日産が3時間22分の株主総会---西川社長「ご心配かけ、深くおわびをしたい」と壇上の全役員と陳謝[新聞ウォッチ]

日産自動車の株主総会(パシフィコ横浜)
日産自動車の株主総会(パシフィコ横浜)全 6 枚

気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………

6月25日付の夕刊に続いて、きょうの各紙にも「大きな節目」となった日産自動車の株主総会関連の記事が際立つ。この日、国会では安倍内閣に対する不信任決議案が立憲民主党など野党5会派から提出されたが、午後の衆院本会議では反対多数であっさり否決された。

ニュース価値としては、会社法違反(特別背任)などの罪で逮捕、起訴された前会長、カルロス・ゴーン被告の取締役解任後、初となる日産の定時株主総会の方にスポットが当たるのは無理もないだろう。

冒頭、議長役の西川廣人社長は「完成検査の問題、元会長による重大な不正について、株主の皆さまに心配をおかけた。会社を代表して深くおわびを申し上げたい」と述べ、ルノーのジャンドミニク・スナール会長ら、壇上にずらりと並んだ役員が立ち上がり株主に向かって一斉に頭を下げ、謝罪した。

日産の株主総会は午前10時からの開始だったが、会場となった横浜市のパシフィコ横浜国立大ホール前の連絡通路には、大勢の報道陣が待機。入場前の株主に直撃取材する記者の姿も多く見られた。

それら株主のコメントは紙面でも取り上げられており、例えば、朝日は夕刊でも、初めて総会に足を運んだという石川県の70代の無職男性が「高配当を楽しみに株を持っていたが、減配という話が出ており、いったいどうなっているのか確かめに来た」との話を取り上げていた。

その減配について、西川社長は「18年度の配当は年間57円を支払うが、19年度は厳しい外部環境や足元の業績、さらに成長投資などを考慮して40円にさせていただく。株主の皆さまには申し訳なく思っている」と陳謝。株主からも「40円はいつまで続けるのか」との質問が出た。西川社長は「57円はいつになるかとは言えないが、40円を底として少しずつ上げていきたい」と説明した。

株主に対する日産の配当金は、日本の上場企業の中ではトップレベル。その高配当を目当ての株主も多いようで、どちらかといえば、株主からの質問は一部で経営責任の追及もあったが、それよりも、業績立て直しなどについての具体的な提案や新体制への叱咤激励の意見が多かったようにも見受けられた。

前回までゴーン被告が仕切っていた総会は、開始から2時間近くになると、一方的に質問を打ち切っていたが、西川社長の場合は出席した株主22人からの質問を受け、いつもよりも1時間半も長い所要時間は3時間22分に及んだ。今回は、恒例となっていた総会後のビュッフェスタイルの懇談会も開かれず、それだけに質疑の時間を長くとることも出来たようだった。日産の西川社長(株主総会)日産の西川社長(株主総会)

2019年6月26日付

●日産新体制可決、西川社長続投(読売・1面)

●内閣不信任案否決、国会きょう閉会(読売・1面)

●社説、日産・ルノー、対話重ね信頼関係の修復を(読売・3面)

●日産独立維持の壁、ルノー「統合検討の権利」(読売・8面)

●三菱重、小型機事業買収、600億円、ボンバルディアと合意(読売・9面)

●免許返納「特典」で促進(読売・29面)

●円高、一時106円台、6か月半ぶり、中東情勢に懸念(朝日・7面)

●日産新体制なお不安定(朝日・9面)

●ルネサス社長交代、業績低迷で(朝日・9面)

●日産最低24億円課徴金、ゴーン前会長報酬巡り、監視委勧告へ(朝日・31面)

●円、理論値は107円台、チャートは語る(日経・1面)

●インド新興100社に150億円出資、みずほやスズキ、ファンド設立(日経・1面)

●社説、日産・ルノー連合の前途多難(日経・2面)

●独経済、自動車主導に陰(日経・9面)

●全個体電池量産へ、村田製作所(日経・14面)

《福田俊之》

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