プロが伝授するサウンドチューニング「基本と応用」…上達するためのコツ

クラリオン『フルデジタルサウンド』のチューニングアプリでの、“クロスオーバー”の設定画面。
クラリオン『フルデジタルサウンド』のチューニングアプリでの、“クロスオーバー”の設定画面。全 5 枚

カーオーディオの音を良くするための重要項目の1つである「サウンドチューニング」について、その実践方法をプロショップに取材し、お伝えしてきた。そんな当特集も、今回がいよいよ最終回となる。当回ではまとめとして、“上達するためのコツ”を解説していく。

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なお今回は、山形県の実力ショップ“カーズファクトリーシュティール”の石岡さんにご協力いただいた。音質コンペの“EMMA(エマ)”、“IASCA(アイアスカ)”でジャッジも務めている氏に、チューニング上達のポイントを詳しく教えてもらった。

■「どんな音に仕上げたいか、目指すべきサウンドのイメージを持つことが重要」

最初に、“心構え”から教えてもらった。

「自分の好きな音に仕上げるためのチューニングなのか、コンテストのためのチューニングなのかでも変わってきますが、自分好みの音に仕上げるためのチューニングであるならば、“どんな音にしたいのか”、そのイメージを明確に持つことがもっとも重要です。自分にとっての“良い音”のイメージさえ持てれば、あとはそれに近づけていくための作業をひたすら繰り返していけばいいのです。

ところで、“良い音”にはいろいろな方向性があります。高級なホームオーディオで聴ける音を“良い音”だと思う人もいれば、ライブ会場で体感できるような音を“良い音”だとイメージしている人もいるでしょう。ヘッドフォンで聴く音を“良い音”だと考えている人もいると思います。

で、それぞれで仕上げ方が変わってきます。例えば、ライブ会場で体感できるような音にしたいと思うなら、楽器の音の波動が体に伝わってくるようなサウンドであるべきです。ホームオーディオの音を目指したいのであれば、ライブの音とはバランスが変わってきます。カーオーディオでは、どの方向にも持っていけます。

まずは自分にとっての“良い音”がどんな音なのかを見つけ出しましょう。これがチューニングのスタート地点だと思います」

■いろいろな曲のイントロを片っ端から聴いて、“気になる音”、“足りない音”を探すベシ。

続いては、自分の目指すサウンドに向かって調整していこうとするときの、具体的なコツを教えてもらった。

「基本的な設定が終わっている前提で、その次にすべきことは以下の2つです。1つは“気になる音(嫌な音)を探すこと”、もう1つは“足りない音を探すこと”。“気になる音”が見つかれば、それを取り除く操作を行い、“足りない音”が何かわかれば、それを補うための作業を実行すればいいわけです。

で問題は、“気になる音”と“足りない音”をどうやって探し出すか、なのですが…。良い方法があるのでお教えしたいと思います。

アーティストやジャンルの異なる音源をできたら200曲くらい用意します。MP3ではない方がいいですね。もしも行きつけのプロショップにたくさんCDが置いてあったりするのなら、それを借りるのも良いと思います。

そして、それらを片っ端から聴いていきます。聴くのは最初の30秒くらいでいいです。つまり、イントロを聴くくらいで。そうすると、もしも嫌な音が出ている場合には、どのあたりが嫌な音なのか段々と掴めてくるはずです。足りない音がある場合にも、どの辺が足りないのかわかってくると思います。

いろいろな曲のイントロだけを聴いていると、音のクセみたいなものが客観的に見えてきやすいんですよ。イントロだけを聴くところがポイントです。ボーカルパートが始まってしまうと声に注意が行ってしまうので全体を聴けなくなってしまいます。歌が始まったらその曲は止めて、次の曲に進みましょう

で、もしも“嫌な音”や“足りない音”が見えてこなかったら、チューニング機能はいじらない方がいいと思います。悪いところはない、と判断できるからです。

なお、直すべきところが見つかった場合には、いきなり“イコライザー”を触るのではなく、“クロスオーバー”の設定画面で、各帯域の“音量”を変えてみることをおすすめしたいですね。プラス・マイナス3dBくらい上げ下げしてみます。それだけもかなり聴こえ方が変わります」

■聴こえた印象を“イコライザーカーブ”として紙に描いていくと…?

さらにはこんなスペシャルな調整方法も教えてもらった。

「イントロをたくさん聴きながら、それがどんな風に聴こえたかを紙に描いていくのも面白いと思います。いわゆる“イコライザーカーブ”を描いてみるんです。低音から高音までの聴こえ方のバランスを聴こえたとおりに。

曲ごとに紙を替える必要はありません。1枚の紙に、重ねて描いていけばOKです。ペンはボールペンくらいの太さのものがいいですね。マジックのように太いペンはNGです。

100曲以上聴いて都度“イコライザーカーブ”を描いていくと、線が密集してなんとなく1本の太い線に見えてくるはずです。それが見えてくれば、そのラインがそのシステムのサウンド傾向だと判断できるんですよ。

そうしたら、その“イコライザーカーブ”をフラットに戻すような方向で、チューニングしていきます。

なおこのときも、“クロスオーバー”の中の帯域ごとの“音量”調整から触ってみましょう。いきなり31バンドの“イコライザー”を操作するのは難しいと思います。まずは帯域ごとの“音量”を調整することでどのように音が変わるのかを確認すると、“イコライザー”調整のコツも掴みやすいと思います。

また、お店で設定してもらったチューニング結果をベースに、そこから微調整を加えていく、という調整方法もアリです。そのときもまずは“クロスオーバー”の“音量”から触ってみると良いと思います」

■“位置関係”、“大小関係”の整合性が取れてくると、音色の整合性も取れてくる…。

最後に、サウンドコンペに向けての調整方法のコツを教えてもらった。

「審査員の方がジャッジをするコンテストにおいては、正解は審査員の方の頭の中にあるわけで、答を知ることができません。なので、どんな音が正解なのかを“推理”するゲームだと考えて、そこのところから楽しむといいのではないでしょうか。事前に発表される審査員の方のコメントをよく読んだり、課題曲のアーティストの他のCDを聴いたり、同じレーベルの作品を聴いたりして、正解を推理していきましょう。推理のための材料はできるだけ多く集めたほうがいいと思います。

ちなみに私がジャッジをさせてもらっている“EMMA”や“IASCA”ではルールがありますので、それを良く理解することが重要です。

傾向と対策を言うならば、“楽器の位置関係を正しく再現すること”がキーになってきますね。これは、ステージングだけの問題ではありません。例えばギターならば、上に取り付けられている弦が太くて下に取り付けられている弦が細くなっています。なので弾き下ろしたときには、低い音は上にあり高い音は下に位置します。それが逆になっていたらおかしいですよね。また、弦はタバコひと箱くらいの幅の中に収まっていますが、それが天井からフロアまでの大きさに感じられたら違和感が出ます。そういった部分も含めた“位置関係”、“大小関係”が正しく再現できるかどうかが問題になるんです。そういったことの整合性が取れてくると、音色の整合性も取れてきます。

あと、楽器の音がわかりやすい音源を用意しておくことも大事ですね。ベースソロがあるとか、ドラムソロがあるとか、ピアノだけで始まる曲とか。

とにもかくにも、自分がイメージした音に近づくように操作を繰り返すのみです。楽しみながらできるといいですよね。健闘を祈っています」

石岡さんから聞いた話は以上だ。ユニークな実践方法も教えてもらえたので、興味があればぜひとも試していただきたい。

プロにもお願いしつつ、自分でもあれこれとチューニング機能をいじってみると、カーオーディオライフはさらに深みを増すはずだ。当特集を保存版として、あれこれとトライしてみよう。経験を積むごとに、新たな発見が得られるはずだ。

プロが伝授する、本格サウンドチューニング術!「基本と応用」第7回「上達するためのコツとは?」

《太田祥三》

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