新しさとレトロ感が共存、新規ユーザーに訴える ハイエース “リラクベース” …デザイナーインタビュー

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トヨタモデリスタインターナショナル デザイン部 デザイングループ デザイナーの酒井朝子氏
トヨタモデリスタインターナショナル デザイン部 デザイングループ デザイナーの酒井朝子氏 全 40 枚 拡大写真

東京オートサロン2018のトヨタブースには、『ハイエース』のコンプリートカーが2台展示されていた。1台はTRDが手を加えた『ハイエース フィールドモンスター』。そしてもう1台が今回紹介する、トヨタモデリスタ『ハイエース “リラクベース”』だ。

1967年の初代ハイエースデビューから、昨年で50年。それを記念してモデリスタがコンプリートカーとして作り上げたのがこの“リラクベース”だ。プロギアであるハイエースをベースにしながら、レトロ感の中にどこか優しさも感じられるデザインをまとっている。

◆ハイエース50周年で新規ユーザーを開拓

「ハイエース50周年を機にモデリスタとして今までのファン層ではない、新しいユーザーにも受け入れられるクルマを作ろう、という発想がありました」と話すのは、トヨタモデリスタインターナショナル デザイン部 デザイングループ デザイナーの酒井朝子氏だ。

ハイエースというと商用車で仕事のクルマ、 働くクルマというイメージが強いが、「それを払拭したいのです。今はキャンプやサーフィンが流行っていますのでそういったシーンに似合う、少しレトロで可愛らしいお洒落なクルマをハイエースで表現したいというところから開発がスタートしました」と語る。

◆丸みを強調し、愛着を持ちやすく


そのデザインコンセプトは、“ネオレトロファンボックス”。「ネオは新しいという意味。レトロは皆さんに愛着を持ってもらえるようなお洒落なクルマにしたいという思いが込められています」と酒井氏。そして、「単にレトロなだけではなく、どこか新しさも感じさせたい」と説明する。

ハイエース“リラクベース”でベース車と最も大きくイメージを異にするのはフロントフェイスだ。「そのフロント周りに変化をつけるのはとても難しかったですね」と酒井氏。理由は、ベースとなるハイエースは正面から見ると角を強めた末広がりの台形で、スタンスの良さを強調するデザインであるのに対し、「レトロ感を強調するために丸みのイメージを強めたかったのですが、法規等の関係でヘッドランプの形も変えられません。そこで、丸みから感じる柔らかさをどう表現するかが難しかった」からだという。

具体的には、“TOYOTA”ロゴの上下にある開口部の角などに丸みをつけたり、フォグランプ部分も四角く抜いている個所をふさぎ、フォグランプの丸みをしっかりと見せたり…などの工夫がなされた。またサイドではフェンダーガーニッシュをホワイトパーツにすることで、よりホイールの丸みを表現している。そのホイールについてもレトロ感を醸し出すアルミホイールが採用された。

このホワイトパーツの使い方については、「例えばバンパーを黒にすると、商用車感がより強調されてしまう。ですので、可愛らしい印象にするためフロントバンパー周りにもホワイトパーツを入れるようにしています」(酒井氏)という。

◆歴史を尊重しつつ、新しさのエッセンスも


一方、ネオ=新しさはどのあたりで表現されているのだろう。酒井氏は、「ボンネットからピラーにかけてブラックアウトさせることで、フローティングのようにもなり、さらにツートーンをしっかり見せることで、あまり古くなりすぎず抜けのいい感じの新しさを表しています」と話す。

また、フロントのマットブラックに沿ったメッキパーツも特徴的だ。「ベースは台形で重心が下に来ていますが、その逆に下から上に広がるようにすることで、ベース車との変わり映え、印象の違いを強調しています。色々なパターンの絵を描きましたが、そのモチーフには1960年代のいくつかのクルマのイメージがありました。その根底にあるのは、西海岸に似合う、レトロで可愛らしく皆に愛されるようなクルマです」(酒井氏)。

もうひとつフロントにはこだわりがある。それはTOYOTAのロゴだ。これは初代ハイエースのエンブレムがベースになっている。酒井氏が「今までにはない新規ユーザーをキャッチする新しいハイエース、ということを念頭に置いてデザインしていますが、やはり50周年という長い歴史を駆け抜けてきたハイエースのモチーフも入れたかったのです。そこでTOYOTAのバラ文字のエンブレムは初代のものを復刻、再現しています」というように、50年間積み重ねてきたハイエースの歴史の重みも尊重されている。

◆絶対にハイエースにはないシートを作る

(※イベント展示用の為、ウインドウ上の照明は商品に含まれません。室内の小物類も装備に含まれません。)

インテリアにもこだわりが見られる。それはシートだ。「今までのハイエースには絶対ないシートです」と酒井氏。「色を変えただけなのですが、とにかく絶対にない色で商用車に見えないようにと考え、ツートーンでカジュアル感を演出しています」と力説する。

また、白系とブルーのツートーンにした理由は、「ひとつは室内を明るく、カジュアルにしたかった。もうひとつは汚れが目立たないようにと考え、ベージュはサイドのみにして、真ん中は座るところでもあるので少し暗めのブルーを採用しています」とした。

そのブルーも「ゆるさのようなものを表現したかったので、“パキッ”とした原色系ではなく、青よりも紺寄りにしています。少し柔らかいイメージで愛着が持てて安心でき、かつ長く使っても飽きないカラーにしました。その青とベージュという組み合わせも、明るいけれども派手すぎず飽きない色合いです」とこだわりを語る。

またインテリアパネルはロンリュームフロアと合わせて白木目調にあしらわれ、西海岸のカジュアル感を強調。このフロアは硬質塩ビの素材なので、サーフボードなどを載せても問題ない。

さらに、このロンリュームフロアはモデリスタのMRTシリーズでも使われており、「硬質塩ビなので濡れたもの置け、また傷もつきにくいという機能性はキープしつつ、柄と色とで変化が感じられるように意識しています」と機能性とデザインを両立していることを強調した。

◆新たなユーザーをハイエースに振り向かせたい


実はモデリスタのデザイナーは今まで男性しかいなく、酒井氏がはじめての女性デザイナー。さらに今回のプロジェクトがデザイナーとしての本格的なデビュー作で、女性ならではの発想を50年もの歴史があるハイエースにデザインしていくのは大変だったことだろう。

「現場に道具を積んで行って働いている方のイメージがありました。そのユーザーを全く違う人に置き換えて、今までキャッチできなかったお客様に訴えかけるために、まずターゲットユーザーをしっかり決めて、どういったものが好きなのかを掘り下げていきました。それを落とし込んでいったのです。その落とし込みもなかなか難しかったですね」と振り返る。そして、「ハイエース“リラクベース”がハイエースユーザー、ファンの方々に受け入れられるかどうかという不安は今も常にあります」ともいう。

それでも、「ハイエースは選択肢になかったユーザーの方、例えば女性がこのクルマは可愛い! という印象を持って注目してもらえたら嬉しい。これまで仕事のクルマというイメージから自分が買うなんて思いもしなかった、というような人が目をとめてくれるきっかけになってほしいです」と述べる。

そのターゲットユーザーとは、「40代ぐらいのアクティブなファミリーです。アウトドア好きでお洒落な方ですが、ガツガツアウトドアを楽しむのではなく、少し余裕を持って、ゆったりと自分のお気に入りのキャンプギアなどを買い揃えていて楽しんでいる人。アウトドアの上級者というイメージです」と酒井氏。

また、「“リラクベース”とは、西海岸のようにゆったりとした雰囲気の中でお客様の特別なベース=基地になってほしいというイメージで名付けました。ふらっと気分転換にちょっと出かけようか…というカジュアル感を表現しています」と、ネーミングにもターゲットとの関連性が込められていた。

最後に初めてトライしたハイエース“リラクベース”の感想を聞いてみると、「自分で絵を描いていた時よりも実車の方がすごく良かったですね。絵で描いていたときは、正直おもちゃのようになってしまうのではないかと心配だったのですが、実車にしてみたら、ものすごく可愛くて自分でも乗りたいと思っています」とお気に入りの様子。

そして、「今回ハイエース“リラクベース”を作って感じた一番の面白さは、既存のユーザーではない方にアピールするということです。これからも、例えば女性目線で今までのモデリスタにはなかった方向のユーザーをキャッチするやり方をトライしてみたいですね。クルマありきではなくユーザーありきで考えていきたいと思っています」と次回作への意気込みを語った。

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ハイエース“リラクベース”につきましてはお近くの販売店にお問い合わせください。

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《内田俊一》

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