ロータスのEVハイパーカー、『エヴァイヤ』…最新プロトタイプが走行テスト開始

4モーターでパワーは2000ps

テスト車のEVパワートレインや足回りは市販車仕様

軽量かつ空力性能に優れるボディ

ドアミラーはカメラに置き換え

ロータス・エヴァイヤ の開発プロトタイプ車両
ロータス・エヴァイヤ の開発プロトタイプ車両全 24 枚

ロータスカーズは12月16日、EVハイパーカーのロータス『エヴァイヤ』(Lotus EVIJA)の最新の開発プロトタイプ車両が、走行テストを開始したと発表した。

エヴァイヤは、ロータス史上最もパワフルでダイナミックなロードカーとして、ロータスの運転性能に新たな基準を打ち立てることを目指し、開発を進めている。英国初の完全電気式ハイパーカーとなり、ロータスで初めて電動パワートレインを搭載する。2017年にジーリー(浙江吉利控股集団)傘下となって以来、初の新型モデルとなる。

4モーターでパワーは2000ps

エヴァイヤのEVパワートレインのモーターは、4個搭載されており、合計で2000psのパワーと173.4kgmのトルクを引き出す。ロータスカーズによると、2000psのパワーは量産車としては世界最強という。

強力なモーターのパワーは4輪に送られ、0~100km/h加速3秒以下、0~300km/h加速9秒以下、最高速320km/h以上というパフォーマンスを可能にする。走行モードは5種類で、レンジ、シティ、ツアー、スポーツ、トラックが切り替えられる。

バッテリーは車体中央にレイアウトされており、蓄電容量は70kWhと大容量だ。1回の充電での航続は、WLTPの複合モードで400kmの性能を備える。充電は出力350kWの急速チャージャーを利用すれば、18分間で完了する。ロータス・エヴァイヤロータス・エヴァイヤ

テスト車のEVパワートレインや足回りは市販車仕様

ロータスカーズは、このエヴァイヤの最新の開発プロトタイプ車両による走行テストを、英国ヘセルの本社のテストコースで開始した。最新の開発プロトタイプ車には、市販車仕様のサスペンションやEVパワートレイン、ブレーキ、フルカーボンファイバー製ボディパネルを搭載する。

インテリアには、市販車と同じシートや、フローティングセンターコンソールなどを装備した。アクティブエアロを作動させるための油圧装置も組み込んでいる。走行テストは、ロータスの商品開発部門を統括するギャバン・カーショウ氏が担当した。ロータス・エヴァイヤロータス・エヴァイヤ

テスト車両に電子デバイスがない理由

ロータスカーズは新車開発の初期段階において、車両の走行安定性を確保する電子デバイスやトルクベクタリングを使用しない。これは、電子デバイスを追加する前に、シャシーの基本性能を評価するためだ。その後、開発が進むにつれて、電子デバイスを搭載していく。

走行テストを担当したギャバン・カーショウ氏によると、エヴァイヤの開発プロトタイプ車両は、運転しやすく、狭いコーナーでも安定性と俊敏性を披露したという。

また、さまざまな速度で、ハンドルアングルと車両のレスポンスを評価した。その結果、速度が50km/hであっても、320km/hであっても、軽快に感じることが確認できたという。

軽量かつ空力性能に優れるボディ

エヴァイヤのボディサイズは、全長4459mm、全幅2000mm、全高1122mmだ。軽量のカーボンファイバー製モノコックと、ロータスの市販車としては初となるワンピース構造のカーボンファイバーモノコック製シャシーを採用し、車両重量は1680kgに抑えられた。ロータスカーズによると、EVハイパーカーとしては世界最軽量という。

エヴァイヤには、航空機からインスピレーションを得て、エアロダイナミクス性能を追求したデザインを採用する。最低地上高は105mmと低い。リアには、ルマンのレーシングカーをモチーフに、「ベンチュリートンネル」が設けられる。それぞれのトンネルは、赤いLEDで縁取られる。夜間には、戦闘機のアフターバーナーに似た視覚的効果を生み出すという。

フロントには、バイプレーンのリップスポイラーを装着する。3つのセクションに分かれており、中央部分はバッテリーパックを冷却するための空気を取り入れる。量産車としては世界で初めて、メインビームとディップビームの両方にレーザー光を使用する。オスラム製のライトモジュールは非常にコンパクトで、薄い縦長デザインとした。レンズの内側には、デイタイムランニングライトを組み込む。

リアには、アクティブエアロダイナミクスを採用する。リアスポイラーは、車両の全高いっぱいまでせり上がる。F1スタイルのドラッグリダクションシステム(DRS)は、トラックモードで自動的に作動する。他のモードでは、スイッチ操作で作動させることもできる。ロータス・エヴァイヤロータス・エヴァイヤ

ドアミラーはカメラに置き換え

インテリアは、ステアリングホイールの前方に、最新のデジタルディスプレイを装備した。走行モードやバッテリー残量などの重要な情報を、1か所にまとめて表示する。センターコンソールには、タッチセンサー式の触覚フィードバックボタンが装備されている。

カーボンファイバー製のバケットシートは、アルカンターラ仕上げ。シートベルトは、4点式ハーネスがオプションだ。ステアリングホイールは、LMPやF1マシンに似たデザイン。ボタンは直感的にグループ化されており、通話やクルーズコントロールなどの機能が操作できる。

空力性能に配慮して、ドアミラーは装備されておらず、フロントフェンダーにカメラを装着する。ルーフのカメラが捉えた映像とともに、車内の3つのスクリーンに表示する仕組みだ。

ロータスカーズは2020年5月から、英国ヘセルの本社工場において、エヴァイヤを限定130台生産する計画だ。今回の走行テストについて、ロータスカーズは、今回のようなテストを行うことで、ドライバーや主要な操作系の位置、視認性など、あらゆる要素の開発に取り組むことができる。何千時間ものコンピューターシミュレーションが、実際の車両にどのように生かされているのかを検証していく、としている。

《森脇稔》

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