『サウンド調整術入門』クロスオーバー機能 lII

クロスオーバー調整の設定画面の一例(クラリオン『フルデジタルサウンド』の調整アプリの操作画面)。
クロスオーバー調整の設定画面の一例(クラリオン『フルデジタルサウンド』の調整アプリの操作画面)。全 1 枚

クルマの中で“良い音”を楽しもうとするときのキーポイントの1つとなる『サウンド調整術』について解説している当コーナー。現在は各機能の成り立ち解説を行っている。まずは“クロスオーバー”機能にスポットを当てている。

今回も、フロントスピーカーとサブウーファー間においての“クロスオーバー調整”を例に解説していく。

ここまで、“ハイカット(ローパス)”、“ローカット(ハイパス)”、そして“スロープ”について解説してきた。今回は“ゲイン”と“フェイズ”について説明する。

これまでに何度か言及してきたとおり、“クロスオーバー”とは、マルチウェイスピーカーを使う際に音楽信号を“帯域分割”する機能である。フロントスピーカーとサブウーファー間でこれを行う際には、それぞれの再生担当範囲を決める項目である“ハイカット”、または“ローカット”を設定し、カットする際の減衰率を変更する項目である“スロープ”を設定する。

これらを行えば“帯域分割”の状況設定が完了するのだが、“クロスオーバー調整”の設定画面には多くの機種で、“ゲイン(レベル)”と“フェイズ”という2項目も存在していて、それらについても設定する必要が生じる。

それぞれの役割を解説していこう。まずは“ゲイン”から。これはつまりは“音量”のことを指している。

ところで“クロスオーバー調整”で目指すべきは、フロントスピーカーの音とサブウーファーの音とを上手く“繋げる”ことである。音の出所がフロントスピーカーとサブウーファーそれぞれに分かれているにも関わらず、まるで左右1つずつのスピーカーから音楽が流れているかのような状態を作り出したいわけだ。

それを目指すためには実は、“帯域分割”をどのように行うかを決めるだけでは不完全だ。併せて“音量”バランスも取る必要がある。なので“クロスオーバー調整”の画面に“音量”を決める項目も用意されている、というわけなのだ。

そして“フェイズ”とは、“位相”のことを指している。“位相”とはざっくり「音波のタイミング」だと理解してほしい。水面を伝う波紋のように、音も上昇と下降を交互に繰り返しながら空気中を伝わっていくのだが、“スロープ”を変更すると基本的に、音波のスタートポイントが変わってくる。なお、0度のところから音波がスタートする状態が“正相”であり、180度のところからスタートする状態が“逆相”だ。

“フェイズ”切り替えをオン/オフすると、“音波のタイミング”をひっくり返すことが可能となる。これを活用して、フロントスピーカーの音とサブウーファーの音の“音波のタイミング”を揃えていこうとするのだ。その作業も行わないと、サウンドが上手く“繋がらない”のである。

今回はここまでとさせていただく。次回からは、“イコライザー”機能の成り立ち解説をスタートさせる。乞うご期待。

『サウンド調整術』入門! 第2章「調整機能の成り立ちとは? その3 “クロスオーバー機能 lll”

《太田祥三》

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