「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオン」2018シーズンの決勝が8月26日、ロシアのカザンで開催され、マルティン・ソンカ(チェコ)がファイナル4で優勝。日本人パイロットの室屋義秀はエンジン回転の上限を超えたことが発覚し、ラウンドオブ8で失格敗退となった。
ソンカは、予選でこそパーフェクトなラインを見出すのに苦労していた様子だったが、決勝レース日の初戦ラウンド・オブ・14で最適解を見出すと、そこから攻勢に転じて一気にファイナル4まで進出。シーズン2勝目、前大会ブダペストに続く連続制覇となった。
ファイナル4に進出したのは、出場順にカービー・チャンブリ(アメリカ)、マイケル・グーリアン(アメリカ)、フアン・ベラルデ(スペイン)、ソンカ。ここでチャンブリスはいきなり52.304秒の好タイムを記録。2番手で登場したグーリアンもスタート当初こそチャンブリスにリードを許す展開を強いられたが、最後は0.181秒上回ってベテランらしい貫禄を発揮して暫定首位となった。
続く3番手の出場となったベラルデは切れの良いフライトで2人の米国人パイロットに迫った。その動きから2人の米国人パイロットを上回るかと見えたが、タイムでは及ばず。最終的には惜しくも表彰台を逃す結果となった。
この状況に奮い立ったのが4番手の出場となったソンカだ。ソンカが優勝するためにはグーリアンの52秒238を上回る必要があった。しかし、それまでの成績を踏まえれば超えられないタイムではない。最初のスプリットタイムこそグーリアンを下回ったものの、バーチカルターンからグーリアンのタイムに迫り始め、折り返しのスプリットタイムでは0.375秒上回ることに成功。その後、一旦はグーリアンにリードを許したが、最後は彼を0.115秒上回るタイムでフィニッシュして見事、優勝をもぎ取った。
決勝レースの結果、年間シーズン順位はグーリアンが55ポイントで総合首位に立ち、ソンカとマット・ホール(オーストラリア)が49ポイントで総合2位・3位となった。
ここで残念で仕方がないのがラウンドオブ8で失格敗退となった室屋だ。対戦相手のチャンブリスのタイムを上回って一旦はこのヒートを制したかと思われたが、レース後に室屋がルール7.1.8.4で規定されているエンジン回転数の上限(2950RPM)を超過していたことが発覚。これによって室屋はDQ(失格)となり、ファイナル4への進出は叶わなくなってしまった。
この結果、室屋は8位となり、カザンでの取得ポイントは「3」にとどまった。年間順位は前回と同じ5位のままだが、総合首位のグーリアンとは30ポイント以上の差を付けられており、残すところあと3戦。昨年に続く年間チャンピオンは相当苦しくなったと言わざるを得ない。