自動運転では3倍増加すると予想の車酔い、防ぐための技術開発とは…ZF

ZF グローバル・テクノロジー・デイ2019
ZF グローバル・テクノロジー・デイ2019全 8 枚

各自動車メーカーが懸命に開発を続ける自動運転技術。とりわけ、ドライバーの助けを借りなくても自動車自身が状況を認識・判断して運転操作を行うレベル3以上の自動運転が実用化されると、自動車の価値や形態が様々に変化すると予想されている。

ここで注目されるテーマのひとつがクルマ酔い。従来はドライバー自身が運転操作に直接関わっていたため、次にクルマがどんな挙動を示すかはすべて予想できた。しかし、自動運転ではこれが難しく、クルマがいつ、どんな挙動を示すかを乗員は予想しにくくなり、これが結果としてクルマ酔いを引き起こすとも予測される。ZFの研究によれば、現在クルマ酔いを経験する人の比率は30%程度だが、自動運転が普及した将来はこれが90%に跳ね上がると考えられているらしい。

こうした問題に対処するため、ZFでは複数のソリューションを検討している。ひとつは、これからクルマが右折もしくは左折することをあらかじめ乗員に知らせる方法。そのひとつとして展示されていたのが、非接触で人に振動を伝える装置。これは、空気を振動させる素子を多数配置し、その焦点に当たる部分に人間が知覚できる程度の振動を伝えるというもの。これでクルマが曲がる方向を事前に知らせることでクルマ酔いを減らそうというアイデアだ。そのほかにも音声によってこれから曲がる方向を示してクルマ酔いを防止する技術も提案された。

クルマ酔いを防ぐもうひとつの方法は、方向転換や路面の凹凸によって起きるクルマの挙動を抑え込むことにある。幸いにもZFはサスペンション、ブレーキ、ステアリング、電動駆動装置などのデバイスを多数手がけている。そこで、これらの動きを統合制御することでクルマの姿勢変化を最小限に抑える研究が行れている。イベント会場では、アクティブサスペンションや4WSを統合制御してスラローム時にもロール量を極端に抑えるシステムのデモンストレーションが行なわれたほか、たとえばスピードバンプ(住宅地などでドライバーに車速を落とさせるために路面に大きな凹凸を設けたもの)が前方にあることを道路標識で認識すると、あらかじめアクティブサスペンションで車高を上昇させ、スピードバンプをスムーズに乗り越えるシステムが展示された。

いずれも、自動運転用のカメラシステムから各種シャシー・デバイス、パワープラントまでを手がけるZFならではの発想といえるだろう。

《大谷達也》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ車体、『アルファード』『ヴェルファイア』をトヨタ自動車に生産移管、いなべ工場は商用車専用に
  2. アルファロメオの新型SUV『ジュニア』日本発売に、「420万円はリーズナブル」「マジで美しい」など反響続々
  3. クーペSUVに進化! アルファロメオ『ステルヴィオ』次期型を完全プレビュー
  4. 「まさにアメリカンスポーツの最高到達点」1000馬力越えの『コルベット』にSNSも注目!コスパ最強ハイパーカー誕生か
  5. ホンダ N-BOX など7車種1万2653台リコール…過去の改善措置が不適切
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る