日本グッドイヤーは、30日、SUVサイズのオールシーズンタイヤとして「Assurance WeatherReady」を発表、国内投入する。あわせて、同社の下期戦略説明会を開催した。
独特なトレッドパターンがもはやアイコン化し、類似製品さえ出回るようになった「Vector 4 seasons」シリーズ。スタッドレス並の性能をもつオールシーズンタイヤを日本に定着させた製品だが、サイズラインナップが軽や乗用車向けだった。
その穴を埋めるため、WeatherReadyは、SUV向け13サイズを国内市場に投入する。WeatherReadyは、2018年北米市場に投入されたオールシーズンタイヤ。大豆油(Soybeans Oil)を利用し、環境性能だけでなく、低温時のグリップ力、ウェット性能に優れる特徴がある。
北米・カナダではオールシーズンタイヤが全体70%を占める特殊な市場。性能はドライ、スノーともにVector 4 Seasonsと同等だが、トレッドパターンが異なり、静粛性は増している。日本グッドイヤーでは、日本国内で認知度、装着率が確実に増えているオールシーズンタイヤのラインナップ拡大のため、WeatherReadyの輸入販売を決めた。国内展開するサイズは、これまで手薄だったSUVや輸入車をカバーするため18インチを中心に16インチから20インチまで13サイズ。
タイヤ市場全体が横ばいを続けるなか、Vector 4 Seasonsは2013年から2017年までの年平均成長率が36%と好調を続ける。2018年上期だけでも前年同期比で140%もの成長をみせているという。その中、Vector 4 Seasonsは国内市場や天候・道路事情にあわせるため国内生産を行っている。
Vector 4 Seasonsの国内生産で対応サイズを増やすという選択もあったが、サイズ拡大とはいえ市場投入までに数年かかってしまう。最終的には北米展開しているWeatherReadyの輸入販売で、まずSUVニーズに応えようという戦略だ。
日本グッドイヤーでは、冬シーズンを迎える下期は、オールシーズンタイヤのさらなる普及進めるという。日本でも、以前ほどオールシーズンタイヤへの偏見(雪では使えない)はなくなってきている。競合品も現れるなか、オールシーズンタイヤといえばグッドイヤーを定着させたいとする(代表取締役社長 金原雄次郎氏)。
ただし、成長しているとはいえ、オールシーズンタイヤのメイン市場は東京、大阪、名古屋など都市部だ。積雪地帯ではやはりスタッドレスの信頼とシェアが高い。グッドイヤーでは、積雪地帯には「ICE NAVI7」を、非積雪地帯(都市部)にはVector 4 SeasonsとWeatherReadyで対応する考えだ。
ところでWeatherReadyは北米向けの製品。ヨーロッパ向けには「Vector 4 Seasons Gen2」を展開している。この戦略の違いはなにかと、戦略発表を行ったグッドイヤー アジア太平洋地域 製品開発担当副社長 デイビッド・J・ザンジグ氏と聞いた。
「Vector 4 Seasons Gen2は、高速性能、ウェットおよびウィンター性能を重視している。WeatherReadyは、全体(静粛性・乗り心地)のバランスとライフ性能を重視している。それぞれ市場ニーズの違いを反映している」