KYB ショックアブソーバが支える、プレミアムモデルの走りと快適性…アウディ RS5で試す

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アウディ RS5 でKYB製ショックアブソーバの実力を試す
アウディ RS5 でKYB製ショックアブソーバの実力を試す 全 19 枚 拡大写真

走りが良いクルマは、間違いなくショックアブソーバが良い仕事をしている。たとえ真っ直ぐ走っていても、限界のコーナリングをしていても、ショックアブソーバがしっかりと働いていれば、クルマは常に優れた姿勢を実現し、タイヤを路面へときっちりコンタクトさせられるからだ。また優れたショックアブソーバの中でもさらに優れた性能を与えられたものは、過渡特性が素晴らしく、クルマの運動の推移を極めて滑らかなものにしてくれる。

例えば左右に切り返す際、ハンドル操作に応じてクルマは右、左とロールして傾くわけだが、右に傾いた後に左に傾き始める際の切り替わりがしなやかに感じられるものは間違いなく優れたショックアブソーバを備えているといえる。逆に良くないものが付いていたらボディの動きを抑えきれずにグラッとしたり、滑らかには動かない。

さらに細かく言えば、例えば右カーブを曲がる時に右へハンドルを切り始めると、旋回外輪(とショックアブソーバ)は沈みこみ、旋回内輪(とショックアブソーバ)は伸び上がるが、沈み込んだり伸び上がっていく動きそのものがスムーズな動きをするものは、コーナリングが極めて安定している上に気持ち良いものとして感じられる。その意味でショックアブソーバは、クルマの走りにおけるクオリティ、つまり「動的質感」を支えるための要といえる存在だ。それだけに自動車メーカーはもちろん、パーツメーカーも様々な構造や機構に取り組んで、動的質感への飽くなき追求を行っている。

◆KYBのユニークな機構とは?


そうした中で、アウディが採用するDRC(ダイナミックライドコントロール)は実にユニークな機構だ。アウディが最もスポーティなRSモデルで採用しているDRC(KYB製)は、右フロントと左リア、左フロントと右リアのショックアブソーバを油圧のラインで繋いだ上に、その間にセンターバルブを置く構造としている。

これがどのような効果を発揮するのか? 例えばコーナリングを考えてみよう。右コーナーを走る際に、クルマの旋回外輪は沈み込み旋回内輪は伸び上がる。しかしながらハードなコーナリングになってくると、クルマによっては旋回内輪が伸び切ってしまうことで、内輪の接地が際どくなる。さらにここに路面の変化などが加わると、路面への追従が怪しくなるわけだ。

そしてこれは旋回時の車両の不安定さやフィーリングの薄さを招く要因になる。特に旋回時の内輪がいかにしっかりと伸びて路面を捉えているかは、コーナリング時の安定性やステアリングフィールの確かさに大きく関わってくる。接地性の高さは、ロードホールディングという言葉で示されるが、いかに路面を捉えているかは、実は旋回内輪におけるショックアブソーバがいかに綺麗に伸び上がって路面と触れているかにかかっている。

DRCはこうした部分に高い次元で対応できる仕組みであり、車両に高い安定性と優れたフィーリングをもたらす。そしてアウディRSモデルの走りの動的質感を担保してくれるわけだ。加えて今回のDRCでは、各ショックアブソーバが内蔵ソレノイドによる減衰力3段切替(減衰力切替構造、AMVAR3)となったことも新たな特徴。これによって、高いコンフォート性能と相反するダイナミクス性能を両立することで、その走りは乗り心地の良さを強く感じる領域から、サーキットを走るようなダイナミックな領域まで、さらに幅広い走りを実現する役割も果たしている。

◆RS5に試乗、抜群のコーナリングと乗り心地


今回はそんなDRCを搭載した最新モデルであるアウディ『RS5』を実際に試乗して、改めてこの機構がいかに優れているかを見極めてみることにした。

RS5は、アウディの基幹車種である『A4』から派生した4ドアハッチバッククーペや2ドアクーペ、またはカブリオレ等をバリエーションとして用意するA5シリーズの、最もハイパフォーマンスなモデルに位置付けられる1台である。フロントに縦置きされるパワーユニットは、2.9LのV6ツインターボで最高出力は450ps、最大トルクは600Nmを発生する。このパワー&トルクは8速のティプトロニックを介して、アウディのお家芸であるクワトロ(4輪駆動)によって路面へと伝えられる。そして0-100km/h加速タイムは3.9秒、最高速は280km/h(リミッター作動)を達成している。

これほどのまでのハイパフォーマンスながら、RS5を最初に走らせた時にはあまりの乗り心地の良さに拍子抜けした。なぜなら20インチサイズのタイヤを履いているにも関わらず、路面とのコンタクト感が滑らかで、フラットな乗り味ながらも路面の変化にきめ細やかに追従するしっとりとした動きを持っているからだ。これは最近のアウディが好んで採用するドライブセレクトという走行モード切り替えが効果しているからこそ。オートで走っていると、走行状況に応じて最適なセッティングを提供するからである。

しかしながら、ひとたび走行モードで「ダイナミック」を選べば、エンジンはレスポンスが高まりサウンドもボリュームアップし、トランスミッションも高回転まで引っ張る設定となり、サスペンションはハードで粘り強いものとなる。ハンドルもダイレクト感が高まり、まさにスーパースポーツといえるような走りへと豹変する。この時のRS5のコーナリングは圧巻だ。僕はこのRS5の国際試乗会にも招かれて、フランスとスペインの国境にあるアンドラ公国の、極めて速度域が高くどこまでも続くワインディングロードで試したことがある。それも踏まえての印象だが、RS5は高速域でも限界知らずでコーナリングしていく、実に異次元のコーナリング性能を披露してくれたのだった。ドライブセレクトでは、今回新開発の減衰力切替構造(AMVAR3)とDRCを組合せることにより、セレクトされたポジションに応じた減衰力を発生させることで、そのパフォーマンスに貢献している。

100km/hを超えたスピードからのコーナリングでも、RS5はハンドルの操作に応じて実に綺麗にロールを始める。しかもロールはそれほど深く感じないにも関わらず、旋回外輪でしっかりと荷重が受け止めると同時に、旋回内輪がきっちりと伸び上がってくれるので、高い安定性を感じつつコーナーを駆け抜けていけるのだ。

◆異次元のコーナリング、KYBの機構が貢献


そしてここに感じられるのがDRCの効果だ。単純に左右フロント、左右リアではなく、右フロントと左リア、左フロントと右リアといった具合に対角線でつながれているのがポイント。

これはコーナリング時におけるクルマの動きの推移を考えれば納得がいく。例えば右コーナリング時では、ブレーキングからのターンインでフロント荷重かつフロントの旋回外輪(左フロント)がもっとも沈み込んでおり、対角線上にある旋回内輪(右リア)は、荷重が抜けた状態でもっとも伸びきった状態。だからこの右リアのショックアブソーバが綺麗に伸びて路面へのコンタクトを担保していれば姿勢は安定する。

そこからコーナリングが始まると荷重は徐々にリアに移っていき、アクセルを踏み込む直前では、荷重はリアに移りつつあるため、ややリアよりの荷重かつリアの旋回外輪(左リア)がもっとも沈み込むこととなる。この時に対角線上にある旋回内輪(右フロント)は荷重も抜けつつありもっとも伸びきった状態へと移行しつつある。だからこの右フロントのショックアブソーバがしっかりと伸びて路面へのコンタクトを担保すれば、姿勢の安定はもちろん高く確保されると同時に、ステアリングに伝わるフィールも確かさをより感じるものとなるわけだ。

こうした感覚をまさに得られるのが、アウディRS5における、極めて限界の高いコーナリング時である。そしてここに、アウディ独自のクワトロによる駆動力の配分やその他の制御が加わることで、異次元のコーナリングが生まれているのである。

しかも、先に記した拍子抜けするほどの乗り心地の良さにも、実はDRC も少なからず貢献している。というのも直進時にはクルマにはピッチングの動きが出るが、これに関してもDRCは作用する。例えば直進時のブレーキングではノーズがダイブするが、この時にフロントの左右のショックが沈み込む=リアの左右のショックが伸び上がるという関係性があるため、ピッチ方向の動きも抑制して快適な走りを生み出してくれているのである。

アウディRS5は、スーパースポーツといえる圧倒的な速さとダイナミクスを実現するだけでなく、普段使いで上質さを感じさせるだけの快適性も兼ね備えている。まさに動的質感を究極的に実現したモデルである。そう考えると、まさにパーフェクトな1台といえるわけだが、そうした評価を生み出す背景には、優れたショックアブソーバとユニークな機構が存在しているのだ。

KYBのホームページはこちら

《河口まなぶ》

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