【ホンダ インサイト 新型試乗】乗る人の気もちに寄りそう走りに「あらあ、いいじゃない!」…岩貞るみこ

ホンダ インサイト 新型(左)と2代目(右)
ホンダ インサイト 新型(左)と2代目(右)全 8 枚

でかい女ですみません

1999年、初代『インサイト』が登場したときは二人乗りだった。あの当時は、世界的に燃費競争が繰り広げられていて、どのメーカーが市販車初のリッター100kmを果たすかでしのぎを削っていたように思う。かといって、二人乗りはないんじゃないの。それって技術者の自己満足じゃん、ユーザー無視だよねと、当時の私は吠えまくっていたものだ。

次に出た二代目。後部座席はついたものの、空力重視で屋根から後ろにかけてななめになったラインは、後部座席に座るときはルーフに頭ぶつけるし、いざ座ると身長170cmの私は頭が天井にぶつかるし、その状態でシートベルトをかけると腰骨にちゃんとかからないし、あー、これで事故ったら、シートベルトが腹に食い込み内臓損傷で死ぬなーと思ったものだ。ええ、でかい女ですみません。

そして三代目である。ホンダも腹をくくってセダンである。おかげで、後部座席はしっかりとした広さ。天井までも十分なスペースがあり、もちろん、シートベルトはきちんとかけられる(座る人がちゃんとつけないと効果はないけどね)。

乗ってみると「あらあ、いいじゃない!」

ホンダ インサイト 新型ホンダ インサイト 新型
ただ……スタイルがじじくさい。顔まわりは垢抜けを目指した形跡が感じられるけれど、がんばりすぎてちょっとイタい。私ごときにえらそうに言われても困るだろうが、ホンダの鬼門はデザインだと思う。新型車を試乗するときは、いつもわっくわくになるものだが、このクルマは食指が動かないというかなんというか。フェロモンゼロなのである。

しかし、乗ってみると印象は一変する。

あらあ、いいじゃない!

走りがとんでもなく素直でスムーズ。ハイブリッドだと調整がむずかしいブレーキも、止まる寸前まですーっと速度が一定に落ちて違和感がない。ハンドルはちょっと重めだけれど、逆に安定感があって心地いい。パワーの出方もいいし、気持ちよく走れるのである。

走行中にリクエストが一つあるとすれば、時速40kmほどで定速走行しているときに、ハンドルにごくごくこまかーなハイブリッドシステムの振動が伝わってくることだ。この速度域で走ることの多い、繊細な女性のみなさんが気にならなければいいのだけれど。

走りはだんぜんいい。このサイズのセダンに乗る人たちの気もちに寄りそう仕上がりで、とっても好感がもてる。あとは、いつものとおり、デザインだよね。やっぱり、ださくちゃ彼氏にしたくないんだもの。
ホンダ インサイト 新型ホンダ インサイト 新型

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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