[サウンドチューニング 基礎編]リスニングポジションが片寄ることの害

「サウンドチューニング機能」を活用すると、スピーカーの発音タイミングもコントロールできるようになる。
「サウンドチューニング機能」を活用すると、スピーカーの発音タイミングもコントロールできるようになる。全 1 枚

カーオーディオの音を良くする手段はさまざまあるが、「サウンドチューニング」もそのうちの1つだ。当コーナーでは、これについての理解を深めていただこうと、その成り立ちから操作方法までを解説しようと試みている。まずは、これが必要である理由から考察している。

これまでは、「サウンドチューニング」が必要となる理由を2つ解説した。1つは「スピーカーの取り付け場所が都度異なるので、それに即した鳴らし方を探る必要があるから」であり、もう1つは「車室内が狭いがゆえに周波数特性の乱れが起こり得るから」だと説明した。そして、「サウンドチューニング」が必要となる理由はもう1つある。それは、「リスニングポジションが左右のどちらかに片寄るから」だ。

さて、このことがどのような弊害を生むのだろうか。それを理解していただくために、まずは“ステレオ”の仕組みをおさらいしておきたい。

“ステレオ”の仕組みとは、以下のとおりだ。人間は、音を左右の耳でキャッチする。そうすることで音の出所がわかったり、音を立体的に感じ取れたりするわけなのだが、“ステレオ”はその理屈が応用されている。音楽を左右の2本のマイクで録音して、それを左右の2本のスピーカーで再生する。そうすることで、その演奏をその場所で、左右の耳で聴いているかのように感じ取れるのだ(実際は、2本のマイクで録音したかのように加工して音源化されている場合が多い)。

そして、この仕組みを成り立たせるためには、1つの決まりごとが存在している。それは、「左右のスピーカーから等距離の場所にリスニングポジションを取る」というものだ。そうすることで、左右のスピーカーから放たれる音が同時に耳に届く。そうでなければ“ステレオ”の仕組みが良好に成立しないのだ。

しかしクルマの中では、左右のスピーカーから等距離の場所で音楽を聴けない。

ところが、「サウンドチューニング」機能を駆使すると、これへの対処も可能となる。スピーカーの発音タイミングをコントロールできる機能が存在していて、この機能を活用すれば各スピーカーから放たれる音の到達タイミングを揃えられる。結果、“ステレオ”感をしっかりと感じ取れるようになる。目の前にサウンドステージが出現し、音楽を立体的にイメージできる、というわけなのだ。

今回はここまでとさせていただく。次回からはもう1歩踏み込み、チューニング機能の中身をより具体的に解説していく。お楽しみに。

『ザ・サウンドチューニング』 第1章・基礎編 その4「リスニングポジションが片寄ることの弊害とは?」

《太田祥三》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. アルファロメオの新型SUV『ジュニア』日本発売に、「420万円はリーズナブル」「マジで美しい」など反響続々
  2. 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』が日本導入…6月の新型車ランキング
  3. クーペSUVに進化! アルファロメオ『ステルヴィオ』次期型を完全プレビュー
  4. トヨタ車体、『アルファード』『ヴェルファイア』をトヨタ自動車に生産移管、いなべ工場は商用車専用に
  5. トヨタ RAV4 新型の競合は? 価格帯別にライバルを予想する
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る