デロイトトーマツコンサルティング(DTC)、電力中央研究所(電中研)、東京電力エナジーパートナー(東電EP)、凸版印刷の4者は、省エネ行動を促すナッジ活用手法の確立に向けた大規模社会実証を実施、2017年度成果(速報)を発表した。
ナッジ(nudge)とは、英語で「そっと後押しする」という意味。ちょっとしたきっかけを消費者に与えることで、行動を促すという方法論だ。2017年ノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学の行動経済学者リチャード・セイラー氏と、ハーバード大学の法学者キャス・サンスティーン氏が提唱し、国内外でナッジを活用した取り組みが広がっている。
今回の実証は、環境省「平成29年度低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)による家庭等の自発的対策推進事業」の採択案件「家電・自動車等利用に関するナッジを活用した低炭素型行動変容モデルの構築」に基づくもの。家電利用時の省エネ行動を促進する実証3件に加え、自動車利用時の燃費改善行動(エコドライブ)を促進する実証1件を実施した。
近年、乗用車のカタログ燃費は向上しているが、実燃費の改善率はカタログ燃費の改善率から年々乖離する傾向にある。急激な加減速の抑制と等速走行が燃費改善に寄与することから、エコドライブ促進の実証では、エコドライブを見える化する「くるま省エネ」アプリを「ナッジ」として活用。海外を含め大規模な事例がないことから、2017年度は小規模なプレ実証となったが、利用する25名と利用しない50名の燃料消費量を比較することで燃費改善効果の把握が可能かを検証した。
実証の結果、スマートフォンアプリを通じたエコドライブの促進により、エコドライブ行動が促進可能であること、エコドライブ促進によって燃費改善効果が高まる傾向にあることが示唆された。
4者は2018年度も引き続き、家電と自動車の利用者に対し省エネ行動を促すナッジ活用手法の確立に向けた大規模社会実証を、産官学が連携したコンソーシアム体制で臨んでいく。