは?…安全性と作業性を両立

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耐切創レベル5の手袋
耐切創レベル5の手袋 全 12 枚 拡大写真

レベル5といっても自動運転のことではない。耐切創レベル5とい作業用の手袋をレビューする機会を得たので、使い心地などをレポートしたい。製品は、ショーワグローブという食品製造加工、農作業、建設、工場、自動車整備まで幅広く産業用グローブを手掛けるメーカーの「S-TEX581」という製品(1月9日発売予定)。

【画像全12枚】

S-TEX581は、ショーワグローブ独自の「ハガネコイル」というステンレスワイヤーとアラミド繊維を拠った繊維にポリエステル、ナイロンを編み込んだ素材を利用する。この繊維によりEN 388という規格で耐切創強度レベル5、耐摩耗強度レベル4、耐引き裂き強度レベル4(どれも最大レベル)をクリアしている。細かい作業やフィット性も重視した繊維素材なので、耐突き刺し強度だけがレベル2という中間レベルだ。

耐切創強度レベル5というのは、繊維の上に回転刃を往復運動させ、何回で切断できるかという測定で、20回以上往復させないと切断できない強度を示す。

日曜大工や自動車整備で手袋は安全装備としてもかかせない。といっても通常は、量販店でまとめて売っている軍手で済ませていないだろうか。こだわるとしても滑り止めがついているかどうかぐらいかもしれない。しかし、軍手は厚みや縫い目のおかげで細かい作業がしにくい。

M10以下のナットを扱うとき、あるいは狭いところに入らない、作業しにくいということで、結局、素手での作業になってしまう。だいたい、そういう時に限って周りの金具やでっぱりで手を怪我したりする。スバル車の水平対向エンジンのように、エンジンルームに手が入らないクルマの整備にいいかもしれない。

そんな期待をしつつ、とりあえず自宅のクルマ(日産『キューブ』)のタイヤ交換や下回り点検、エンジンルーム点検などに使ってみた。さらに、ちょうど年末に家人から折り畳み式の棚の補修を頼まれていたので、日曜大工にも使ってみた。

まず、着け心地だが、薄地のフィット感は軍手や作業用手袋とは違う。装着した状態で握りこぶしをつくると、指の関節や骨がはっきりわかる感じだ。ただ、掌側に滑り止めと耐摩耗のための合成ゴム(ニトリルゴム)がコーティングされているため、本当に細かい作業がしやすいかというと微妙だ。なお、耐切創レベル5は、このコーティング面に対する評価。手の甲側の繊維がむき出しの部分は、カタログ等に記載がないが当然レベルは下がるはずだ。

空気圧チェックでのバルブキャップの操作、エアゲージの操作、試しにやってみたM6くらいのタッピングビスの扱いは問題なくできた。コーティングがあっても素材が薄くけば立っていないので、軍手のようにまわりに繊維がひっかかる心配もない。ただ、刃物を直接扱わないような整備には、耐久性や耐切創性が少し落ちてももう少し薄いコーティングのモデルでもいいかもしれない。今回は試せなかったが、ショーワグローブのカタログにはコーティングなしモデルも記載があった。

下回りの作業やエンジンルームの作業はナットやボルトも比較的大きいので、とくに問題になることはなかった。素材が柔らかいため、サイズさえ間違えなければ指先がコーティングされた繊維と密着するので、狭い場所での作業はやりやすい。便利だと思ったのは、エンジンルーム内のセンサーや電装系のコネクタの脱着だ。

繊維にスチールを利用しているため感電の危険性があるので、バッテリーターミナルをはずす、とくにEV、PHVのサービスプラグをはずすといった点に注意が必要だが、ロック解除のツメを押さえながら固いコネクタを脱着するとき、素材が厚い手袋だとツメの感覚が指でわからないので難儀することある。S-TEX581の場合、ツメの手応えを感じながら作業ができ、まわりの部品にあたったりこすったりしても手を保護してくれる。

なお、今回の作業はエンジンが冷間時に行っているため、断熱性能がどれくらいかはわからなかった。

次に日曜大工での作業だが、こちらの方が電動のこぎりやサンダー、ジグソーなどを使うことが多いので耐切創性能は心強い。もちろん、ジグソーの刃があたって無傷でいられるかは保障できないが、けがの重度が軽減される効果は期待してもいいだろう。

便利だったのは、簡単なケガキ作業なら手袋をしたままできたことだ。違和感なくペンを持つことはできないが、定規で線を引いたり文字を書いたりする作業は問題なくできた。ちょっとした日曜大工だと、図面など引かず、現場で現物合わせしながら作業することがあるが、そんなとき、手袋をしたまま作業ができるのは助かる。

大きめの電卓なら操作できるし、ワイヤー繊維を使っているためかiPadのタッチ画面の操作も手袋をしたままOKだった。

作業用の手袋というと手の保護をまず第一に考えるが、新しい素材によって作業性との両立が進んでいるようだ。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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