パワーアンプの使い方、楽しみ方…クラリオン Full Digital Sound

クラリオン・Full Digital Sound
クラリオン・Full Digital Sound全 4 枚

カーオーディオの最初の一歩として人気が高い「スピーカー交換」。それを行った後の次の一手として「外部パワーアンプ」の導入をおすすめしてきた当特集。その最終回となる今回は、“番外編”として『クラリオン・Full Digital Sound』をフィーチャーする。

【画像全4枚】

『Full Digital Sound』のスピーカーは、デジタル信号を音に変えられる!?

『Full Digital Sound』は、とにもかくにもスペシャルなカーオーディオシステムだ。ゆえに通常のスピーカーシステムとは基本的には連携しない。なので「スピーカー交換からの次の一手」にはなりにくい。しかも「外部パワーアンプ」は当システムには基本的に必要ない。ゆえに当特集で取り上げるものとしては少々“異端”な存在となるのだが、しかし、一気に“本格システム”を築き上げようと考えるときには、これも1つの選択肢となり得る。なのでこの機会にこれが何であるのかを、そしてこれならではの楽しさ改めて解説しておこうと思う。

さて、『Full Digital Sound』は他のシステムとどう異なっているのだろうか。最大の違いはスピーカーにある。

最初に、一般的なスピーカーの仕組みから解説していく。通常のアナログスピーカーは、入力される音楽信号はアナログ信号でないと役目を果たせない。その理由は以下のとおりだ。

音はマイクロフォンによって録音される。空気の振動を拾いそれを磁気回路を用いて電気信号に変え、録音機材へと伝送する。アナログスピーカーは、それとは逆のメカニズムにより電気信号を振動へと変え、空気を震わせ音を伝える。つまりスピーカーは、「音楽信号を元に戻す」役目を負うユニットなのだ。しかし送られてくる音楽信号がデジタルに変換されていたならば、元に戻しようがなくなる。元通りのアナログ信号でないと元通りの音へと戻せない。ただただノイズを発するのみなのだ。

しかし『Full Digital Sound』のスピーカーは、信号がデジタルに変換されたままの状態で送られてきても音へと変えられる。

それが可能であるのは、『Full Digital Sound』のスピーカーに特別な“車載用LSI”が搭載されているからだ。これにより、信号がデジタルのままでもスピーカーの振動板を正しく駆動させられる。結果、録音したとおりの音を再生できる、というわけなのだ。

“フルデジタル”であることにより、さまざまなメリットを獲得!

『Full Digital Sound』はこのような仕組みを持つことで、アナログシステムにはないメリットを有することに成功している。利点は主には2つある。1つは、「伝送過程での信号劣化が起こらない」こと。通常のカーオーディオシステムでは少なくとも1回は、デジタル信号がアナログ信号へと変換される。場合によっては、CDプレーヤーの中で一旦アナログ信号に戻された後、プロセッサーの中で再度デジタル変換され再びアナログに戻される、というような過程が踏まれることもある。

このようにD/A、A/D変換が行われると、都度なんらかの信号劣化が起こり得る。しかし『Full Digital Sound』では、入力される音楽信号がデジタルであれば、スピーカーへと伝送されるまでの間、1度たりともD/A、A/D変換が行われない。ゆえに伝送過程での音質劣化が起こり得ない。

そして2つ目のメリットは、「外部パワーアンプが必要ない」こと。外部パワーアンプを用いずとも、実用上十分なパワーを発揮できるのだ。

結果、省スペース化でき、重量も重くなり過ぎず、そして消費電力も少なくてすむ。エコカー時代の現代において実に理に叶ったシステムとなっている、というわけなのだ。

『Full Digital Sound』はさらに、「さまざまなソースユニットに対応できる」という特長も有している。『Full Digital Sound』自体にはソースユニットは組み込まれていないのだが、そのかわり、多彩なソースユニットと連携できる。ライン出力を持たない純正オーディオも接続できるし、デジタル機器も多様に繋げる。このこと自体は“フルデジタル”だからこその利点ではないが、特殊なシステムでありながら、この部分においては対応力が幅広い。楽しみ甲斐あるシステムとなっているのだ。

『Full Digital Sound』は実は、アナログスピーカーとも共存できる!

ところで記事の冒頭で、「『Full Digital Sound』は通常のスピーカーシステムとは基本的には連携しない」と書いたが実は、2ch分のみ、アナログスピーカーを組み入れられる。プロセッサーにはアナログ出力も1系統備えられているので、それを活用すると“デジタル+アナログ”システムを構築できる。

活用の仕方としてスタンダードなのは2パターン。1つは「アナログサブウーファーを追加すること」。もう1つは、「アナログミッドレンジを追加すること」だ。

ちなみに、『Full Digital Sound』のサブウーファーにはボイスコイルが計6個備えられている。このような仕組みを持つことでパワフルに低音再生を行えるのだが、しかし使いたいアナログサブウーファーがある場合には、それを導入するのも大アリだ。人とは違う、自分だけの“デジタル+アナログ”サウンドをゲットできる。

また、『Full Digital Sound』ではフロントスピーカーは2ウェイ構成とするしかないのだが、ハイエンドカーオーディオ愛好家ならばやはり、フロント3ウェイにも挑戦してみたくなる。そんなときには1系統あるアナログ出力を活用し、思い思いのアナログスコーカーを組み込める。

そしてサブウーファーにせよスコーカーにせよ、それぞれを鳴らすためにはアナログのパワーアンプが必要となる。ゆえにその分のインストールスペースが必要となり電力消費量も増えてしまうが、アナログパワーアンプを選ぶ楽しみも味わえる。『Full Digital Sound』には実は、発展性も備えられている。

もしも本格的なシステムを合理的に構築させたいと思ったら、『Full Digital Sound』があることを思い出そう。初めてのカーオーディオとしても、ステップアップさせる次の手としても、面白いチョイスとなり得るはずだ。

さて、当特集はいかがだったろうか。最後は特殊な事例を取り上げたが、カーオーディオシステムの音を成長させようと考えたときには、「外部パワーアンプ」は頼りになる。もしも「スピーカー交換」をしたのなら、さらなるステップアップも検討しよう。そうすることでより深くカーオーディオを楽しめる。ぜひ。

「パワーアンプ」の使い方、楽しみ方を完全解説! Part9 “番外編”「クラリオン・Full Digital Soundの場合」

《太田祥三》

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