【ダイハツ ミラトコット 試乗】プレーンなこだわりに、ジワる…島崎七生人

試乗記 国産車
ダイハツ ミラトコット G“SA III”
ダイハツ ミラトコット G“SA III” 全 9 枚 拡大写真

ジワる。最近聞いて感銘を覚えたコトバのひとつだが、まさしく『トコット』はそうかも?と思う。初対面での印象が、すでにジワジワと上向きになりつつある、からだ。

“盛る”から“シンプル”へというのはわかる。女性仕様車といってもピンクや花柄じゃない……というセンスも、もう何十年も前から言われてきたこと。とはいえよく言えばプレーン、言い方を変えるとかなり素っ気ない仕上がりは、これで本当に愛着が持てるのか?と心配になった。開発に加わった女性陣のセンスは、相当にストイックだった? “日々の暮らしのパートナー”なら、クルマを停めて思わず振り返ってみたくなる、そんなチャーミングさが必要では?とも。自分の愛車を引き合いに出すのはコソバユイが、たとえば“チンク”は、そういうクルマだ。だいぶ前のクルマだが『エッセ』には、シンプルだが情緒も感じさせる佇まいがあった。

だがデザイン担当・皆川さんの説明でナルホドと思わせられたのは、「『ミライース』はトレンドだがコチラはそうじゃない」ということ。そう聞いて『トコット』が右脳派に思えてきた。とはいえ角度を立てたAピラーは、空力には不利でも視界や運転のしやすさを実現しているなど、機能性の追求も外していない。テールランプの“丸”はひと捻り欲しかったが、ボディ側面は大きな平面を作りながらも、肩口の控えめな“R”がニュアンスを出している。試乗会場到着時に選べたボディ色は撮影車のブルーだったが、実は設定色の全車がメタリックまたはパールだ。

ミライースと運転ポジションは同等かどうか、シート座面高は意識的に高めにする必要があるが(チルト調整もできる)、そうするとエンジンフードが見渡せる。汚れ対応で座面を濃色にしたシート表皮は、今どきのインテリアショップの寝具やカバー類のセンスだ。願わくば室内の樹脂素材、仕上げ等、よりコダワリが盛り込まれると嬉しい。

2455mmのホイールベースを生かして、乗り味はタオッ!と穏やかなフラットライド。やや軽めにしたというステアリングは、想像していたより僅か多めに手応えが残されていた。CVT+NAエンジンの動力性能は必要にして十分といったところ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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