【MaaS】概念もモデルも固まっていないうちは制度や仕組みの決め打ちはしない…国土交通省 モビリティサービス推進課長 重田裕彦氏[インタビュー]

【MaaS】概念もモデルも固まっていないうちは制度や仕組みの決め打ちはしない…国土交通省 モビリティサービス推進課長 重田裕彦氏[インタビュー]
【MaaS】概念もモデルも固まっていないうちは制度や仕組みの決め打ちはしない…国土交通省 モビリティサービス推進課長 重田裕彦氏[インタビュー]全 1 枚

自民党は5月に「MaaS推進議連(通称)」を発足させ、国土交通省と経済産業省は4月に二省合同プロジェクト「スマートモビリティチャレンジ」をスタートさせた。全国28か所でのトライアル(実証実験)も始まり、モビリティ革命への官民の取組みが次のフェーズを迎えた感がある。

モビリティ革命では、シェアリングカーやドローンのような新しい産業からの視点と、地方や都市交通の課題解決とまちづくりという政策面での議論が欠かせない。そのため、自治体や国の政策、行政の果たす役割も大きい。このような背景から、レスポンス編集部では、MaaS推進議連や関連省庁を呼ぶセミナーを企画した。

セミナー開催に先立ち、講演者の事前インタビューをお願いし、それぞれが推進するMaaS行政と戦略についてお話いただいた。お話を聞いたのは、国土交通省でスマートモビリティチャレンジを推進する重田裕彦氏(総合政策局モビリティサービス推進課課長)だ。

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――MaaSやモビリティ革命については、以前から国交省でも取組みをしています。モビリティサービス推進課とはどのような課なのでしょうか。

モビリティサービス推進課は、7月にスタートしたばかりの新しい課です。メンバーは現在7名です。昨年度からMaaSやモビリティに関連した事業に携わっていたメンバーをベースに新しいメンバーも加わっています。ご存じのようにMaaSといっても、サービス、小売り、福祉や医療、教育など非常に広い分野がかかわる事業です。公共交通といった従来のくくりではなくなっているので、新しい課を作った形です。それこそシェアサイクルなども対象としてMaaS問題に取組んでいます。

――課のミッション、目的はどこにあるのでしょうか。

一言で言えば、課名のとおりMaaSをすすめることになりますが、ただアプリを作って交通手段を連携させるといったことだけを目的にしているわけではありません。地域の交通課題を解決することが第一の目的だと思っています。

地域というのは、地方だけではありません。都市部も含んだ地域ということです。過疎地の足、公共交通、観光地の交通、都市部の交通課題、それぞれ特色があります。例えば、地方都市は駅前のバス路線の問題です。公共交通としては郊外もくまなく広げる必要がありますが、コスト的に厳しい路線が少なくありません。タクシーの有効利用、小型モビリティの活用などが必要です。

――スマートモビリティチャレンジでは28の実証実験が採択されています。国交省としては、どのような基準でトライアルを選んだのでしょうか。

MaaSというと高齢者の足や過疎地の課題が注目されがちですが、特定地域や特定の課題に偏らないようにしています。28のトライアルの中では19が国交省の採択事業となっています。選定にあたってポイントとしたのは、課題の内容がはっきりしており、自治体の意図が明確なものであることです。そして、ソリューションが、マルチモードの移動にどうかかわってくるかという点です。

移動について、手段ごとの移動ではなくトリップ単位で考えます。住民にしろ旅行者にしろ、1日全体の移動、トリップごとのニーズを考え、全体をどうプランするかを考えます。例えば、現状ルート検索や時刻表の検索は、事業者ごとに必要です。これを、事業者や管轄省庁にとらわれない形に共通化できないか。たとえば、この問題に対するブレークスルーを目指します。

――事業者連携、省庁連携というポイントは、スマートモビリティチャレンジで経済産業省と共同で取組んでいる部分ですね。

はい。経済産業省は技術革新や産業創出という点で取組んでいると思いますが、国土交通省は、交通分野で新しいモビリティ環境を構築するという点で協力しています。理想的には、地方や観光地の移動手段と利便性の向上。既存の公共交通の活性化、高齢者の問題、交通安全といった課題の解決、スマートシティや新しいまちづくりに広げたいですね。

それには、警察や総務省との連携も今後は重要になってくるでしょう。

――省庁横断や業界横断となると、共通プラットフォームがひとつのポイントになると思います。国土交通省、あるいは政府といったレベルでMaaSプラットフォームのような構想はあるのでしょうか。

今回の19のトライアルの中でも、課題へのソリューションを検証する段階で、各所、各部、各分野で連携していく必要はあると思います。そのための枠組みも確かに必要です。しかし、MaaSそのものの概念もまだ固まっていません。いまの段階で、枠組みやスキームを決め打ちすることはありません。まだその段階ではありません。トライアルの中から成功事例を各地へ展開していく段階で決まっていくものだと思っています。

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《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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