BlackBerry QNXが統合デジタルコックピットを提案…オートモーティブワールド2019

デモカ―:ジャガー
デモカ―:ジャガー全 9 枚
IVI、マルチファンクションスクリーン、ディスプレイオーディオ、各種コネクテッド機能の進化がめざましい。欧州車など上級モデルはインパネのディスプレイ化が進み、カーナビ画面もメータークラスタで確認できるのは当たり前となっている。

さまざまな情報を切り替え表示できて便利なのだが、じつはコネクテッド機能との連携がいまいちだ。端的にいえば、カーナビや車両情報の画面と、スマホアプリの画面は別システム扱いで、画面が異なるか切り替え操作が必要ということだ。運転席正面のメータークラスタと、センターコンソールのインフォテインメントシステム(カーナビやディスプレイオーディオなど)との間で情報のやりとりは可能になっている部分もあるが、これらのシステムはそれぞれ扱う情報が異なるからだ。

メータークラスタは車両内部の情報を扱うが、インフォテインメントシステムはドライバーのスマホやインターネットなどの情報がメイン。情報ソースのプラットフォームが異なるので、システム的にはOS(オペレーティングシステム)も別物だ。そのため、画面のモード切り替えが発生したり、面倒なメニュー操作が必要だったりする。そもそも、それぞれセキュリティレベルも異なる情報でもあるため、一般にはひとつのシステムに混在させにくいという問題もある。

BlackBerry QNXが展示していた統合デジタルコックピットは、QNXというリアルタイム系OSをベースに、メータークラスタ・車両制御情報からカーナビ、スマホアプリまでシームレスなコクピット環境を実現するものだ。なぜそれが実現できるかというと、QNXはハイパーバイザという仮想化環境システムを持っているからだ。QNXの仮想環境によって「サンドボックス」を実現し、インフォテインメントシステム、つまりスマホアプリやブラウザ、グーグル検索などをその中で動かしている。

サンドボックスは、その中で子どもが安全に遊べる砂場を意味する言葉だ。サンドボックスは隔離されているので、その中であれば車両システムの中でも安全にスマホアプリを実行できる。同時に、この場合はQNXのメーターコンソールの制御ECUの管理下で、安全にスマホアプリの実行が可能ということだ。

デモ展示やデモカーのインフォテインメントシステムの画面では、メインメニューの画面に、ナビゲーションやマイカー情報のような車両情報系のアイコンとSpotfyやGoogle Maps、ブラウザなどのアプリアイコンが同じレベルで並んでいた。そこから車載カーナビの起動、Google MapsやGoogle Earthの切り替え。車載オーディオからSpotifyやGoogle PlayMusicへの切り替えもワンタッチ操作で可能だ。必要なら、インパネのマルチスクリーンとのリンクもできる。

ドライバーは、車載システムとスマホアプリやネットサービスをシームレスに行き来できる。現状のAndroid AutoやCarPlayで、メールやスケジュールはアクセスできても、車両情報や制御をしたい場合は、画面モードやシステムを切り替えないといけない。そんなうっとおしさを感じているひとなら、BlackBerry QNXの統合コックピットの便利さはイメージしやすいだろう。なお、OEMメーカーでは、アウディがQNXを採用している。

《中尾真二》

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