ルノー日産三菱の3社連合は今後どうなるのか…やはりルノー会長がリード

ルノー、日産自動車、三菱自動車の合同会見の様子
ルノー、日産自動車、三菱自動車の合同会見の様子全 2 枚

資本関係などグループ内での難しい課題は先送りにして、とりあえず協業関係の維持を優先する。ルノー、日産自動車、三菱自動車の3社が3月12日に行った共同会見は、一言で言うとこんな内容だ。

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日産の西川廣人社長兼CEOとしては、ひとまず安心できたという心境だったに違いない。それは嬉しそうに話すこんな発言からも伺える。

「ルノーのジャンドミニク・スナール会長は日産の新しいガバナンスへの移行を尊重してくれている。従来のようにルノーの会長が日産の会長になると求めないことを含めて大変ありがたい。今、私が抱える課題はアライアンスの安定、ガバナンスの刷新、業績の安定の3つ。今日はアライアンスの安定化に非常に大きな一歩だ」

3社の会長だったカルロス・ゴーン氏の逮捕後、ルノーと日産との間でさまざまな対立が取りざたされた。例えば、ルノーの筆頭株主である仏政府がルノーと日産の経営統合を推進しようとして、日産側が難色。また、日産の会長を仏側が指名しようとしたが、日産が拒否。このままでは最悪の事態も考えていた業界関係者もいたほどだった。

それがスナ-ル氏がルノーの会長に就任して以降、状況が大きく変わり始めた。スナ-ル氏は日産との話し合いを重視し、経営統合や資本関係の見直しについても、できるだけ発言しないようした。

この日の会見でも、経営統合や資本見直しについての質問が飛んだが、スナ-ル会長は「今日のポイントではない。フランス政府を株主として尊重するが、ルノーや日産、三菱にも将来がある。議長として3社の将来に向けた検討に集中したい」と物静かに答えた。

日産の会長職についても、「私は日産の会長になろうとは思っていない。副議長の候補には適していると思う」とスナ-ル会長は控えめに話し、ルノーによる経営支配に激しく抵抗する日産側に配慮する姿勢を常に見せていた。

しかし、質疑応答では、スナ-ル会長が終始リードしている状態で、真っ先に答えたり、西川社長兼CEOの発言の補足をしていた。野心を前面に出さないスナ-ル会長だが、相手に譲歩しながら自分の主張を通す。交渉相手としては一筋縄ではいかないという印象だ。

ルノー、日産、三菱自の3社は「アライアンス・オペレーティング・ボード」を新設して、ルノーのスナ-ル会長とティエリー・ボロレCEO、日産の西川社長兼CEO、三菱自の益子修会長兼CEOの4氏による合議で意思決定をしていくが、議長を務めるスナール会長がいつの間にかコントロールしていく体制になっていそうだ。

《山田清志》

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