「お浄土まで」永く乗り続けるために…スローエイジング・ドライビングレッスン開催

スバル スローエイジング・ドライビングレッスン
スバル スローエイジング・ドライビングレッスン全 20 枚

「スバル・スローエイジング・ドライビングレッスン」が1日、東京スバル三鷹店(東京都三鷹市)で開催された。講師は、64歳にして現役レースドライバーであり、僧侶でもある松田秀士選手。受講生の中には、なんとWRCや国内ラリーで活躍する新井敏弘選手(53歳)と鎌田卓麻選手(45歳)の姿も。よくある高齢者向けの運転教習とは違ったものだったようだ。

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衰えを感じているがどうすればいいか?

高齢者のアクセルの踏み間違いが問題となる中、一般には免許返納や自動ブレーキや自動運転といった対応・対策が広がっている。しかし、「免許返納で運転をやめると認知症リスクが上がるという研究もある。健康的に永く運転を続けるという選択肢もあるはずだ」と、松田選手は語る。なお、タイトルの「お浄土まで」は、僧侶でもある松田選手の言葉。

実際問題として、車がないと生活ができないという高齢者も存在する。免許返納や自動運転が銀の弾丸になるわけではない。スローエイジング・ドライビングレッスンは、そんな高齢者、衰えを感じているがどうすればいいか? いい訓練はないか? といった人向けに開催された。

スバルといえば、衝突被害軽減ブレーキ(アイサイト)のパイオニアだ。2030年には交通死亡事故ゼロをめざすべく、安全に対する取り組みを続けている。この活動のひとつとして、松田選手のレッスンを主催したわけだ。スバル スローエイジング・ドライビングレッスンスバル スローエイジング・ドライビングレッスン

筋力トレーニングの重要性

松田選手は2000年のインディレース予選で320km/hで壁に激突するという大クラッシュで、複雑骨折など大事故も経験している。もちろん、すぐに現役に復帰していまもレース活動を続けているわけだが、レース参戦が30歳近くになってからだといい、ライバルとの体力差から、筋力トレーニングの重要性を早くから認識していた。現役も長くなると、体力、視力などの維持管理の意識も必要だった。以上のようなの経験から、ドライビングやトレーニングに対する考え方も独特だ。レッスンも独特のプログラムになっている。

座学では、まず筋トレとしてフロントブリッジ(うつ伏せの状態から肘を直角にまげて体を浮かせる)、バランスボールを使った体幹と筋力のトレーニング方法を伝授する。

老眼は治らない

視力の話では、目の構造の説明から入り、なぜ老眼になるのか。その理由(水晶体が固くなることが主な要因)、さらに老眼は治らないことなどを説明する。運転中は、ナビやメーターパネルを見たり、外をみたりと視点の移動が多いが、老眼になってくると焦点をあわせるのが辛くなる。老眼になったら遠近両用メガネが便利だとアドバイスする。また、メーターパネルが見にくいのを理由に輝度をあげすぎると、夜間などにコントラストの違いから、やはり見えにくくなることがある。なにより、目の疲れが進みやすいので、これも注意だ。

視力・視野については、「利き目」(両目で正面に見えるものが、片目をつむっても対象が正面からずれない方の目)を把握することも指導する。意識しないと、利き目の視界に頼り、目の疲れにつながる。ドライアイも大敵だが、市販の目薬は防腐剤が入っているので、1日に何度も挿さないようにする。ほかにも、紐を使った毛様体筋の訓練、シートを使った視覚と認知能力の訓練などが紹介された。ブレーキの踏み方ブレーキの踏み方

ブレーキはかかとを床につけて

座学のあとは、会場駐車場に設けられたコースで「オートテスト」のような実技(タイム計測なし)を行う。実技は松田選手、新井選手、鎌田選手が助手席に同乗してアドバイスを得ることができる。コースは、ウェットでのフルブレーキングと、低速スラローム、車庫入れ2回という設定だ。

実技の前に、松田選手は受講生にドライビングポジションとブレーキの踏み方をレクチャーした。ブレーキを踏むときは、かかとを床につけて踏むことをこころがけてほしいと指導していた。

ABSの効くぐらいのブレーキングをできるか

その後、受講生は、それぞれ持ち込んだ自分の車両でコースを試走した。ポイントは、ABSを利用したフルブレーキングがしっかりできるかどうか。それとスラロームでのハンドル操作だ。ABSがしっかり効くくらいのブレーキングができるかどうかが重要だ。ハンドル操作は、両手を使って腕がクロスするまで切ること。切り足すときは、クロスしたとき奥にある腕をはなして持ち変える。

ハンドルを両手で切るとき、松田選手はどちらかというと押して切るというが、押しか引きかはあまり重要ではなく、両手で最後まで使うことが重要だそうだ。片手や内掛けハンドルは禁物。とくに内掛けは、エアバッグが開いたとき、腕や肘を骨折するため絶対してはいけないという。

座学・実技終了後、受講生の一人に感想を聞いた。60代後半の女性だが、車両はスバル『WRX S4』。それまで、『レオーネ4WD』をはじめ、マニュアルの『レガシィ』を何台も乗り継いで、ロングドライブを楽しんでいたが、S4でオートマとなり、これからの運転の参考にしたいと申し込んだという。座学は、「高齢者向けの内容かと思っていたら、視力や目のトレーニングなどの話が聞けてよかった」と評していた。実技では新井選手に助手席からアドバイスがもらえたと喜んでいた。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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