キムコが電動2輪車のソリューションをワールドプレミア…iONEX

モーターサイクル 企業動向
キムコ iONEX ワールドプレミア
キムコ iONEX ワールドプレミア 全 12 枚 拡大写真

台湾の2輪メーカーKYMCO(キムコ)は22日、電動スクーターをはじめとする小型電動2輪車のトータルソリューション「iONEX」(アイオネックス)をワールドプレミアした。

会場となった都内ホテルには日本と台湾をはじめ、世界中からプレス関係者が集結。そこで初公開されたのは新商品ではなく、iONEXと名づけられた電動2輪車のためのソリューション(問題解決のための手段や回答)だった。展示されていたのはiONEXに対応した電動スクーター『Many EV』や持ち運びが容易なリチウムイオンバッテリー、バッテリーを充電する「iONEXエネルギーステーション」だ。

従来は、電動スクーターを購入する際に「ユーザーは非常に多くの妥協を強いられてきました」と、登壇したキムコのアレン・コウ会長は語る。車両のスタイリングや重量、航続距離、充電時間などの制約が多かったというわけだ。

iONEXは、その妥協を排するだけでなく「電動スクーターのゲームチェンジャーとなるソリューションであり、エコグリーンへのあらゆる障害を解決します」と説明した。そのポイントは「目の覚めるような魅力」、「充電待ちが不要」、「航続距離不足の心配がない」、「政策担当者のゲームチェンジャー」という4点だという。

「目の覚めるような魅力」とは、電動スクーターのパッケージレイアウトに関わる点を指す。公開されたプロトタイプには、バッテリーの着脱を容易にする「スマートバッテリーボックス」が備えられている。これはボタンを押すとフットボード下のバッテリーケースが回転し、横倒しで収納されていたバッテリーが立ち上がることで、簡単に取り外せるようになる仕組み。車体の重心を低くしつつ、シート下の収納スペースもエンジン式スクーターと同等の空間を確保できるというわけだ。

「充電待ちが不要」というのは、車両メカニズムに関する点。車両に「コアバッテリー」を内蔵することで、着脱式のバッテリーを搭載しない状態でも問題なく使えるようにしていることを指す。充電済みバッテリーを装着すれば自動的にコアバッテリーへの充電も開始されるようにすることで、電池残量や充電のタイミングに左右されず乗ることができるようになる。

「航続距離不足の心配がない」というポイントは、もっとも重要かもしれない。着脱式バッテリーを自宅で充電できるだけでなく、「iONEXエネルギーステーション」を街なかに展開することで、移動中に立ち寄って充電できるようにする計画だという。また車両は公衆コンセントにケーブルを繋いで充電できるようにもなっている。多様な充電手段を備えることは、実際の使い勝手以上にユーザーの不安を払拭することに貢献する。

最後の「政策担当者のゲームチェンジャー」というポイントの内容は壮大だ。コウ会長は「充電インフラ整備における政府の努力は、これまで非常に大きな壁に直面してきました」と語る。ガソリンスタンドでの給油時間に匹敵する急速充電器のは実現不可能だし、交換式バッテリーをシェアリングすることは余分なバッテリーを必要とし、コストも環境負荷も大きいと説明する。

そこでキムコでは自動販売機のような充電インフラとして「iONEXエネルギーステーション」を提案。iONEXバッテリーは個人や法人が所有するが、その充電はどのステーションでもおこなえるようにすることで、利便性を確保しようというものだ。このステーションは「世界初の多機能オープンエネルギープラットフォーム」だとコウ会長は説明する。

エネルギーステーションは公共施設などに容易に設置できることで、郵便や宅配、物流の事業者などが電動2輪車を採用する動機とすることができるという。これによって「政府は、都市全体を変革する充電インフラ構築におけるゲームチェンジャーを持つことができます」とコウ会長。つまり充電インフラ構築のためには、政府や自治体などが積極的に推進あるいは後押しすることが必要で、そこに iONEXエネルギーステーションを活用してほしい、ということなのだろう。

またコウ会長はスピーチの最後に、今後3年間で10種類の電動2輪車を発表すること、そして20ヶ国で充電ネットワークを構築し、世界中で50万台以上の電動2輪車を販売することを発表した。キムコは電動車両を製造販売するだけでなく、その駆動エネルギー供給システムを展開する事業に乗り出そうとしているわけだ。

《古庄 速人》

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