[カーオーディオ“本格”のススメ]ツィーターをカスタムインストール

ツィーターの取り付け例(製作ショップ:Proshop Vogue)。
ツィーターの取り付け例(製作ショップ:Proshop Vogue)。全 4 枚

エントリーシステムからの“グレードアップ”をお薦めする短期集中連載をお届けしている。キーワードは“本格”。第3回目となる今回は、ツィーターを“カスタムインストールする”という“本格”的な楽しみ方について多角的に考察していく。

なお当特集では、毎回全国の実力カーオーディオプロショップに協力を仰ぎ、プロならではのアドバイスをもらい記事を作成している。今回は、千葉県千葉市に店舗を構える“Proshop Vogue(ヴォーグ)”の渡邊さんに教えを請い、参考になる話をたっぷり聞いてきた。じっくりとお読みいただきたい。

■音のことを考えるなら、“カスタムインストール”した方が有利!

最初に、ツィーターをAピラーやドアミラー裏に埋め込む“カスタムインストール”の、そのメリットから教えてもらった。

「ずばり、“高音質が得られやすくなること”が最大の利点です。“カスタムインストール”しない場合には、音的に不利な要素がいくつか発生してしまいますが、“カスタムインストール”を行えば、不利な要素を取り払うことが可能となります。

どのような不利が考えられるのかというと、まずは純正位置に埋め込む場合。もしも純正位置がダッシュボードのパネル内であれば、ツィーターは上向きに取り付けることになるのですが、この状態では特に、音的な不利が大きくなります。高音の情報量が落ちることと、反射の影響が大きくなること、これらが主な不利点です。

スピーカーと正対して聴けた方が情報量を多く得られます。そして高音になるほどその傾向は強くなります。高い音ほど指向性(真っ直ぐ進もうとする性質)が強くなり、同時に軸上から外れたときの情報量の減衰率も高くなってしまうんです。ダッシュボードの中に上向きで埋め込む場合には、角度が相当に開いてしまいますから減衰率も相応に高くなります。そして音が窓ガラスに反射してから耳に届くことになるので、音色が不自然になったりピークが出たり…。コントロールしづらくなるんです。

対してダッシュボードの上にポンと置くようにして取り付ける場合には、状況はかなり改善されます。直接音を聴けるようになり、角度調節の自由度も高まりますから。しかし、取り付け位置が深くなりがちなので、この点では音的に不利だと思います。奥行き感を出しにくくなるんです(詳細は後述)。あと、下側の反射(ダッシュボード上での反射)の影響も小さくありません。

ツィーターを隠したいと思ったときには純正位置はベストですし、工賃を抑えたいときにはポンと置くように取り付ければ予算を抑制することができます。しかし音のことを優先させるなら、“カスタムインストール”に分があります」

■“カスタムインストール”は見た目もGOOD。クルマに乗り込むときの気分も違う♪

音のこと以外でも、以下のような利点が得られるという。

「見た目が良いことも“カスタムインストール”のメリットだと思います。デザインに凝ることもできますし、仕上げの仕方にもこだわりを注入できます。趣味としてのワクワク感が増大すると思うんです。また、Aピラーやドアミラー裏にツィーターが埋め込まれていると、その車両が音にこだわっているクルマであることを外から見てもすぐに分かりますから、乗り込むときの気分も違ってくると思うんです。

ところで、“カスタムインストール”することでインテリアがダメージを受けるとお考えの方も少なくないと思うのですが、そのことは大きく心配する必要はないと思うんです。Aピラーのパネルはドアの内張りパネルと比べてかなり安価ですし、ドアミラー裏のパネルはそれよりもさらに低コストで手に入れられます。元通りに戻したいと思っても案外負担は少なくてすみます。

取付工賃も、ドアをカスタムしたりサブウーファーをトランクフロアに埋め込むのと比べてかなり手頃ですし。ツィーターの“カスタムインストール”は実は、ハードルはそれほど高くはないんです。比較的に気軽に“本格”を楽しめます」

■ドアミラー裏に取り付けると、サウンドステージの“幅”と“奥行き”を出しやすくなる。

続いては、“カスタムインストール”することで得られる音的な利点を、ドアミラー裏とAピラーそれぞれで詳しく教えてもらった。

「ドアミラー裏に取り付ける場合には、サウンドステージの“幅”と“奥行き”を出しやすくなることが利点になると思います。“幅”を出しやすくなる理由は以下のとおりです。運転席側のツィーターをイメージしてください。ダッシュボードの上にポンと置いたときとドラミラー裏に取り付けたときとを比べると、前者ではドライバーの真正面気味な位置となりますが、ドアミラー裏に取り付けるとドライバーから見たときの角度を広げることが可能になります。結果、サウンドステージの“幅”を広げやすくなるんです。

“奥行き”が出しやすくなる理屈は以下のとおりです。ツィーターをより手前に位置させられますので、サウンドステージの最前部を手前に持ってきやすくなります。ツィーターの取り付け位置が奥まるとステージの最前部も奥まってしまいますから、深さを出すのが難しくなるんです。

Aピラーに取り付ける場合には、ある程度高さを稼げることがメリットとなります。ダッシュボードの上に置いたときと比べて下側の反射の影響を受けにくくなりますから。

あとAピラーに取り付ける場合には、ドアミラー裏に取り付ける場合と比べてデザイン的な自由度が高まることも利点となります。カッコ良く取り付けられれば、音の印象も変わってきますし。

なお、取り付け位置に関してはお店ごとでいろいろな考え方があり、さらには車種によっても状況が変わってきます。ですので、Aピラーとドアミラー裏、どちらが音に有利なのかは一概には言えないと思います。取り付け上の都合や予算のことも考えながら、ショップと十分に相談した上で、総合的にご判断されるといいのではないでしょうか」

■角度はドライバーに正対させることが基本。角度合わせを厳密に行うこともポイント。

取り付け角度についても聞いてみた。

「角度に関してもいろいろな考え方がありますが、当店では、ドライバーに正対させることを基本にしています。角度がずれるほど情報量が減衰してしまいますから。

ところで、“カスタムインストール”する場合には後から角度を変えづらいので、取り付ける際の角度決めは慎重に行いたいと考えています。そうしてベストな角度を決めておけば、後からそれが狂うことがありませんので、その点では安心感が高いです。両面テープでツィーターマウントを固定するときのように、剥がれ落ちる心配もありませんし」

ちなみに、コーン型のツィーターを使う際には、“Proshop Vogue”ではアルミエンクロージャーの使用をお薦めしているという。

「コーン型のツィーターでは特に、エンクロージャーに収めた方が性能を引き出しやすくなります。コントロール下に置けるからです。そしてエンクロージャーは強度が高ければ高いほど、音質的なアドバンテージも大きくなります。制動力が上がりレスポンスが良くなりますから。コーン型のツィーターを使う際には、エンクロージャーにもこだわりたいですね」

最後にまとめてもらった。

「スピーカー交換をする際には、取り付け工賃を抑え目して予算の多くをスピーカー代に充て、そして頃合いを見て改めてツィーターの“カスタムインストール”を実行する、というもアリだと思います。音が良くなる感動を再び味わえますから。ツィーターの“カスタムインストール”は手軽に行えますし、お薦め度は高いです。ぜひ挑戦していただきたいですね」

いかがだったろうか。ツィーターを“カスタムインストール”するという“本格”的な楽しみ方があるということを、この機会に記憶にとどめておいていただきたい。より深くカーオーディオを楽しみたいと思ったら、ここから手を付けてみても面白い。

“本格カーオーディオ”のススメ 第3回ツィーターを“カスタムインストール”!

《太田祥三》

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