日本一のプロショップに訊く音作りのポリシー、そして未来に向けて…クァンタム

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クァンタム(茨城県)
クァンタム(茨城県) 全 12 枚 拡大写真

全国から強者が集う、国内最大規模のカーオーディオ・サウンドコンペティションである『第4回ハイエンドカーオーディオコンテスト』が、去る7月14日と15日の2日間にわたり、静岡県の『ツインメッセ静岡』にて開催された。

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当サイトでは毎年、この中の『ディーラーデモカー部門 ディーラーデモカークラス』で優勝を飾ったお店を訪問し、そのインタビューの模様を掲載している。プロ同士が威信をかけて真っ向勝負するこのクラスを制するに至ったそのバックボーンや、カーオーディオプロショップとしてのポリシー等々を紹介しようと試みている。

さて、今年の大会の同部門・同クラスで1位に輝いたのは、茨城県の実力ショップ、“クァンタム”だ。ちなみに“クァンタム”は、同クラスに2台を持ち込み、もう1台も堂々の4位入賞を果たしている。

8月某日、茨城県・守谷市にある“クァンタム”を訪ね、同店の土屋代表に、音のこと、デモカーのこと、さらには今後目指すべき方向性についてまで、じっくりと話を訊いてきた。

■「誰が聴いても“良い”と思える音、つまりは“正しい音”に仕上げた」

まずは、根本的なことについて訊いてみた。土屋さんが考える“良い音”とはどのような音なのか。そして『ディーラーデモカー部門 ディーラーデモカークラス』で勝利した“BMW・320iツーリング”では、それを実現させるべくどのような取り組みが成されているのかを教えてもらった。

「僕は常々、“良い音”とは万国共通だと思っています。誰が聴いても“良い”と思える音があり、そうであればあるほど、何をどんなボリュームで聴いても“良い”と思える。

例えばここに3本のベースギターがあったとして、その3本はそれぞれで音色が異なるわけですが、それぞれの音は不変です。それぞれを弾いて奏でられるその音が“正しい音”であり、その正しい音をそのまま出せたときにこそ、その音が“良い音”だと評価されるのだと思うんです。オーディオ機器はそれを目指して作られていて、僕もそれを目指して製品を取り付け、調整しています。

今回もそのポリシーは曲げていません。毎年そうしています。しかし同じように取り組んでも、ハマる年とそうでない年があります。そこがコンテストの難しいところでもあるのですが。昨年はハマらず、デモカーは6位に沈みました。今年はその悔しさもあり、この1年間で見えてきた僅かな修正点を直し、さらに“正しい音”としての精度を上げて臨みました。

ちなみに、調整を少し直した以外は、すべて昨年と同じ状態です。取り付けに関しては、3年前にシステム変更したときに相当煮詰めましたので、いじる必要はありませんでした。

コンテストで勝つための“ワークスマシン”として、目一杯のことをやってあるんですよ。特にこだわったのは信号の伝送部分ですね。デジタルケーブルとRCAケーブルについては特に、情報を欠落させないために、そして外来ノイズの影響を受けないために、さまざまな創意工夫を凝らしてあります。ユニットを組み上げた後に必要な長さを測り、その長さどおりに特注して用意したり、RCAケーブルは中空に浮かせてあったり。手間もコストも最大限掛けてあります」

■高額な製品を使わずとも、内装にダメージを与えずとも、“正しい音”を出せることの実証を目指す。

続いては、同クラスで4位に入賞した“BMW・4GC”について訊いた。ところでこのクルマに搭載されているのはなんと、そのほとんどがエントリーユニット、もしくはそれに準ずる製品だ。DAPこそ“アステルアンドケルン”のフラッグシップ機だが、その信号を制御し増幅しているのは“ヘリックス”のパワーアンプ内蔵DSP『P SIX』、そしてサブウーファー用のパワーアンプも同シリーズの『P TWO』である。そしてフロントスピーカーは、“フォーカル”のBMW専用トレードインスピーカーキット『ES 100 K for BMW』。サブウーファーもBMW専用モデルの『IFBMW-SUB.V2』という顔ぶれなのだ。

「このクルマで目指したことは、高い製品を使わなければだめ、という固定概念に立ち向かうことです。高いものを使わなくてもやるべきことをやれば満足度の高い音が出せるということを、証明したかったんです。

さらには、クルマを一切加工しなくても“良い音”が出せるということも実証したかった。なので、ドア内部の鉄板はもちろん、内装パネルについても一切、穴を開けてありません。ツィーターについては純正位置にはめただけ。角度の変更もしていません。デッドニングもゼロです。取り付け上で手を加えたことと言えば、インナーバッフルに“M&M DESIGN”のメタルバッフルを使ったことと、スピーカーケーブルを1m1800円の上級エントリーケーブルに交換したくらいです。

ただ、音楽信号の伝送部分については少しの工夫は盛り込みました。サブウーファー用のパワーアンプに敢えて“パワーアンプ内蔵DSP”のスピーカーアウトを繋げたり(S/Nを確保するため等)、デジタル伝送をロスなく行うための工夫とか。

そして適切なチューニングも施してあります。このクルマには毎日朝晩乗っているので、“正しい音”にするためには何をすべきかよく分かっていました。それを直前に実行し本番に臨みました」

こうして“BMW・4GC”は仕上げられ、4位入賞を果たした。

■「カーオーディオという文化を将来に残すためには、手軽でありながらも満足度の高いシステムを提供できるかどうかが鍵…」

“BMW・4GC”で目指したことについて、さらに踏み込んで解説してもらった。

「高い製品を使わなければ得られない音はありますし、リーズナブルな製品ではそれなりの音しか出ないということも事実です。実際、今回エントリーさせた2台の音を聴き比べたら、“BMW・320iツーリング”の音のほうが絶対的にポテンシャルが高いですし。

要は、どちらの音を欲するか、どのレベルの音でないと満足できないか、ということになってくると思うんです。ちなみに僕は、“BMW・4GC”の音にも十分満足できています。4位に入れるだけの音はしているわけですから。

ただ、要求水準を高いところに置かれる方は、“BMW・4GC”以上の音を望まれると思います。そうであるときに初めて、それに見合う投資が必要となってくるんだと思うんです。

でも僕は、3年後、5年後には、“BMW・4GC”に搭載しているようなシステムしか残らないんじゃないかと思っています。というか、将来までカーオーディオという文化を残すためには、あのクルマのような様式が必要なんです。それを残せなかったら何も残らない。そこまで思っています。

カーオーディオプロショップの使命は、高い製品を提供することにあるのではなく、リーズナブルな製品であっても“良い音”を提供できること、しかもインテリアにダメージを与えることなく。それが使命だと思っています。

カーオーディオは、人生を豊かにするための“必需品”であるべきだと思っています。“贅沢品”ではなく。そのためには、手軽な製品、手軽なインストールスタイルでいかに満足度の高い音を提供できるか、ここが鍵になると思うんです。“BMW・4GC”は、それができるかどうかのチャレンジだったんです」

土屋さんの話には、至極納得させられた。カーオーディオの楽しみ方は人それぞれだが、確かに、まずは気軽に楽しめるものであるべきだ。そうであるならば、今後も文化として残っていくはずだと思うのだが、いかがだろうか。

『ハイエンドカーオーディオコンテスト』は、来年も開催が予定されている。次回にはどんなコンセプトのクルマが評価され、そこから何が見えてくるのか。今からそれを楽しみに待ちたい。

日本一の“プロショップ”に訊く。音作りのポリシー、そして未来に向けて…。

《太田祥三》

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