スバルのハイブリッド、進化の始まり…人とくるまのテクノロジー2019

スバル(人とくるまのテクノロジー2019)
スバル(人とくるまのテクノロジー2019)全 22 枚

パシフィコ横浜で22日に開幕した「人とくるまのテクノロジー展2019」。スバルブースでは日本未発売のプラグインハイブリッドカー『クロストレック・ハイブリッド』の実車と、新開発のプラグインハイブリッド(PHEV)パワートレインの展示が行われている。クロストレックは日本だと『XV』に相当する。

クロストレック・ハイブリッドのハイブリッドシステムは「e-BOXER」と名づけられた現行「XVアドバンス」のパラレルハイブリッドではなく、トヨタ自動車のPHEVシステムを下敷きに、エンジン縦置きの変速機直列配置というスバル特有の左右対称AWD(四輪駆動)システムに適合させたストロングハイブリッドだ。

「作動原理や基幹部品などはトヨタさんのものなのですが、これをウチのAWDに合うように作り変えるのは思った以上に大変でした。走りについてはお客様に十分喜んでいただけるものになったと自負しています」(スバルのエンジニア)

このクロストレック・ハイブリッドは日本未発売だが、今後も投入される見込みは低い。EV航続距離はアメリカ基準で17マイル(約27km)にすぎず、あくまで北米で販売が義務付けられているNEV(新エネルギー車)としての役割を果たすためのものだからだ。充電時間は120ボルトで5時間、240ボルトで2時間。ちょうどトヨタのPHEV、旧型『プリウスPHV』と同じような距離だ。日本ではこの距離で満足するカスタマーは少なく、また普通充電は急速充電に比べて出先でのインフラの使い勝手が著しく悪いという日本特有の事情もある。

それでもファンにとってはクロストレック・ハイブリッドは気になる存在であろう。なぜならば、数年後にスバルが投入してくるであろう、新しいハイブリッドの雛形というべきモデルだからだ。先に述べたe-BOXERはパラレルハイブリッドとしての能力が限定的であるわりに重く、大きさもかさばる。ドライブフィールは気持ちよく、かつ個性的だが、あくまでトヨタの2モーターハイブリッド陣営に入るまでのつなぎであることに変わりはない。トヨタのシステムを使ってもスバルがスバルらしいハイブリッドに仕立てることができるか、興味深いところである。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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