プリンターのブラザー工業、燃料電池市場に新規参入…2025年までに200億円目指す

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ブラザー工業の燃料電池と松本勇美夫常務執行役員
ブラザー工業の燃料電池と松本勇美夫常務執行役員 全 4 枚 拡大写真

ブラザー工業は2月22日、燃料電池市場に新規参入し、出力4.4kWの燃料電池を受注開始すると発表した。まず通信インフラのバックアップ電源として売り込み、その後商業施設や病院などに拡大し、2025年までに売上高200億円を目指す。

「うちは時代の変化に応じて、柔軟に事業を組み替えてきた。振り返ってみると、30年サイクルで新しい事業に取り組んできた。次の30年に向けた新たな事業として燃料電池に参入することにした」と松本勇美夫常務執行役員は話す。

同社は1908年にミシンの修理業から事業をスタート。その後ミシンの開発、販売を手がけ大きな事業に成長させた。60年前にはオートバイの生産を開始。しかし、こちらはうまくいかずに撤退した。そして、30年前にはプリンターなど情報通信機器市場に参入、ミシンと並ぶ大きな柱に成長させている。

燃料電池に関して同社は2014年から本格的に開発に取り組み、翌年に燃料電池システムのサンプル出荷を開始、17年に4.4kW燃料電池をベースとしたシステムの製品化に成功した。

その特徴は、固体高分子型セル(PEFC)を採用しているので、動作温度が低く、起動時間が短いため、ON/OFFの多い用途での利用に適している。しかも、独自の水素循環型システムにより、高効率でハイパワーなうえ、長期発電安定性、負荷追従性に優れているとのことだ。

同じサイズの従来型燃料電池と比較して2倍の電流量を発電でき、72時間の長期運転が可能となっている。また、徹底的に安全性を追求した製品設計により、燃料電池の外へ水素を漏らさないという。万が一、燃料電池内で水素が漏れても、水素センサーや圧力センサーで検知して水素を遮断、換気してい水素を溜めないという3重の安全構造になっている。

さらに、ファクスで磨いた通信技術を生かし、IoTにも対応しているため、遠隔地から燃料状況や発電状況などを把握できる。IoTが導入されていない既存のものに比べて、維持・管理の負担を大幅に軽減できるそうだ。

「脱炭素社会の実現に向けて貢献していきたい。そのための第1弾の製品が今回のものだ。燃料電池システムの市場規模は2025年に日本で500億円、世界では4000億円になると見ており、その5%シェア、200億円を目指したい」と松本常務執行役員は強調した。

同社では、18年度中に第2、第3のモデルを投入し、担当人員も現在の1.5倍に増やしていく計画で、燃料電池ビジネスをミシン、情報通信機器に並ぶ大きな柱に育てていきたい考えだ。

《山田清志》

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