遊園地の乗り物から誕生した排気量50ccのレジャーバイク、ホンダ『モンキー』は、昨年夏に惜しまれつつ50年という長い歴史の幕を下ろした。
あの可愛らしいバイクは、もう出ないのか……。ファンは嘆き悲しんだが、125ccになって今夏また復活している。前後8インチだったタイヤは12インチへと大きくなり、全長1365mm、全幅600mm、全高850mmだった小さな車体は、全長1710mm、全幅755mm、全高1030mmと立派な車格になっているのだ。
しかし、各パーツのサイズ比率は50cc時代そのままで、モンキーならではの分厚いシートやアップハンドル、太いタイヤやアップマフラーなどすべてがまったく同じサイズ感なのが驚く。
タイヤとエンジンの隙間や、グリップとシートの位置関係など、50ccモンキーと同じに見えるよう徹底的に再現しているのだから、このこだわりよう、いかにホンダが“モンキー”というオートバイを愛しているかがわかる。いやこれはもう、ホンダの執念なのかもしれない。
乗ってみると、ホビーバイクだったモンキーが立派なオートバイ然としているから感慨深い。フンワリと柔らかい乗り味ながら、エンジンは力強く加速も鋭い。フロントフォークは倒立式で、ブレーキも前後ディスク。現代的な足まわりで、当然ながら制動力は申し分ないし、ブレーキのタッチもしっかりしていて、オモチャ感覚はもうどこにもないのだ。市街地ではクルマの流れをリードできるし、幹線道路を使ってツーリングに行っても快適だろう。
前後フェンダーやヒートガードは上質なクロームで仕上げられ、もはや高級感させ漂っている。そう「モンキー125」は、大人のライダーも納得させるモーターサイクルとして生まれ変わり、世界を大きく広げている。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。