「8トラック」に「DAT」…純正採用された驚き?のカーオーディオたち【懐かしのカーカタログ】

8トラック(トヨタ・クラウン:1972年)
8トラック(トヨタ・クラウン:1972年)全 21 枚

「懐かしのカーカタログ」ではかつてのクルマ本体をカタログで振り返っているが、新たに、個別の装備や仕様という切り口で、いろいろなモノを振り返ってみたい。今回のテーマは純正カーオーディオだ。今はなき「8トラック」に「DAT」……今思えば、「なぜこれが標準装備!?」と驚くものもある。レトロブームに乗っかって復活、なんてことも……?

8トラック
トヨタ・クラウン:1972年(年式はカタログ記載のもの・以下同)

8トラック(トヨタ・クラウン:1972年)8トラック(トヨタ・クラウン:1972年)
カセットテープ普及前にあった、カートリッジ式の媒体。通称“8トラ”で名前の由来はステレオ(2トラック)で記録された4本のトラックを切り替えて聴く方式だったから。可搬性があり、エンドレス再生で便利だったが、テープ(カートリッジの内部構造)の耐久性はあまり高くなかった。

カセットテープ
日産ブルーバード:1980年

カセットテープ(日産ブルーバード:1980年)カセットテープ(日産ブルーバード:1980年)
カセットテープが一般的だった時代、純正カーステレオでも次第にこだわりを見せる機能が登場した。4スピーカーステレオもそのひとつで、1本のレバーをグリグリと回して操作し、4つのスピーカーのボリュームを調整する仕掛けだった。

カセットデッキ・正立式
マツダ・ルーチェ:1986年

カセットデッキ・正立式(マツダ・ルーチェ:1986年)カセットデッキ・正立式(マツダ・ルーチェ:1986年)
なんとホームオーディオのような、テープが見える正立式のユニット。スイッチ類も物理的にスイッチを押し込むのではなく、(確か)指先でコツンと押せばよいフルロジックだったと記憶している。音質のモード切り替え付きも自慢で、その中には“ENKA(演歌)”も!

DAT
トヨタ・セルシオ:1989年

DAT(トヨタ・セルシオ:1989年)DAT(トヨタ・セルシオ:1989年)
さすが『セルシオ』(当時)である。オプション設定ではあったが、当時先端のデジタル媒体だったDATをいち早く用意した。「スーパーライブサウンドシステム」はトヨタのこだわりのシステムの総称、7スピーカーで、シート表皮(本革かファブリックか)ごとに専用イコライザーも用意。ちなみにDATは市販カーオーディオでも1、2モデルがあったのみだった。

マッキントッシュ
スバル・レガシィツーリングワゴン:1998年

マッキントッシュ(スバル・レガシィツーリングワゴン:1998年)マッキントッシュ(スバル・レガシィツーリングワゴン:1998年)
マッキントッシュは1946年創業のオーディオマニア垂涎のブランドのひとつ。「まさかその音がクルマの中でも堪能できるとは!」と、筆者も登場時の取材で初めて実機に触れて感動したことを覚えている。クルマ用メーカーオプションでは世界初。ホーム用同様のアルミ無垢のダイヤル、専用ケーブルなど、こだわり抜いたスペックだった。

BOSE
マツダ RX-7:1993年
日産・ステージア:2001年

BOSE(マツダ RX-7:1993年、日産・ステージア:2001年)BOSE(マツダ RX-7:1993年、日産・ステージア:2001年)
さまざまな自動車メーカーにオーディオシステムを提供しているBOSE。FD型『RX-7』の「スーパーミュージックプレミアムシステム」では、全長2.7mという専用設計の“ウェイブガイド”を搭載。独自の音響共振作用を利用し、コンパクトなシステムで豊かな音場を作り出した。

一方の2代目『ステージア』の「プレステージサウンドシステム」では、ラゲッジアンダーボックス下のスペアタイヤホイール内に収まるRichbassウーファーを採用。ステーションワゴン用らしくスペースを議勢にすることなく深みのある低音を鳴らすシステムだった。

純正スピーカー
三菱・デボネア:1979年

純正スピーカー(三菱・デボネア:1979年)純正スピーカー(三菱・デボネア:1979年)
ショーファーカーらしいと思えたのが、リヤスピーカーへのこだわり。セダンのリヤシェルフ埋め込み式は当時の定番だったが、ユニットはドーム型3cmトゥイーターと10cmウーファーとし(フロントは10cmフルレンジ)、なんとアッテネーターを装備し、子細な音響特性の調整が可能だった。

専用設計の凝ったオーディオ
三菱・ランサーセレステ:1977年

専用設計の凝ったオーディオ(三菱・ランサーセレステ:1977年)専用設計の凝ったオーディオ(三菱・ランサーセレステ:1977年)
「ランサー・セレステ1600GTシステム80・1977」とモデル名にも謳われた、凝った専用設計の凝ったシステムを搭載。センターコンソールパネルに操作系をひとまとめにしており、円形の盤面はFMのチューニング用。スピーカーは『デボネア』にも搭載された、アッテネーター付きだった。

MD
VW ゴルフ:1998年

MD(VW ゴルフ:1998年)MD(VW ゴルフ:1998年)
4世代目『ゴルフ』は、クルマとしてのクオリティ、静粛性などが一段と高められたことが印象的なモデルだった。そして当時、CDよりもコンパクトなデジタルメディアのMDデッキ(CD/MDチェンジャーコントロール機能付き)を、いち早く車載の標準オーディオとして搭載。ユニットはSONY製で、開発段階でクルマ自体のバックライト(オレンジ色)とユニットの照明の色調を合わせるのに苦労した……そんなエピソードをどこかで聞いた覚えがある。

マークレビンソンプレミアムサウンドシステム
トヨタ・セルシオ:2001年

トヨタ・セルシオ:2001年トヨタ・セルシオ:2001年
日本市場では最後の『セルシオ』名義となる3代目では、マークレビンソンが搭載された。ホーム用のハイエンドオーディオでは著名なメーカーで、同社のシステムの開発はマークレビンソンの特別設計チームが取り組んだという。専用のDSPアンプを核に20mmホーントゥイーターなどを採用した11スピーカー構成。静謐な走りに相応しい、厳かなサウンドを実現していた。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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