九州・三池炭鉱を偲ぶ鉄道が5月に廃止…三井化学大牟田工場の専用線

1936年に登場した大牟田工場専用線の東芝製の18号電気機関車。かつての炭鉱鉄道を記録するプロジェクトが6月まで展開される。
1936年に登場した大牟田工場専用線の東芝製の18号電気機関車。かつての炭鉱鉄道を記録するプロジェクトが6月まで展開される。全 1 枚

東京都港区に本社を置く三井化学は3月3日、同社大牟田工場(福岡県大牟田市)で原材料の搬入などに利用している専用線を5月を目途に廃止すると発表した。

同線は明治時代の1878年、三井三池炭鉱(三池炭鉱)の大浦坑から産出される石炭の輸送手段として開業した、三池炭鉱専用鉄道の1路線だった。

馬車鉄道としてスタートした同鉄道は、明治時代末期まで路線網を拡大。総距離は5路線18.5kmまで延び、明治時代中期の1891年には動力方式を蒸気に転換した。1908年に石炭搬出港である三池港が開港すると輸送量が増大し、翌年から電化が始まっている。戦後の1964年から1973年にかけては地方鉄道に転換し、旅客営業を行なったこともあった。

しかし、石炭産業の衰退とともに1969年から廃止が始まり、三池炭鉱が閉山した1997年にはほぼ全廃されたが、旧旭町線宮浦~旭町間1.8kmは三井化学に譲渡され、今日まで存続。現在は明治時代末期から戦前にかけて登場した電気機関車5両が在籍している。

三井化学はこの廃止を記念して、6月にラストランイベントを計画しており、メモリアル映画の製作や音の記録、「大牟田の炭鉱電車」として親しまれていた同鉄道のエピソード募集などを行なう。

なお、廃止後の電気機関車や駅舎などの処遇については未定とされているが、三井化学では「今後、広く引き取りの希望などをお聞きし、協議のうえ、決定してまいります」としている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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