BMWデザインセミナー…8シリーズのサイドの“えぐれ”がデザインのテーマ

BMWデザインディレクターの永島譲二氏
BMWデザインディレクターの永島譲二氏全 8 枚

ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)は、『8シリーズ』の導入を開始した。そこで、BMWデザイン部門の永島譲二氏が来日し、一部報道陣向けにデザインセミナーを開催されたので、8シリーズのデザインの特徴について説明してもらった。

永島氏は直接この8シリーズの生産モデルに関してはタッチしていない。しかし、その予告コンセプトカーではプロジェクトマネージャーを務めていたので、適任ともいえるだろう。

サイドの“えぐれ”がデザインテーマ

「8シリーズは『6シリーズ』の後継という位置づけではあるものの、その6シリーズよりもはるかにスポーティなイメージが強いクルマだ。先代の大きなスポーティでありながらもツアラー的な性格から、本格的なスポーツカーに変わった」と永島氏は紹介する。

それは、「シーティングパッケージが大きく違い、(低くすることで)よりスポーツよりにした。また、クルマの性格としてもはっきりとスポーティな方向に振っている。実際に見るとかなりアグレッシブまではいかないまでも、そういうイメージが伝わってくるのではないか」という。

BMWの大きな特徴であるキドニーグリルの左右の頂点が下げられ、「ヘッドランプはそれよりも上に位置している。そこは、『3シリーズ』などと差別化されており、スポーティなクルマはこの頂点を下の方に持ってくることで、より幅広感と低重心を強調しているのだ」と話す。

また、『Z4』のヘッドライトは縦方向であるのに対し、8シリーズは、「水平に近いヘッドランプで中はエレメントが2回繰り返されているのも特徴だ」。これも幅広感を強調している意図がある。

サイドのデザインについて永島氏は、「エアブリーザーからリアに向けて強いラインが入っており、リアフェンダーの部分に強いショルダーがある。そしてエアブリーザーのところがえぐれたような形で剣のような形になっており、ここが影をとらえて非常に強く見せながら、ショルダーにつながっている。これが8シリーズの大きなサイドデザインのテーマだ」と説明。

この“えぐれる”というのは、「視覚的にも重量を減らすという意味がある。どうしてもドアのボリュームが大きくなるので、強いえぐれによる影と光を入れて、視覚的な量感を減らしている」とのことだ。

そしてこのクルマにもエアブリーザーという空力のためのフィーチャーがついており、ホイールハウスから空気が抜けるようになって、空気抵抗を軽減している。

8シリーズでトライできたリア周り

リア周りでは、「L字型のテールランプが三次元的な飛行機の羽のような、ブレイドのような形が浮きあがるようなイメージで、中のL字型が点灯した時によく見えるようにすることで、夜でもこのアイコンが分かるようになっている」と述べる。

そして、リアを見るとそのショルダーが幅広く見せていることに気づく。「6シリーズははるかに幅が狭く、デザイン的にもなかなか実現できないものだ」と永島氏。「これは全てリアホイールを強調するため。もちろん視覚的な安定感もあるが、基本はクルマが幅広く見えてかっこいいということ。このように6シリーズではできなかったことが8シリーズでできるようになったのは、デザイナーにとっては嬉しいことだ」とした。

また、リアウィンドウのプロポーションについても、「必ずBMWは末広がりの台形で、それは決まりのようなものだったが、逆台形に近い形状となりグリーンハウスの幅が割と狭く、ショルダーを強調したものとなったことも大きく影響している」と述べた。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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