IVECO社長「LNGトラックは持続的な輸送を可能にする世界の扉を開くものだ」

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IVECOのピエール・ラウッテ社長
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イタリアの商用車メーカー、IVECO社は5月8日、都内で記者会見を開き、日本でまだ1台も走っていないLNG大型トラック『ストラリスNP400』を販売すると発表した。すでに納入先も決まっているとのことだ。

「ストラリスNP400は特に長距離輸送を想定して開発したトラックで、1回のエネルギー充填で1500km走行できるようになっています。しかも、圧縮天然ガス(CNG)でも液化天然ガス(LNG)でも走行ができるし、この2つを組み合わせて走ることもできます」とピエール・ラウッテ社長は説明する。

ただ、CNGを使う場合は燃料用タンクを替える必要があり、走行距離もCNGだけだと570km、CNGとLNGの組み合わせだと1035kmなってしまう。それでもクラス最高の航続距離を誇るそうだ。

もちろん天然ガスということで、環境にも優しく、CO2はディーゼルトラックに比べて約10%削減でき、窒素酸化物(NOx)はなんと95%も少ないのだ。また、トラックで重要なパワーについても、ディーゼルと同等、もしくはそれ以上のパワー・トルクを持つ。同サイズのディーゼルエンジンよりも18%大きい出力を出すなど、このカテゴリーで次々に記録を塗り替えているという。

すでに欧州では活躍しており、昨年同社は約1000台のLNGトラックを販売している。「ドライバーの人たちはみなさん、このトラックを運転したがります。なぜなら非常に運転しやすく、静粛性に優れているからです」とラウッテ社長。

おまけに物流会社の経営者にとってもいいそうだ。というのも、年間10万km走れば、約5000ユーロのコストが削減できるからだ。トラックの価格はディーゼルと比べて少し高いが、5~6年も走れば元が取れるという。

2012年に大型天然ガストラックを10台導入した富士運輸(本社・奈良市)では、「その後5年間で売上高が120億円アップし、従業員も700人以上増加した」(松岡弘晃社長)。運輸業界にはなかなか人が集まらないといわれているが、天然ガストラックによって環境にやさしい企業ということで働きたい人が増えたそうだ。

しかし、これまで導入してきた大型天然ガストラックは1回のエネルギー充填で約500kmしか走行できなかったため、今回、IVECOのLNGトラック導入に踏み切ったとのことだ。「これで大阪-東京間を給油なしで往復できるようになる」と松岡社長は嬉しそうに話していた。

「LNGには3つの長所があります。まずエネルギーの加工コストが低いことです。2つ目がエネルギー損失が少ないことです。そして3つ目が環境に対する負荷が少ないことです。われわれはストラリスNP400で日本市場に実行可能で利益を生み出す天然ガスソリューションを提供します。ストラリスNP400は持続的な輸送を可能にする世界の扉を開くトラックと言っていいでしょう」とラウッテ社長は力説する。

日本はLNGの大きな輸入国で、これまでは主に発電に使われていた。しかし現在、電力とガスは完全自由化され、電力会社とガス会社は激しい競争を繰り広げ、新たな需要を模索している。近い将来、そのLNGをトラックに使う時代が来るかもしれない。

《山田清志》

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