日産、指名委が10月末までに次期社長選任…ルノー会長の出方が焦点に

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日産自動車は西川廣人社長兼CEOが9月16日付で辞任するのを受け、6月に発足したばかりの指名委員会(委員長・豊田正和社外取締役)が10月末までに後任を決める作業に着手した。

豊田委員長を含む6人の委員の合議で決まるが、日産の86年の歴史でも初の選任プロセスとなる。西川社長の辞任を発表した9月9日の記者会見で、豊田委員長は社内の昇格者候補のほかに「10名強」の社外の候補者をリストアップしたと公表しており、合わせて十数人からの選考となる。

社外の候補は、ここ1か月半の間に約100人から絞り込んだという。豊田委員長は社外の候補について「日産と全く関係のない方、またかつて日産におられた方も含まれる。女性の方や、ルノー出身の方もおられ、非常に多様な方々」をリストアップしたと明らかにした。

また、肝腎の後任者の要件については「リーダーシップを発揮でき、多くの方を説得できる能力があること」としたうえで、「今の日産は成長期というより成長回復期なので、日本のみならず世界の自動車産業に詳しい方。そしてルノーと三菱自動車のアライアンスについて深い理解と大きな関心をもつ方」と指摘した。

日産は6月の株主総会で、カルロス・ゴーン事件を踏まえたガバナンス(企業統治)強化策として「指名委員会等設置会社」に移行した。日本の自動車メーカーでは同時期に移行した三菱自動車と2社のみで、日産は1933年の創立以来、初めてトップ選びを指名委員会に委ねることになる。

日産の指名委員会は豊田委員長をはじめ、取締役会議長の木村康氏、報酬委員会委員長の井原慶子氏、監査委員会委員長の永井素夫氏、アンドリュー・ハウス氏の社外取締役5人とルノーグループのジャンドミニク・スナール会長(日産取締役)の計6人で構成される。発足した3委員会では最もメンバーが多く、日産出身者は加わらず、筆頭株主であるルノー会長が名を連ねる布陣となっている。

豊田委員長が挙げる次期社長に求める要件に照らせば、日産および社外に出た日産出身者からの選任が最も有力となろう。自動車産業の動向やルノー・三菱との提携も熟知しているからだ。日産出身者にはゴーン時代に意見衝突して去った優秀な人材も少なくない。ただし、ルノーの人材も候補にリストアップされているので、スナール会長が強く推す展開も予想される。そこは、ルノーとの関係見直しを進めたい日産にとっては受け入れがたいところだ。

指名委員会には選任プロセスにおける強固な情報管理も求められる。誤った報道で社外の候補者に多大な迷惑をかける恐れもあるからだ。トップの選任とその時期が明らかなので、メディアの取材攻勢が強まるのは必至であり、そうしたなかで指名委員会の管理能力が問われる。

《池原照雄》

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